お姉さんが話をした後、妹さんが話をしました。

 

会場に着いてすぐの時、ハリの隣に立つ背の高い綺麗な女性が私の名前を呼ぶので

 

「え?」と思ってよく見たら

 

成長した妹さんだったのでびっくりしました。

 

金髪だった髪が黒くなっていて(染めていたのかな?)

 

ハリよりも背が高くなっていたので

 

一瞬誰だか分からなかったのです。

 

ハリはすぐに分かったと言っていたのですが

 

私はよく一緒に遊んでいた頃の小さい彼女を思い浮かべていたので

 

一瞬に時を早送りした様な出会いで気が付けなかったのです。

 

元から可愛い顔をしていたけど

 

今はすごく美人な女性になっていました。

 

17歳だけど大学に通って2年目だと言っていました。

 

ハリが彼女のお兄ちゃんと仲良く遊んでいた頃

 

彼女ももれなく付いて来ていたので

 

3人はいつも一緒に遊んでいた思い出があります。

 

もちろん、男の子二人が遊んでる中で、彼女はおまけっぽい感じがしないでも無かったのですが

 

それでも仲間はずれにしていた様子も無かったし

 

出かける時に一緒にいる思い出が多かった気がします。

 

あの頃は金髪で、いっつもニコニコ笑っていて

 

楽しく遊んでた思い出がたくさんあります。

 

もちろん兄弟喧嘩もしていましたが

 

私が撮った写真にはいつも笑っている彼女が映っています。

 

そんな彼女がみんなの前で話をしました。

 

すらっと背の高い、笑顔の可愛い彼女が言うには

 

彼女は4人兄弟のうちの一番下で

 

家族の中で忘れられた存在、無視される存在だったと言うのです。

 

いつもハッピーで手のかからない子なので

 

気にかけてもらうことはほとんど無かったと。

 

彼女は感情が無く、人間のいろんな感情が理解できなかったけれど

 

お兄さんの死で初めて悲しいと言う気持ちが分かったと言っていました。

 

私は自閉症です、と言いました。(ちゃんと診断されているのかどうかは知りませんが)

 

そんな彼女はサッカーをしている時に頭を強く打ってから

 

脳に何かの損傷を受けてしまい

 

今までの様に体が動かないし

 

走ることもできない

 

その上、この4年間ずっと頭痛を患っているそうです。

 

今まで唯一家族から褒められる要因になっていた自分を象徴する【サッカー】が出来なくなり

 

何も無くなってしまったと。

 

そんな彼女も、お兄さんとは別の理由で

 

死を考えていたと。

 

だからお兄さんと良く死について話をしていたそうです。

 

お兄さんが亡くなってしまったと言う話を聞くだけでもショックなのに

 

私はあの頃可愛がっていた

 

小さくっていつも笑っていた妹がこんな状況に置かれていたと知って

 

どっと涙を流してしまいました。

 

4年間毎日頭痛を抱えている?

 

前見たく走れない?

 

運動能力を失ってしまった?

 

それで居て高校飛び越して大学に通っているって?

 

どんだけ頑張ってるのよ?

 

彼女にはすでにパートナーがいて

 

彼女が言うには

 

『私が子供を産んだら絶対に遺伝するから、絶対に私の様な子供は産みたく無い。

 

だから私とパートナーは話し合って、二人でフェレットを育てることにしたの。』と笑って話していました。

 

そのパートナーは

 

お兄さんが亡くなる1年前頃に自殺を考えていた事もあったけれど

 

今ではお兄さんの死がこれだけの悲しみをこんなに多くの人に与えている事を知り

 

絶対に自分では命を絶たないと決めました・・・とみんなの前で話してくれました。

 

妹さんはニコニコ笑っていて可愛い子だったけれど

 

やることは結構突拍子も無い感じだったかも・・・と昔を思い出しながら話を聞いていましたが

 

びっくりしたのは

 

お兄さんの亡骸を見つけた時に

 

中指を切り落として取っておきたいと家族に言って、止められたそうです。

 

『それは遺体損壊で、法に触れるし・・・。』と誰かが大きな声でつぶやきました。

 

彼女はお兄さんの中指を綺麗に切り取って骨にしてから

 

それをネックレスにして毎日つけていたら

 

自分がこれから行くであろう世界中の場所にお兄さんもついてきて

 

その行く先々で中指を突き立てて

 

『ファッ○ ユー』と言えるからと思ったそうです。

 

この話を聞いてみんながなるほど!と言う感じで笑いました。

 

でも実際にやっていたらちょっと引いてしまったかも知れません。

 

『今はもう灰になってしまったから取り出せないけど。』と言っていました。

 

たくさんの思い出話を聞いた後に妹さんの告白を聞いて

 

私は泣きすぎで目の周りが痛くなっていました。