ねずみを連れていった無門は あの後
ねずみに何か名をつけたかしら
いくらなんでも「ねずみ」じゃ
のちのち困るだろうし
でも
お国がねずみを
「ねずみどの」と呼んだから
ひとりの人としてそう呼んだから
それ以外の名を与えるよりも
お国の形見みたいに
「ねずみ」って名を
大切にしたんじゃないか
成長したねずみが
自ら新しい名を名乗ることは許しても
無門自身はずーっと
「ねずみ」と呼び続けたんじゃないか
でも
自分の「無門」という名は
もう使わなかったんじゃないか
「無門」しか名がないことを
お国が「かわいそうに」と
いとおしんでくれたから
それで充分と思ったんじゃないか
むしろそれ以降
お国以外の誰かに
その名を呼ばれることを
嫌ったんじゃないか
とかとか 無責任なこと思った
（三女に借りるつもりだった原作
夏休みの間 三女の友達のもとを点々としていまだ戻らず
相変わらず未読のわたくし
もう図書館で借りよーかな…）