肺が左右共に真っ白に映る滲出性肺炎だ。ウイルスのために肺が体液で満たされ、肺の呼吸機能を奪い、罹患者の命を奪うのだ。ジジイが学生の時に同級生の一人がこの滲出性肺炎で命を奪われそうになった。

  重症化すると鉄の肺で酸素の補給ができなければ患者は死亡する。肺の滲出性炎症を消退させ、肺機能の回復ができれば治癒だ。今でもその同級生は生きている。ただ、緊急の入院で鉄の肺を使用したかどうか知らない。

  今、振り返っても二十歳過ぎの男子学生でで体力もあったので助かったと思う。コロナウイルスの病因子が肺の滲出による呼吸不全なら、回復するまで鉄の肺使用で抗体ができるまで呼吸を維持することが治療になる。

  絶対的に鉄の肺数は少ないだろうから、ジジイも含めてだが回復が遅く、健康を取り戻してもたいして先のない高齢者の治療優先順位は下がるものだろう。人工的に作ったウイルスだったとしても、ウイルスは生物学的な弱者を狙う性質を失っていないのだろう。

  ウイルス禍は人類を強くするのか、などと思うジジイだ。