(時計には あらゆる生命の運勢 が秘められています)
私が占いの世界に入って早いものでもう10年以上が経ちました。
これまでに仕事も10指を数えるほどのモノを経験してきましたが
今こうして占い師としての 自分の立場 役目を考えますと 感無量です
なにせ占い師になると思ったこともないし 考えたこともないのですから
子供の頃の夢と言えば 何といってもプロレスラーになることでした
大きな外人を空手チョップでバッタバッタとなぎ倒す
強き力道山に 憧れていつかプロレスラーになってやるぞ・・!
心に誓ったものです
幾千雪の時を経て 偶然に出会った占い師さんとの解合が
一人の占い師を誕生させるきっかけとなりました
※ 昔々 あるところに一人の少年がいました。
少年は見上げていました。
壁にかかる柱時計を見上げていました。
ただ ひたすら じーっと見上げていました。
壁にかかった柱時計は 少年の存在に気づかないのか
はたまた無視しているのか ただひたすら
己に与えられた役目を果たすだけのように
チックタック チックタック と音を立てて
規則正しく 正確に自己の存在を主張していました。
その存在が 特に意識されるのは やはり 朝方の慌ただしいときです。
時計の持ち主である家人は 4人家族であるが
お父さんが 朝ごはんを もぐもぐ食べながら
時計をチラチラ眺めている姿を見ると時計は 自分の存在に満足します。
その後 子供たちが 学校へ行くときにも
お母さんが時計をチラチラ眺めながら 急き立てている姿をみると
時計は まるで 自分がこの家の
王様になったような気分になります。
お父さんも 子供たちも送り出したあと
お母さんが 時計を見て ふーと ため息をついたとき
時計は お疲れ様・・と声をかけてやりたくなります。
やがて お母さんは 買い物に出かけて 誰もいなくなると
シーンとした静かな空間が 屋内を支配します。
時計は 誰もいなくなったので 少しお休みしよう と思ったのですが
いやいや こんな時こそ しっかりお留守番しなければ・・と
再び チックタック チックタック と
正確な時の音を 静かな空間に響かせていきます。
やがて お昼すぎ 一人の少年が帰ってきました。
少年は 背中からランドセルカバンを下ろすと
まるで指定席のように 時計の前に座りました。
背中を 壁につけて 両膝を立て 両肘を膝に 両手を顎にかけて
食いいるような視線で 時計の針を目で追っていきます。
時計は ・・お帰んなさい ・・ と声をかけるかのように
チックタック チックタック と少年に 時の音を発します。
少年は思いました・・なんで
時計の針は 右にしか回らないのだろう ・・?
少年は思いました・・左に回っても いい筈だよな・・。
いや そうでないと不公平だよ ・・
少年は 時計に 声を上げて叫んで見ました。
「ねえねえ 時計さん 時計さんはどうして
右周りにしか回らないんですか ・・?」
時計は 返事をしました。
チックタック チックタック と返事をしました。
「ねえねえ 時計さん たまには 左に回ってくださいよ ・・
そうじゃないと 不公平だよ ・・」
時計は 返事をしました。
チックタック チックタック と返事をしました。
「僕の親たちに聞いても知らない 分からない ・・ って 言うんだよ」
「学校の先生に聞いても んー むずかしい・・ って言うだけだし・・」
「あとは 時計さんに 直接 聞くしかないんだけど ・・」
時計は 返事をしました。
チックタック チックタック と返事をしました。
「どうしても 答えてくれないなら 僕が大きくなったら
アナタの秘密を探しに行きますから いいですか・・?」
・・・ 30数年後 子育てを終えた少年は
50才を超えた 中年になっていました。
頭も すっかりと 白髪になってしまいました。
ある日 元少年の中年おじさんは 横浜駅の地下街を歩いていました。
何気なく 強い視線を感じたので その方向に振り向くと
おばさん占い師と 目があってしまいました。
占いなんか まったく信用しなかった
中年おじさんですが なぜかその時は 意思とは別に 体がするすると
磁石に引き込まれるように 占い師さんの前に座っていったのです。
中年おじさんは 倒産 離婚
子供たちとも離れ離れになり 失意のドン底でした。
誰に聞いてもらえない悩みを 聞いてもらい
心がだいぶ軽くなった 中年おじさんは フッと 長年 悩んでいた
時計の右回りの秘密 を聞いてみようと思いました。
世の中のことを 分かり尽くしたようなことを言ってはいるが
これだけは 知らないだろう ・・
質問して 困らしてやろう と思ったのです。
中年おじさん「 先生 実は私 子供の時から
時計が右回りにしか回らないのが
不思議でしょうがないんですよ。
どうしても 理解できないんです。
たまには 左周りに回ってもいい筈ですよね・・
でないと 不公平ですよ ・・
私は このことに 30数年も悩んでいるんです」
占い師 「おホホ・・ ずいぶんと 面白い方ですね。
どうして 右にしか回らないのが 気になるのですか ・・」
中年おじさん 「どうしてって 言われても ・・
別に 理由はないんですが ・・ ただ ・・」
占い師 「・・? ただ ・・ 」
中年おじさん 「 許せないんですよ 右にしか回らないのが ・・
時には 左に周り 時には 上下左右にも
針が振れていくのが 自然の摂理 ってものじゃないですか ・・
右にしか 回らないっていう
一方通行さが 許せないんですヨ ・・!! 」
中年おじさん 「 ただし・・ 」
占い師 「 ただし・・ 」
中年おじさん 「 私が 納得できる説明や理論があれば 従いますが 」
占い師 「 では理論や説明がなければ従わないというのですか ・・
時計がなければ 人間の行動にメリハリがなくなりますよ。
いつ何をしていいか 基準がなくなります 」
中年おじさん 「・・・ 」
占い師 「 朝 何時に起きるか 昼間 誰と会ってビジネスの話をするか
彼女と何時に食事の待ち合わせするか
時計がなければ どうやって 行動していきますか ・・
時計があるからこそ 人間は 秩序ある生活が 保っていけるのです 」
中年おじさん 「 おっしゃる通りですが ただ 私は 納得したいんです。
時計という 他人が決めたものに 自分の行動を束縛されたくないんです。
自分の行動や人生は 自分が決める
時計なんぞに振り回されたくないんです !! 」
占い師 「 一途っていうのか 真面目っていうのか 偏屈っていうのか ・・
アナタは 真ん中がない人ですね。
良いか 悪いか どっちかの 人生を歩む人なんでしょう 」
中年おじさん 「だって 先生は いちいち時計を見る自分が悲しくありませんか ・・
先生だけではなく 世の中の人 皆が 時計という機械に振り回されすぎですよ 」
占い師 「私も 長年 占いをやっていますが
そんな質問をされたのは 初めてですわ ・・ 」
中年おじさん 「 50年人生を歩んできて 時計という化物に勝てない
ということも 分かっています。
ただ せめて 私の感情を 心を納得させる 時計ができた
秘密を知りたいんです。
それを知ることができれば 私は 死んでもかまいません 」
占い師 「 オホホ そこまで言いますか ・・
分かりました。 お教えしましよ。
原理はごくごく 簡単なことなんですよ。
いいですか・・ 私の 知る限りなんですが・・
地球は太陽の周りを回っていることは 分かりますよね 」
中年おじさん 「・・ええ 」
占い師 「地球が自転していることも 分かりますよね」
中年おじさん「・・ええ」
占い師 「地球は左周りに自転しながら
太陽の周りを左周りに公転していきます。
この状態を 地球に住んでいる人間から見ると
太陽が動いているように見えますが
実は 太陽は動いていません。」
中年おじさん 「 ・・・ 」
占い師 「よく太陽は東から昇る ・・ っていいますが
あれは錯覚で 動いているのは地球の方なんです。
太陽が東から昇る ・・ことは ゼッタイ ありえません」
中年おじさん 「 ・・!! (目がランランと輝いて) 」
占い師 「地球は1日24時間かけて 自転しますが
もともと時間があったわけではありません。
というか 時間の概念もなかったでしょうが
・・・時間・・という記号を作れば 何かと人間の生活に便利なので
古代の人たちが考え出した 究極のアイデア ・・ ということになるでしょう」
中年おじさん 「 記号 ・・ 時間が 記号 ・・ なんですか ・・? 」
占い師 「たとえば アナタも私も 名前 ・・ 氏名・・を持っていますよね。
中年おじさん 「ええ・・」
占い師 「名前も 一つの記号 なんですよ。
アナタに名前がないと アナタ個人を特定できませんよね ・・。
中年おじさん 「そう ・・ ですね」
占い師 「時間も 自然界のサイクルを示す
一つの記号 ・・ にしかすぎません」
中年おじさん 「あの・・それと 時計が右に回るのと
どんな関係があるのですか ?」
占い師 「まず 時間という概念が編み出されて
そして1日を24分割すると ちょうどいい具合に
地球が元の位置に戻ってきます」
中年おじさん 「ええ」
占い師 「24分割された時間を 昼までの午前 と 昼からの午後に
2等分しました。 午前と午後は それぞれ 12時間ですよね・・」
中年おじさん 「ええ」
占い師 「時計を見てもらえば分かりますが 数字は 12 しかありません。」
中年おじさん 「ええ」
占い師 「本来は24時間表示でもいい筈なんですが
なぜ 12なのか・・・ これは 月の満ち欠けが1年で12回起きる
ことからきています。そして 昼の12時間 と 夜の12時間 に分けました」
中年おじさん 「・・・」
占い師 「2000年以上前に 古代中国人は 時間の記号を表すのに
干支・・かんし・・ というものを作りました。
これは 子 丑 寅 卯 辰 巳 午 羊 申 酉 戌 亥
という 十二支の記号 で現わします」
占い師 「そして 北の最頂点を 子 と定め 南の最頂点を 午 と定めました。
子と午を結んだことを 子午線 ・・しごせん・・ といいます。
そして 子から午に向かって進む時間のことを
午の前に進むので 午前 と決めました」
占い師 「同じく 午を後にして去っていく時間を 午後 と定めたのです」
中年おじさん 「 え~ そうだったんだ・・
それが 午前 午後 の始まりなんですか・・・
ずいぶんと深い意味があったんだ・・」
占い師さんは 机の上の白紙に 何やら書き込んでいきます。
中年おじさんも 思わず前かがみになって
白紙の上に書かれた文字を 目で追っていきます。
占い師 「 いいですか ・・ 時計の真ん中を 太陽 と想定してください。
そして 針の先に丸い地球がある と想定してください 」
占い師さんは 白紙に書かれた 真ん丸い印の上に
ボールペンをおいて ぐるっと回していきます。
中年おじさん 「・・・」
占い師 「どうですか・・太陽の周りを 右に回る地球が浮かんでくるでしょう ・・
子から午へ 右に右に 午から子へ 右に右に ・・」
中年おじさん「 ん~ でも それは 人間が都合のいいように
作ったんじゃないんですか」
占い師 「違います ・・ では ここに一本の棒が立っていると思ってください
そして 太陽が当たると 日陰ができます。
その 日陰は どちらへ 回っていくと お思いですか・・」
中年おじさん 「(指で描いて) 右に 右に ・・ ですね 」
占い師 「・・ですね 」
中年おじさん 「うーん そっか・・・ ということは
時計は 太陽と地球の 運行状況を示してる ってことなんですか?」
占い師 「 そういうことです 」
占い師 「時計だけでは ありません。
実は 1年365日を示す カレンダー 暦 も
この太陽と地球の運行状況から編み出されたものなんですよ・・」
中年おじさん 「 ・・!! コヨミも・・ですか・・」
占い師 「コヨミのことを説明すると また膨大な時間がかかりますが
暦と 時計は 密接に関わりがあるんですよ・・」
中年おじさん 「 うーん ・・ ( 古代人の知恵の深さに感銘して ) 」
思わず腕に嵌めていた自らの時計を
面上に掲げて見やる中年おじさんの顔は
30数年の謎が解けたように
晴れ晴れとした 少年の顔に戻っていました。








