昭和49年に帝国劇場公演の「風と共に去りぬ」と「パノラマ島奇譚」と3ヶ月私は宝田明さんと共演させて頂いた。
菊田一夫先生が亡くなられてから1カ年菊田一夫演劇祭として、東宝の名物プロデューサー佐藤勉さん、そして中村たか夫演出で2ヶ月ほんものの馬も出演して楽しく盛り上がった「風と共に去りぬ」でした。
出演者も宝田明。上月晃。三国連太郎。葦原邦子。横内正。淀かほる。宮城まり子。東郷晴子。益田喜頓。村上冬樹。門田美恵子他で多彩。
レッド•パトラーの宝田明さんは颯爽として魅力的でした。2ヶ月間御一緒したので終演後も数人でよく六本木あたりに飲みにいきました。
私は酒は飲めないが宝田さんとの会話ははずみました。時折中国語を交えて駄洒落なんか面白可笑しかったです。あんなに気楽で楽しかったのが今もはっきりと憶えてます。
おかげで千秋楽の日は寂しいもんでした。
打ち上げパーティは帝国劇場9階稽古場でやりました。プロのコンボバンドもはいり歌に踊りに華やかでした。
最後に私の作•演出のパロディー「風と共に去りぬ」上演です。稽古も数回重ねて時には厳しくでも楽しく行い出演者の前で出演者が演ずるパロディーですが、いがいと緊張している俳優もいるんです。
宝田明さんがセンターの一番前で見ていてくれてゲラゲラ大笑いして下さったのが目につきました。
帝劇の公演だから出演者、スタッフ、100人以上おります。
こんな時に舞台っていいなあと素直に感じました。
そうして8月に「パノラマ島奇譚」江戸川乱歩原作井上梅次演出の公演で再び宝田さんとの御一緒です。
こちらはチーター事、水前寺清子主演です。
宝田明さんの役は、ペテン師長曽我部久太郎で、かくされた秘密をもつ役でそれを暴く探偵が益田喜頓さんです。
他の出演者は、フランキー堺。南美江。佐々木功。川口恒。小柳久子。重山規子。小原初美。磯村みどりです。水前寺清子ショーもあり楽しい舞台でした。
小原初美さんのバトントワラーも楽しいものでした。
宝田明さんていかにも明るい楽しい東宝映画カラーを感じてしまいます。心優しい人でした。然し毅然と反戦の主張はしてました。
ヒットした歌謡曲「美貌の都」は好きでした。すったもんだと言ったとて 嫌いは嫌い好きは好きと透き通る様な語り口でした。哀しさと思いやりのある、このうたは、私も持ち歌にしてました。
ついこの間迄元劇団東宝現代劇で元劇団四季の俳優沢木順君と宝田明さんはミュージカル•ショーの舞台をやってたので、まだまだ元気だと思ってました。
残念!としか言えません。