上侍塚古墳は、那珂川右岸の段丘上に位置する前方後方墳で、那須地方に分布する6基の前方後方墳のなかでは最大規模を誇る。
 本墳は、元禄5年(1692)、徳川光圀の命により小口村(那珂川町小口)の庄屋であった大金重貞らによって、下侍塚古墳とともに発掘調査されている。北方1.5Kmで発見された那須国造碑の碑文内容と侍塚の被葬者との関係を探るため行われたもので、日本における最初の学術調査として特筆される。
 鏡・鉄鏃・石釧・小札・鉄刀片・菅玉・土師器高杯などが出土したが、碑文との関係は明確にならず、遺物は絵図にとるなど調査結果を記録したうえ松板の箱に収め、もとの位置に埋め戻した。また調査後は、墳丘の崩落を防ぐために松を植えるなどを行っており、遺跡の保存に関しても、見事な処置を実施している。
 古墳の築造は、出土遺物や墳形の特徴などから4世紀末頃(古墳時代前期)と考えられている。
 なお、本墳のすぐ北側には、全長約48.5mの前方後方墳、上侍塚北古墳がある。
  墳形/前方後方墳 全長/約114.0m
  前方部 長さ/60.5m 幅/約58.0m 高さ/11.5m
  後方部 長さ/53.5m 幅/約52.0m 高さ/6.5m
(大田原市教育委員会)

侍塚古墳
 □所在地 大田原市湯津上
 □員数 2基
 □製作年代 古墳時代
 □大きさ 
  上侍塚古墳 全長114.0m 後方部長60.5m、後方部幅58.0m 後方部高11.5m 前方部長53.5m 前方部幅52.0m 前方部高6.5m
  下侍塚古墳 全長84.0m  後方部長48.0m 後方部幅48.0m 後方部高9.4m  前方部長36.0m 前方部幅36.0m 前方部高5.0m
 侍塚古墳は那珂川右岸の段丘上に立地し、上侍塚古墳・下侍塚古墳の2基があり、いずれも前方後方墳です。上侍塚古墳は栃木県内の前方後方墳では、足利市の藤本観音山(ふじもとかんのんやま)古墳に次いで第2位の大きさを誇ります。下侍塚古墳は上侍塚古墳の北方約800メートルの所にあります。
 元禄5年(1692)に徳川光圀の命により、日本で最初の学術的な発掘調査が上下両侍塚古墳で実施されました。この調査は現在笠石神社に祀られている那須国造碑(国宝)の碑主を求めての調査でしたが、それを明らかにするものは出てきませんでした。
 このとき鏡や管玉(くだたま)、壺(つぼ)など多くの遺物が発見されましたが、これらの遺物は画工に図化させた後に松板の箱に収められ、再び墓中に埋め戻されました。上下どちらの後方部墳頂にもその発掘の痕跡が凹地として今なお残っています。墳丘上には盛土の崩落を防ぐため松が植えられ、現在も美観を高めています。この調査後の古墳に対する保存対策の姿勢は、現在の文化財保存対策の一つの手法として生き続けています。
 出土遺物などの検討から、上侍塚古墳は西暦400年をさかのぼる時期に築造され、下侍塚古墳は上侍塚古墳に先立って築造されたものと考えられています。当時の発掘の様子は、大金重貞(おおがねしげさだ)が著した「湯津神村車塚御修理」や、光圀の家臣の佐々介三郎宗淳(さっさすけさぶろうむねきよ)から大金重貞に出された手紙をまとめた「佐々介三郎書簡」によって知ることができます。
 下侍塚古墳では昭和50年(1975)に土地改良事業に伴う周溝(しゅうこう)の発掘調査が実施され、古墳の規模、周溝の形状が確認され、さらに土師器(はじき)壺などの遺物が出土しました。
(大田原市ホームページ)

 侍塚古墳は上侍塚古墳・下侍塚古墳の2基があり、どちらも4世紀築造と考えられる前方後方墳である。上侍塚古墳は墳丘長114mであり、栃木県内の前方後方墳では足利市の藤本観音山古墳に次いで第2位の大きさを誇る。下侍塚古墳の墳丘長は84mで県内第4位である。
 元禄5年(1692)に水戸黄門の名で知られる徳川光圀の命により日本で最初の学術的な発掘調査が上下両侍塚古墳で実施された。この調査は現在笠石神社に祀られている那須国造碑の碑主解明のための調査であったが、被葬者を解明することはできなかった。
 発掘調査では、鏡や管玉、石釧などの多くの遺物が発見されたが、光圀の指示によりこれらの遺物は画工に図化された後に松板の箱に収められ再び墓中に埋め戻され、墳丘上には盛土の崩落を防ぐため松が植えられた。それに始まる松の木立は現在も上下両侍塚とよく調和し、美観を高めている。この調査後の古墳に対する保存対策の姿勢は、現在の文化財保存対策の一つの手法として生き続けている。また、毎年霜降(そうこう)の日にはこも巻きが行われ、翌年の啓蟄(けいちつ)の日にはずされる。これらの行事は季節の風物詩として定着している。
(とちぎの文化財ホームページより)

 場所:栃木県大田原市湯津上
 特徴:大田原市なす風土記の丘湯津上資料館
    住所:栃木県大田原市湯津上192 tel:0287-98-3322 
 撮影:2020年9月20日、2023年7月9日

 

■2023年7月9日

 

■2020年9月20日