ハリが水泳を始めてかれこれ4年も立ったのかなあ

最初はレッスンというのに通って、高校生のお兄ちゃん達とかに

基本的なことを教わり

次に男性のコーチから泳ぎ方を学んでいましたが

そのコーチは別のチームのヘッドコーチになることに決まり

チームを離れて行きました。

その後で、アシスタントコーチに来た大学生のお兄さんが

ハリの中級レベルのコーチだったので

そのお兄さんに長いこと泳ぎを教わっていました。

この1年くらいだったか

ハリは格が上がって、一番上のレベルとなり

レッスン当初からヘッドコーチだった

チームを率いている女性のコーチから泳ぎを教わることになったのです。

大学生のお兄さんはいつか居なくなると思いながらみんな接していたと思うけど

そのヘッドコーチはずっと居ると思っていたのでしょう。

彼女が新しい道を歩くことにして

チームを離れると決めたことで

子ども達は水泳をやめたいと言い出しています。

彼女は、低所得家庭の子ども達を助けたい

何かをしたいと言う気持ちから

水泳を通して

子ども達を健全に育てる手助けをするべく

コーチをしていました。

本来ならとてもお金のかかるスポーツである水泳を

低所得者の家族でも通えるように敷居を下げ

子ども達の運動能力だけではなく、学力の向上にも気をつけながら

自ら宿題を手伝う時間を作ったり

高校へ入る準備をしたい子どもに特別に勉強を教えたりしているのです。

話し方がきつく、誤解を受けやすいコーチでしたが

子どものことを一番に考えている人でした。

私が

「一番厳しいコーチでしょ?」とハリに聞くと

「全然厳しくないよ、優しいよ。前のお兄さんの方が全然厳しかったよ。」と答えが返って来ました。

ハリの前のコーチはニコニコしてて、人当たりも良いのだけど

練習メニューがかなりきつかったとハリが教えてくれました。

(おかげでかなり鍛えられましたが)

子ども達はそのヘッドコーチになついていたのですね。

彼女は今年結婚をし、次のステップとして弁護士になるべく

勉強をしたいのだとか。

水泳チームを率いているだけでは

助けを必要としている多くの子どもを助けられない

弁護士となって、そちらのフィールドでもっと大きな視野で手を差し伸べたいと。

彼女がチームのコーチをやめることに対しては、みんなとても憤慨しているのですが

彼女の目標や夢を実現させるために前に進むことに対しては

みんな喜んで応援したいと思っています。(複雑でしょ)

彼女は後任のコーチを探し、ちゃんと引き継ぎをして行くので

安心するようにとみんなに言いました。

その候補者が昨日プールに来たそうで

子ども達は必ず会いに来るようにと言われました。

ハリも放課後に急いで行きました。

私は会えなかったけれど、見に来たお母さん達に聞いたら

『なんか良さそうな人だよ。しっかり考えを持ってるみたいだし、良いんじゃない?』と

言っていました。

コーチ曰く

『子ども達にとってね、ずっと同じコーチについて泳ぐのは余り良くないのよ。

馴れ合いになってしまってちゃんと泳がなくなったりするしね。

ハリは別のコーチと泳いでいて、最近私に変わったでしょ?でも

中には始めたときからずっと私に教わってる子ども達が居るの。

そういう子ども達はそろそろ

別のコーチと泳ぐ必要があるのよ。

今日なんか凄かったわよ。

新しいコーチの前でみんな凄く良い泳ぎをしてくれて

「良い選手が沢山居るね。」って言われた位よ

あれだけ出来るのに、私と練習してるときはその力をちゃんと出してない子どもばかりで

それは予想していたけど、笑っちゃったわよ。

みんな練習中に手を抜くことを覚えて、ちゃんと泳いでないの。

一人だけ良かったんじゃないのよ

来ていた子ども全員が

普段より全然良い泳ぎをしたって言うのが証拠ね。

選手として、新しいコーチにつくって言うのは絶対に得するから

悪いことにはならないわ。』

取りあえず、ハリの大学生のお兄さんコーチに

ハリがやめたいと言っていることを伝え

後で話をしてくださいね~!とお願いし

今のヘッドコーチにもその話をして置きました。

『大丈夫。みんなとちゃんと時間をつくって話をするから。』ですって。

ハリは『ぼくが水泳を続けていたのは今のコーチが居るから。

彼女がやめてしまうんだったらぼくはもう続けない。』って言ってると言って

後でよく考えたら、

「あんたのメインコーチはあのお兄ちゃんの方じゃん!」と思ってしまいました。

(長いこと教わっていたのはそっちのお兄さんからなので)

失礼な!

でもコーチ曰く

『ほらね。そうやって

新しいコーチにすぐに馴れるのよ。

今まで別のコーチと泳いでいたことを忘れてしまう位なんだから

新しいコーチともうまく行くわよ。』だって。

ハリには

「水泳やめたら土曜日は毎週日本語学校へ送るぞ!」と脅してあるので

大丈夫。

でも、納得して続けてもらいたいので

コーチが話してくれることはありがたいです。

ハリがこのチームに所属していることがとても大事なことだと思うのです。

ちなみにハリに

「新しくコーチになるかも知れない人の面接があるんだって。

何か質問とかあったらしておきなさいね。」と言っておいたのですが・・・

「ハリはちゃんと手を挙げて質問していたよ。何て質問したか聞きたい?」と

その現場に居た別のお母さんに言われました。

「聞きたくない。どうせ関係ない質問したんでしょ?知りたくない。」と言ったのに

「でもいっちゃうね。そのコーチにね手を挙げて

『好きなゲームは何ですか?!』聞いてた。私は大笑いさせてもらったわよ。」だって。

「その時に居なくて良かった。」とつぶやいてしまいました。

でもハリのお兄さんコーチは別にそれが普通のハリだから・・・と

余り気にしてない様子でした。

それはそれでまたなんか複雑な気持ちでした。

ハリのことを分かってくれているからこそ、別に変だと思わないと言うのが・・・

普段からどんだけ場違いな話をしてるのか???

知らない方が良いので考えないようにしておくことにしました。