すっぱくない葡萄 | sgtのブログ

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歌うことが好きです。コロナ禍で一度はしぼみかけた合唱への熱が''22年〜むしろ強まっています。クラシック音楽を遅まきながら学び始める一方、嵐の曲はいまも大好きです。


したいけどできないっていうのは
楽しい気持ちなのかもしれないねえ

(いがらしみきお『ぼのぼの』第4巻
フェネックギツネくんの
おとうさんの言葉)










圧倒的な差を見せつけられると
なんだか嬉しくなる


もちろん一度は
コテンパンにへこむ
「ちくしょ!何これ、
アタシのやってることなんか
まるでアホみたいじゃんか!」


で、ちょっと自暴自棄になったり
それも複数回


この前の第九の
ソプラノのソリストさんの声は
凄かったなぁ…
どんなに高音になっても
まったくキンキンすることなく
天から降り注ぐ優しい雨みたいに
やわらかく包み込むような音って
一体どーゆー喉してんの ⁉︎


まして殺人的なスケジュールの中
ボイストレーニングしてる時間なんか
絶対に取れてないはずのあの人の声が
どうして、こうも、なんの力みもなく
あっさりとひとつの「正解」を
示してしまうのか
何度も何度も聴きたくなって
ちょっと間を空けるともう聴きたくて
中毒というよりやっぱりただのバカ


目指すゴールは全く違うところにある
そうとはわかっていても
同じことしてると思うだけでもう
恥ずかしくて消えたくなる


自分なりに設けた目標どころか
日々の練習でも安定しない自分の質
ちょっと気を抜くとすぐに上ずる声
チューナーの針はいつも
ちょい右めに振れてしまって
こんなキカイひとつ納得させられない
自分がこんなこと続ける意味?
とか ついつい考えがち


敵わねーよ
もちろん敵おうなんて
思っちゃいないけど


寓話のキツネみたいに
どんなに跳び上がっても届かない
たわわに実った葡萄は
あまりにも綺麗で美味しそうで


フンだ、どうせあんな葡萄
すっぱくて食えたもんじゃないさと
捨て台詞とともに去るなんて
ハッタリすらかませない


だって絶対すっぱくなんかないもん
もし食べれたら死んでもいいってほど
美味しいに決まってるもん 絶対


だからアホ丸出しなのに
やめられないんだよ


はい、負け。
みんな降参だぜ。


結局 葡萄が欲しくて
キツネは懲りもせず繰り返し跳んでる
とっくに成層圏の彼方で遊んでいて
ここから見えないものを見上げながら


でも、自分の頭上にその
美しいものが輝いてると思うだけで
幸せになっちゃったりする
その輝きの特別さを感じとれる
自分が誇らしかったりする


別にアタシのために輝いてんじゃない
そうとはわかっていても


あぁ、もっかい、聴こ。