5月15日付「所沢市の放射線対策に関する要望書」への回答を市から頂きました。

市からの回答書(2012年5月)

所沢市の放射線対策に関する要望書(回答)

日頃から、所沢市政に対しましてご協力を賜り、誠にありがとうございます。
2012年5月15日付標記要望については以下のとおり回答いたします。

【1.給食食材の放射性物質検査】

【要望】食材の放射性物質による汚染は、今後長期にわたります。事故から一年以上たち、今後は今まで以上に魚介類、加工食品などの汚染も懸念されます。ぜひ、所沢市で検査機器を導入し、汚染の可能性が高い食材を中心に放射性物質検査を実施していただきますようお願いします。

【回答】所沢市では、学校給食について成長期にある子どもたちにとって大変重要なものと認識しておりますので、細心の注意を払い、食材を調達しております。

【要望】4月から食品の基準値が新しくなりました。これを受けて農水省は、国より厳しい独自基準を設ける企業などに国が設けた基準を守るようにという通知を出しています。一方文科省は昨年、自治体が食材検査のために購入する検査機器の限界値は40ベクレルが目安としています。また、札幌市のようにキロ当たり4ベクレル未満の食材しか給食には使用しない方針をとっている自治体もあります。様々な見解が林立する中、所沢市として、子どもが食べる給食食材の目安としている基準がありましたら教えてください。

【回答】所沢市では、成長期にある子どもが摂取することから、厚生労働省が示す暫定規制値をはるかに下回るものを使用することを方針とし、食材に含まれる放射性物質が「不検出」であることを確認したうえで使用しております。

【要望】今までの所沢市の検査では、出来る限り低い限界値で検査を実施するという方針のもと、外部機関に委託しゲルマニウム半導体を用いて実施してきました。一方、米・小麦など埼玉県学校給食会から提供される食材は、給食会で検査が行われていますが、限界値が10ベクレル/Kgとなっています。学校給食会やその他の食材を提供するメーカーや行政にも、可能な限り低い検出限界値での検査を求めるべきと考えますが、いかがでしょうか?

【回答】食材の検査体制につきましては、業者説明会などを通じて業者に対して、放射能物質の検査体制の整備をお願いしております。

【要望】所沢市では現在のところ、検査機器を導入する予定も、定期的に外部委託して検査を実施する予定もないと伺っています。定期的、継続的な検査が必要ないとされるのはどのような理由からでしょうか?

【回答】定期的、継続的な検査については、社会状況を勘案しながら必要に応じて検査をおこなってまいります。

【要望】今年1月から、それまでの給食食材の単体検査ではなく、5日あるいは6日分をまとめて測定するまるごと検査が実施されました。検査方法を変更した理由を教えてください。

【回答】まるごと検査につきましては、サンプル検査の漏れを網羅できると考えております。

【要望】まるごと検査に関しては、単体食材の汚染は分からず、むしろ薄まって検出されない、という指摘もあります。この点については検査の妥当性についてどのように判断されているでしょうか?

【回答】検査の妥当性につきましては、実際に子どもが何ベクレル摂取しているかを知ることが出来ます。また、その地域の「日常食」及び「不検出(ND)」の食品の汚染の実態を推測する指標となることから、効果的な検査と考えております。

【要望】現在、給食食材産地選定の参考としている都道府県実施の調査では、検体数も少なく、また検査の下限値も統一されていなため、選定の基準として適しているとは言えないと思いますが、市としては十分基準となりうるとお考えでしょうか?

【回答】現在、各都道府県のホームページの検査数は少なくなっておりますが、それらを補うために市町村の学校給食での食材検査結果も確認しております。

【要望】杉並区では、ゲルマニウム半導体検出器を購入し、運用を開始しています。自治体レベルでも詳細な検査が実施されます。所沢市でもこの検査機器を導入し、給食食材のみならず、水、土壌など市民が生活において心配とされる物の測定に活用できないかと考えますがいかがでしょうか。

【回答】学校給食での機器の購入に関しましては、外部に依頼することにより精度の高い検査が出来ると考えております。また、水道水につきましても、外部の専門業者に依頼し定期的に検査を実施しております。

引き続き安全な食材の確保に努めてまいります。

【2.土壌汚染調査の実施について】

【要望】所沢市では土壌調査は実施されておりません。子どもたちが長時間過ごす学校校庭や公園などの土壌は、そこからの被曝の影響を客観的に判断するためにも、土壌調査を実施していただきたいと思います。

【回答】所沢市では、定期的に空間放射線量を測定しており、「所沢市における周辺より放射線量の高い個所(ミニスポット)への対応方針」に基づき、その結果等を踏まえ、対応しております。今後につきましても、関連情報を得ながら子どもの安全を第一に考え、慎重に対応して参ります。

【要望】個人的に市内3カ所の公園土壌を測定した結果、表面から1㎝採取した土壌で、セシウム134とセシウム137合算で350~440Bq/Kgの汚染がありました。事故前は原子炉等規制法によりセシウム換算で100Bq/Kg以上の汚染のものは放射性廃棄物として厳重に管理されていました。事故前と比べてはるかに汚染された土壌の上で各種活動を行っている所沢市の子ども達の現状について、どのように認識されているでしょうか?

【回答】東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴い、日本各地の広域に放射性物質が降下し土壌が汚染されたことは、大変遺憾に思っております。
市内の土壌に沈着した放射性物質の影響につきましては、空間放射線量の測定により概ね把握できるものと考えております。また、埼玉県では大気や食品などを通じて受ける放射線量は原発事故前と比べて約0.25msv増えると推計し、日本全国の自然放射線量による年間線量の地域差(最大約0.38msv)の範囲内であることから健康に影響を与えるレベルではないとしており、所沢市でも同様と考えております。
なお、学校校庭や公園における土壌汚染調査につきましては、現在のところ所沢市独自に放射性核種に係る土壌分析等を行う予定はございません。

今後とも、放射性物質に関する情報収集を続け、放射能に関する正しい知識の普及啓発に努めてまいります。

【3.被災地瓦礫の受入ではない復興支援を】
 各地で、被災地の瓦礫を受け入れる取り組みが進められており、埼玉県も例外ではありません。被災地の瓦礫に関しては、広域処理割り当て分が全体の約2割であることから、広域処理が進まないことが被災地復興の妨げになっているとは考えにくい状況です。また、放射性物質の問題以外にも、膨大な費用をかけて遠方で処理する点についての問題点、被災地では域内で処分を希望する声もあるなど、広域処理そのものの必要性が問われています。所沢市として、問題が多い瓦礫の受入ではなく、別の形での復興支援を望みます。

【要望】市では今まで、最終処分場がないことを理由に受入の予定はないとしてきましたが、最終処分場の条件が整えば、瓦礫の受入を進める方針でしょうか?

【回答】瓦礫の受入については、焼却灰などの最終処分を始めとした諸条件がクリアされれば、受入協力に向けて検討して参りたいと考えております。

【要望】徳島県は、事故後の放射性廃棄物に対する扱いが安全性の根拠もないまま緩和されてしまったことなどから、広域処理も十分な検討がないままでは受け入れられないという見解を示しています。
資料【徳島県ホームページ 徳島目安箱へ寄せられた提言と回答】
http://www.pref.tokushima.jp/governor/opinion/form/652
こうした見解について、所沢市としてはどのようにお考えでしょうか?

【回答】4月16日に県庁で市町村の担当者向け会議が開かれ、環境省、埼玉県、岩手県の担当者から説明があり、岩手県の木くず8,000トンについて、埼玉県内の市町村の焼却施設で早期に処理してほしいとの要請がありました。その際、埼玉県で受け入れるのは安全性が確認されたものに限り、放射性セシウム濃度が100Bq/kg以下の木くずが対象となる旨説明がありました。空間線量率を含め、放射性物質の測定は、岩手県の仮置き場、木くず破砕後、搬出時、埼玉県への搬入時、荷降ろし後、焼却時の排ガス等様々な場面において行われることから、その安全性については確保されるものと考えております。

以上、貴重なご意見、ありがとうございました。
今後も、本市の市政にご理解・ご協力をいただきますようお願い申し上げます。