放射線について学ぶ講演会
「放射性物質は今どこに?」関根一昭先生講演会のご報告



2月25日(土)子どもの未来を育む会で、関根一昭先生をお呼びして、講演会を行いました。
先生は、秩父小鹿野高校の理科の先生です。日常生活に密着した分かりやすい語り口は、参加者の方からも大好評でした。先生は昨年3月以降、ほぼ毎週のように精力的に講演活動を続けていらっしゃいます。

当日は、講演会場に、先生がご自分の線量計「堀場Radi」を持ってきてくれました。(所沢市で貸し出ししているのと同じ機種です)
会場内の空気を計測しているときは、線量計からはピッ、ピッ、ピッと間隔をあけて音が聞こえました。しかし、先生が持ち込んだ土に線量計を近づけると、ピッピッピピッ・・と間隔が狭くなります。一番汚染が高い土に近づけた時はほとんどピピーという連続音でした。いずれの土も所沢市内と埼玉県内で採取されたものです。目に見えない放射線の存在を、改めて感じました。

講演の主な内容です。

・東日本大震災にともなう福島原発事故は最悪のレベル7で、77京ベクレルもの放射性物質が放出された。状況によっては、関東全域も避難区域となっていた。

・福島市の子どもの尿を調査したところ、10人全員から放射性セシウムが検出された。福島市の子どもは皆、内部被爆していると考えてよい。

・埼玉県にも3月15日に、大量の放射性物質が飛来した。県内どこへ行っても、放射能に汚染された土が採取できる。

・子どもは大人よりも、放射線の感受性が強い。幼児は約5倍、乳児は約10倍、胎児にはもっと影響が及ぶと考えられる。また女の子は男の子より感受性が高い。法律によって、被ばく許容量が定められ
ているが、子どもについては別に定めるべきである。

・内部被ばくは、外部被ばくの100倍以上の影響がある。内部被ばくの症状として発ガンがあげられるが、象徴的事例の一つに過ぎない。さらに、脳神経系への影響(知能低下・集中力欠如)、免疫系への影響(病気になりやすい)、生殖系への影響(死産・早産・未熟児・奇形)があげられるが、未解明なことも多い。被爆の影響の一つとして老化を進める、というものもある。高齢者とて放射能の被害から無縁ではない。

・内部被ばくから身を守るためには、その恐ろしさを理解した上で、外遊びから帰った子どもには手をよく洗わせる、野菜を水洗いするなどの対策を取ることが必要である。

・原子力発電を止め、自然エネルギー(洋上風力発電、太陽光発電、地熱発電、マイクロ水力発電)への転換が求められている。さまざまなタイプの自然エネルギーを組み合わせれば、全原発分の電力をまかなうことは可能である。


~参加者の感想より~

講演内容について

・今、ここにいて子どものために出来ることを具体的にお話いただけて参考になりました。

・所沢も言われていないだけで放射性物質が大量に飛来していたのを知ることが出来た。

・所沢・川越・横瀬・秩父の上を放射能雲が通った話、修学旅行で日光へ子ども達を連れていくべき  か?など考えさせられるお話だった。

・学校のプールは、放射性物質が蓄まっている所だから、子どもはもちろん、教員の中でも若い先生や 女性には、絶対プール掃除はさせてはならない、とおっしゃっていました。

・内部被曝によりDNAが破壊されることなど、具体的にわかった。

・自分から進んで情報を集めないと、正しい情報ははいってこないのだなあ、と不勉強に反省していま す。
・学校などで、子ども達にも話をしていただけると嬉しいです。

・学校の先生や近所の主婦の方にも是非聞いてほしいと思いました。

・子どもを守れるのは親しかいないと責任の重さを改めて感じました。


放射能問題について不安に思っていること

・学校給食:検査器をおいて、検査をしてほしい。

・食品による内部被曝:スーパーで売っている食材、加工品、ペットボトルの飲料の安全性、水道水の 安全性、外食も心配

・5年、6年の学校行事で、群馬や日光に行くことに決まっていることに不安

・子どものこれから

・瓦礫問題、土壌汚染、海の汚染、お布団を干してよいのか・・・など。


国や県、所沢市に取り組んでほしいこと

・給食の安全性:給食の検査を徹底してほしい。測定器を購入し、検査を実施してほしい。シイタケ、 タケノコなどの産地が不安。

・食品の安全:食品測定器を所沢市に5台以上おいてほしい。スーパーマーケットや小売店でも測定器を おいて消費者に分かるように表示してほしい。水道水の安全性を確認してほしい。

・測定・除染:定期的に公園・校庭・園庭の測定を続けてほしい。細かく測定し、数値を公表し、必要
 あれば除染してほしい。校庭においてある除染した土の処分を検討してほしい。

・健康調査:尿検査を無料で実施し、セシウムが出るかどうか検査してほしい。

その他:子ども達にも原発について話をしてほしい。自然エネルギーへの転換の検討。福島の子ども達の保養。

~最後に~
先生のお話を聞いて、放射線の危険性について学び、自分なりの基準を設けて生活していくことが大切だと感じました。
例えば、スズキ(福島産9月収穫)から670ベクレル/Kgのセシウムが検出されています。あなたはこれを食べますか?という質問がありました。カラフトマス(岩手、5月収穫)77ベクレル/kg、サバ(青森、8月収穫) 7ベクレル/Kg。答えはご自分で考えてください、とのこと。
どんなに放射性物質を防ごうとしても、やはり体内に入ってしまうこともある、でも、出来る限りそれを防ごうとすること、その姿勢が大切、とお話されていました。

参加された方の感想からは、やはり今後の食品による内部被曝の心配が大きかったです。また、所沢市として給食の食材検査を実施してほしいという声が多く寄せられました。育む会としても、今後も所沢市に働きかけていきたいと思います。