猫空と書いて「マオコン」と読む。
ネーミングに魅せられて、自然と足が向いた。

台北市の南の郊外の丘陵地帯。
台湾でも有名な鉄観音茶の栽培地。
90軒以上の茶農家が並び、山の上から望む茶畑は「のどか」そのものだ。

昼飯後、そんな景勝地に行ってきた。

猫空の見所の一つに、
そこへたどり着くまでの行程がある。
猫空ロープウエイだ。

MRTの終点「動物園駅」から数分歩くと、
同名のロープウエイ駅に着く。

休日ともあり、乗り場は長蛇の列。
列の最後尾に並び、少しずつ建物に吸い込まれる観光客に従い歩く。
1時間ほど並んだだろうか。ようやく乗り場までたどり着き、
8人乗りのゴンドラへ身を入れる。

2007年に開通、
約4キロを14分で結ぶ壮大なロープウエイ。
これが本当にすごいのだ。

ガタンとひと揺れし、
ロープに吊り下げられたゴンドラは山に向かって動き出す。
小高い山を一つ越えると、
そこには想像もしていなかった光景が広がっていた。

ゴンドラ

山沿いに斜面を引っ張られて登っていくのではなく、
山と山の間に張られたロープに吊るされ渡る感じ。
これにはびっくり。風が吹くと感じる恐怖。

4つ、5つの山を越えて、猫空に到着。
台湾の技術は結構すごいぞ、と感心した。

猫空は山の上にあり、空気がおいしい。
周りは緑一色で、心休まる。

お茶屋を目指し、しばし歩く。


茶店

いくつかの店を通り過ぎ、
数軒目の雰囲気のよいお茶屋を選び、
案内されるままに席に着く。
日本語を少しだけ話すお姉さんに説明を受け、
350元の地元栽培の茶葉と、やかんいっぱいの湯を注文し(100元)、
汗をぬぐいながらガスコンロで沸かされる湯を眺めていた。

茶

湯が沸騰すると、お姉さんが席に寄り、説明を始めた。

①湯を沸かす
②沸騰した湯を急須に入れる
③湯を、聞香杯と湯飲みに注ぎ、温める
④急須に茶葉、湯を入れる
⑤聞香杯に茶を注ぎ、香りを楽しむ
⑥湯飲みに注ぎ、茶を飲む

作法はだいたいこんな感じだった。
湯飲みを温めるところと、
まずは香りを楽しむことがポイントのようだ。

「7回急須に湯を注いでください」
お姉さんは最後にこう言った。

どうやら、それくらい茶を出すと、
茶葉から適度に渋みが抜け、
料理に使えるようになるという。
この時期の茶葉は食用に適し、
茶葉料理に舌鼓を打つことができるそうだ。

結局急須3杯でギブアップしたのだが、
お茶の里猫空では、
カタカタ回る扇風機の羽音を聞きながら、
遠くまで延々と広がる茶畑を眺め、
ゆっくり、のんびりと穏やかな時間を過ごしたのだった。

茶畑

陽が落ちる前に、
駅前に構える屋台で焼きそばと黒蜜入りの愛玉を食べ、
猫空を後にした。

二度目の乗車でも、
やっぱり空中ゴンドラは怖かった。