虎塚古墳は、大字中根指渋に位置し、本郷川右岸大地に築かれています。
全長56.5mの前方後円墳で、後円部は直径32.5m、高さ5.7mで前方部は幅38.5m、高さ5.2mを測ります。
前方部が発達した後期古墳の特徴を持っています。
昭和48年(1973)の発掘調査により、後円部南側に凝灰岩製の横穴式石室が発見され、石室内には、東日本でも珍しい保存状態が良好な彩色壁画が見られました。壁画は
凝灰岩の表面に白色粘土を塗り、ベンガラ(酸化第ニ鉄)で連続三角文や環状文などの幾何学文と、靭(ゆぎ・・・弓矢を入れて背負ったかご)・槍・盾・太刀などの当時の武器・武具や馬具・装身具などの文様が描かれています。天井や床面も赤く彩色されています。
石室の内部からは、成人男性一体の遺骸と、黒漆塗大刀・刀子(小刀)・鉄鏃(鉄の矢じり)などが出土しました。墳丘の特徴や出土遺物から7世紀前半頃に造られたと考えられます。
また、当古墳は、石室内調査に先立って、石室内の科学調査(湿・温度、空気組織、微生物等)を日本で最初に実施した古墳であり、公開保存にあたっては、これらの貴重な記録をもとに施設の設計・施工がなされ、昭和55年(1980)に完成しました。
春と秋には壁画の一般公開が行われています。
(指定日 昭和49年(1974)1月23日 ひたちなか市教育委員会)
場所:茨城県ひたちなか市中根3499
特徴:ひたちなか市埋蔵文化財調査センター
撮影:2020年2月2日