学問のすすめ/現代語訳 (ちくま新書)
いまから140年以上前に書かれたとは思えないほど
時代を読む抜群のセンス、先見の明に長けているというしかない。
あの一万円札の福澤諭吉である。
現代の日本に生きていたとしたら、どう思うのだろうか。
あーあ、昔もいまも変わらないなあ、などとつぶやくだろうか。
何の前情報もなく読みはじめたので、もっとアカデミックな内容かと
思ったら、愛国心のあり方とか、国民の役目は何かとか、品格を高めるとは
どういうことか、外国人と競う目的、さらには人望や人付き合いにまで言及している。
とくに第9編にある「衣食住で満足するなら蟻と一緒」のくだりは痛烈かつユニーク。
人間は社会的動物であるのだから、常に進化し続け、子孫に知の財産を
残していかなければならない、という考え方。
日本人の自立たるは何たるかを強く問い、真の国民の自立こそが本来の
独立国のあるべき姿であり、国民の意識改革がまさにその核心であるという
視点は、いまの日本にこそ改めて認識すべきだという警鐘のように思える。
- 学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書)/筑摩書房
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