山本兼一の『利休にたずねよ』を読みました。

 

・日本茶インストラクターの資格を得るためには日本の歴史知識が必要

・茶道の祖と言われる利休のことを知っておこう

という理由から、この小説を読み始めました。

ちょうど人にこの話をしていたところ、映画もあると聞き早速DVDも借りてきました。

 

 

あらすじ

利休の半生を、彼の死ぬその日から過去に遡っていくという形式で書かれた物語。

彼自身、また彼の周囲の人物の視点から回想していくというもの。

利休が若い頃、恋をした女がいた。高麗から売られてきた姫だという。

彼女を匿い、心中を試みる二人だが、利休だけが生き残ってしまった。

彼女の持ちもの、緑釉の香合に彼女の爪を入れ、利休はそれを持って生きていく。

ある時、秀吉にその香合を見られ献上するよう言われるが、拒否をする。

それほどに大切にしている香合、女といた狭い空間、それが利休の茶や狭い茶室に反映され

彼の茶に艶っぽさを醸し出し人々を引き付けている。

ラストは利休が切腹し、妻の宗恩はその香合を投げて壊してしまうところで終わる。

(映画だと宗恩はこの香合を壊せず泣きはらして終わる。)

 

感想

ラストシーンで情景がふわっと頭によぎり、人生の儚さに感動する作品でした。

 

作者 山本兼一さんは博物館で利休の黒い水差しをみたときに艶っぽさを感じ、

それが今回の利休像に繋がったと言います。

女人の存在が、それを醸し出している。

周囲には言わずとも、秀吉に「女か」と気付かれ、妻や妾にも「女の存在」を察知されている。

完璧に見える利休のそれに、人間らしさを感じます。

また青年期の利休は、元々不良少年であったという設定で

実直で生き生きとした青年から、芸術家らしさを感じました。

読み応えのある小説でした。他の方の描く利休も知りたくなりました。

 

有名な歴史上人物。例えば細川忠興、古田織部、狩野永徳。

忸怩にも学生の頃習ったな…という記憶のみ、名前のみ知っているという粗末な知識しかありません。

そこでノートに登場人物を書きつつ読み、これが功を奏し

随分とすっきり「この時代のこういった役職の人物」と理解が出来ました。

 

重みのある小説でした。

次は頭を軽くするために自己啓発本に手を出そうと思います♪