これからの課題 | 旅と仕事するkogeのブログ

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「大変申し上げにくいのですが、Aさんにはオプショナルツアーを

キャンセルしてもらうべきと考えます。既に他のお客様からも懸念

される声が出ています」

添乗員さんからの連絡は数回にわたった。

問題となったのは、ポンペイでのオプショナルツアー。

Aさんは1人参加で、杖を2本持参していた。それを知ったのは日本出発日。

オプショナルツアーのポンペイ観光にも申し込まれていたため、健脚の方でも

歩くのは大変なのでという説明をしていたものの、歩けるところ

だけでも・・・ということと、自由行動でひとりになりたくないから、という

ご希望であったので、一旦はそのままお受けしたという。

しかし、いざツアーが始まってみたら、AさんのほかBさんとCさんも杖持参

だったというのだ。

当然、各地での観光はスローペースを避けられず(もともと年配の参加者が

多いので時間はゆったり目にとってあるだが)、ガイドと添乗員とでうまく

役割分担をしつつ、Aさん含めBさんCさんとも要所要所でタクシーを使うなどして

どうにかこなしていたが、

途中からAさんがしきりに「皆さんが(歩くのが)早過ぎる!なぜ

もっとゆっくり歩いてもらえないの??」と添乗員に言うようになったという。

実際のところ、Aさんのペースで観光をしてしまうと、3倍の時間がかかって

しまうわけで、残念ながらAさんの言う通りにすることは運行上、到底難しい。

BさんとCさんは、ポンペイ観光には参加をされない。

だから課題はAさんへの対応だけだった。

ポンペイの日が次第に近づいており、これまでの状況をかんがみて添乗員から

やんわりと再考を促すようにしていたものの、なかなかご理解いただけない。

こうなれば、添乗員はガイドと分かれてAさんにマンツーマンで付き合い、

Aさんのペースに合わせてガイドをする方法しか無いのだが、Aさんの参加

したいという気持ちを最大限尊重するにはこれがベストな選択肢であった。

ところが、Aさんは「グループの皆と別行動を取るのは嫌だ。ひとりにしないで

欲しい」と言って、添乗員とのマンツーマンをかたくなに受け入れない。

ツアーの日程も進むうち、そんな空気感が、他のお客様にも伝わってきてしまい、

観光のペースが押せ押せになっているにもかかわらず、

マイペース過ぎるAさんに色々と複雑な思いをしている人がでてきている中での

冒頭の添乗員さんからの連絡であった。



今回のケースは、実はとても難しい問題であると感じている。

業法では「病気や団体行動の規律を乱す等旅行の円滑な実施が不可能または

そのおそれがあるとき」旅行会社はその契約を解除することが出来るとされている。

今回の場合、Aさんにオプショナルツアーの参加見合わせを提案し、

拒否された場合、こちらが契約を解除することが出来ると判断しうる

ケースである。

しかし、一方で来年4月から施行される「障害者差別解消法」を目前にしている

私たちは、ここである種の躊躇を覚える。

Aさんのようなお客様に対して、慎重かつ誤解が無いようにきちんと説明し

対応する必要があるのは言うまでもないことではあるけれど、

真に誰もが納得のいく、かつハッピーな選択肢が果たしてあるのだろうか?

今回のポンペイのように物理的にいかんともしがたい観光地の場合には?

文章やなんだかんだで単純に言い切れる問題ではないと懸念が無くならない。

きちんと伝えられているのか?

差別と捉えられないように誤解無いように説明が出来ているのか?

想定するよりもはるかに困難だと思うが。。。



これまで当たり前だったことがそうでなくなる時代は

もう目の前に来ている。