『自称”コミュ障”が人をビビらせるぐらいにちゃんと怒れるようになる』 | 声の大学

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特殊発声を得意とするボーカリストで、発声コンサルタントによる、短期間で劇的に声を変えるための活動

人は癖で覆われた生き物だ。

その覆いが取れると、
劇的に変化するコトがある。

今回もそんな場面に遭遇した。

 

現在、個人レッスンを受講している田中さんという方がいる。

 

会社でのコミュニケーションに課題を感じ、
受講してきた方だ。

 

毎回ちゃんとワークをこなし、
少しずつ良い方向に変化していったのと、

 

会社での状況もどんどん変化していったので、
課題も毎回変わっていった。

 

前回からは「ちゃんと怒る」が課題だった。

 

私もそうだが、
怒るという感情は実に厄介だ。

上手に怒れる人が本当に羨ましい、といつも思う。

 

また、日常のコミュニケーションを変化させるのが難しいのは、
 

癖や習慣の長さが、
歌などの非日常的な発声とは、
段違いに長いからだ。

 

それを変えるには、
習慣やクセを続けてきた時間と相対しなければならない。

 

だから、むしろ「特殊発声」や「ウタ」の方が
劇的に変わりやすい。

 

ところが、今回は凄い変化が見れた。

 

会の最後には、
田中さんが、ワークのペアを組んだ相手は勿論のこと、
 

第3者的に見ていた私でさえもビビるぐらいに

彼は怒りをちゃんと表現できた。

 

しかも凄く自然に。

 

実に感動的だった。


 

やったコトはシンプルだ。

 

具体的な「怒りたい」シチュエーションを思い出してもらい、

ペアを組んだ人とそれを再現する、

というモノ。

 

ここでのポイントは、

1.この様子を、動画で撮影すること。これは、後で見返すためだ。

 その理由は後述する。

 

2.再現した後は、自分の印象を述べてみる。

 この時、以下の順で印象を述べる。

 a.出来た点 b.課題・改善点

 

 この順が大事なのは、

 「出来た点」をちゃんと認識させるためだ。

 

 「出来たこと」の積み重ねが目標達成に繋がる。

 

3.次にペアを組んだ相手から、

 または第3者から印象を聴く。

 

 この時点で、「自他の印象の乖離」が埋まる

 

4.最後に撮影した動画を見返す。

 

  これによって、より客観的に自分を見るコトが出来る。

 

 

途中までこのプロセスを2回繰り返してもらい、

最後に、私がアドバイスをした。

 

一つは、

1.相手にちゃんと怒りが伝わるように、

 相手を身体の感覚で認識すること。

 

 これは意外と出来ない人が多い。

 

 特に、こういうボイトレの場では、

 「やり方」に集中してしまい、

 相手を認識することが疎かになりがちだ。

 

 しかし、「声」は、「出し方」よりも、

 「相手に届く」ことが何より大事だ。

 

 声を届ける対象を、

 身体の感覚でちゃんと捉えていれば、

 声は「勝手に届く」

 

 

次にしたアドバイスは

 

2.上手に怒る人を真似すること

 

怒り慣れてない人に、

自身の経験から怒り方を探らせるのは無理がある。

 

なので、過去に見聞きした「ちゃんと怒りを表現している」人を思い出し、

「その人になったつもり」でやってもらった。

 

これも「身体の感覚」が重要だ。

 

ちゃんと怒っていた、記憶のその人は、

どんな身体の感覚だったのか。

それを明確にしてもらう。

 

これは「演技」のようでいて違う。

 

私たちは、小さい頃から、

周りの人たちの真似をするコトで

感情表現を覚える。

 

つまり、「真似る」というのは、

人間の基本スペックなのだ。

 

この「真似」で、田中さんは面白いぐらいに変化した。

 

それまでは、ぎこちなさや、

怒っていることがあまり伝わらなかったが、

 

物凄く上手に怒りを表現できたのだ。

 

しかし大事なのは、

こういう怒り方は

既に田中さんの中に存在していた、

というコトだ。

 

記憶と真似は、

それを引き出したに過ぎない。

 

 

最後にしたアドバイスは

 

3.すぐに動ける状態になるコト。

 

今にでも対象に掴みかかれる状態になるコト。

これだけでかなり迫力が増す。

 

また、怒りに限らず、

「動ける状態」は発声を良くする。

 

というのは、

発声は全身運動だから。

 

逆に言えば、

全身の助けが無いと、

発声は限定的になる。

 

この段階で、

田中さんとペアを組んだ相手は勿論のこと、

第3者として見ている私でさえ、

田中さんの怒りに「怖さ」を感じた。



 

日常的な発声でも、
これぐらい劇的に変化する、
というコトを間近で見るコトが出来たコトはとてもとても良かった。

 

人間には可能性が秘められている。

それを知るコトが出来るのでレッスンは止められない。


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