ミツルの映画・ドラマレビュー



君に届け 2010年製作 
【キャスト】
多部未華子…黒沼爽子役
三浦春馬…風早翔太役
蓮佛美沙子…吉田千鶴役
夏菜…矢野あやね役
桐谷美玲 …胡桃沢梅役
青山ハル…真田龍役


【あらすじ】
黒沼爽子は、見た目が暗く、そのルックスと名前が似ていることから「貞子」と呼ばれクラスからは浮いた存在だった。風早翔太は、爽子とは正反対で、爽やかな容姿と明るく誰に対しても分け隔てなく接することからクラスの中心的人物で多くの人から好かれている。
風早は爽子と接するうちに外見に隠された爽子の優しさ、前向きさに気づき始める。
不器用で人とうまく接することができない爽子だったが、風早のおかげで千鶴とあやねという本当の友達とも出会い、初めて自分の気持ちを話せるようになる。そして、風早に対しての“特別な気持ち”に気付いていく。

累計2000万部(16巻の時点で)以上、日本だけでなく全世界で大人気の少女漫画『君に届け』の実写版です。

まずは主要キャラについて。キャスティングの選定に際してこの映画の監督である熊澤尚人氏がどんなところに重点を置いたのかのコメントも興味深かったので、そちらも紹介させていただきます。

多部未華子(以下、多部ちゃん)と三浦春馬(以下、春馬くん)が演じる爽子と風早にとても期待して映画を見に行ったのですがこれがすごく良かった。

まずは爽子。清楚で一生懸命な爽子は多部ちゃんのイメージにぴったりでした。多部ちゃん演じる爽子に大満足でした!多部ちゃんは演技力があるし、声もすごくいいですね。優しくて可愛らしい声で聞くたびに「いい声だなぁ」と思います。特に彼女の声が活きたのがトイレのあのシーンですね。目に涙をいっぱい溜めながら千鶴とあやねを庇うシーンは健気で、あの声にうるうるっときてしまいました。

熊澤監督談:実写は外見が似ているのはもちろん、リアリティがなければならない。なので、しっかりしたお芝居ができることが重要でした。多部さんは爽子ちゃんに近いような色白で長い黒髪で、見方によっては勘違いされてしまいそうな外観が作れて、作品にコメディタッチな部分もあるのでユーモラスな演技も上手い人をと考えてお願いしました。

そして風早。髪型を風早に似せて演じてましたね。あのスタイリングしていない自然な感じの髪型、すご~く良かったです。風早のイメージってもっと少年っぽいイメージなのですが、春馬くん演じる風早も爽やかでカッコよくて素敵でした。本当に彼は少女マンガから抜け出した王子様のような存在ですね。チラシの表情もたまりません。

熊澤監督談:風早くんは単にイケメンではだめで、清らかさ、男らしさが必要でした。かっこいい男性は沢山いるのですが、男性から見てもこういう友達がいたらいいなと思わせる力も三浦くんは持っていたのでお願いしました。去年の冬は三浦くんはテレビドラマ『ブラッディ・マンデイ』の撮影などで非常に忙しい時期だったのですが、撮影が終わったところで脚本を読んでもらい是非とお願いしました。承諾をいただく前から三浦くんで絶対いきたい!と、ねばりつつ待っていました。

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お次は爽子の親友二人。この二人も良かったです。

蓮佛美沙子演じる千鶴は元気で明るく、原作よりもちょっと女の子らしいイメージですね。この千鶴は可愛くて好きでした。

夏菜もあやねと顔立ちや雰囲気が似ていてイメージに合っていたと思います。ただ、あやねの髪型ってあんなにクルクルしてましたっけ?それだけちょっと気になりました。

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あと、一番ビジュアルが近いなと思ったのがこの二人かな?

まずは青山ハル演じる真田龍。リュウと雰囲気が似てるなーと思いました。ただ演技が硬かったですね(ファンの皆様ごめんなさい)。龍は寡黙な人という設定ではあるけれど、もうちょっとキャラが出るような演技をして欲しかったです。

そして桐谷美玲演じる胡桃沢梅。桐谷美玲をイラストにしたらこんな顔になるんじゃないかと思うくらい原作とイメージが合ってました。桐谷美玲はこういうキャラをよく演じますね。

熊澤監督談:原作で人気の千鶴や龍、くるみちゃん役を選ぶにのはかなりこだわりました。キャスティングプロデューサーに、今回ほど沢山オーディションをしたことないです、といわれるくらいでした。原作のイメージを大切に選んだので、演技経験がない人でも「この人は」と思える人をキャスティングしましたね。

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どうですか?監督の言葉を見てキャスティング選定のポイントに思わずふむふむと頷いてしまいました。原作のイメージを大切にしたキャスティングだからこそ多くの原作ファンに違和感なく受け入れられたのでしょうね。

ちなみに余談ですが、映画では出てこなかったキャラ三浦健人。もしこのキャラを実写化するなら私のイメージは山本裕典かな~?皆さんはどうですか?

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さて、話は戻って肝心の物語ですが、原作の持つピュアで爽やかなイメージがそのままスクリーンに再現されたような作品に仕上がっています。

原作がある話を映画化する時、その数々のエピソードの中から何を選び、限られた時間の中でどうコンパクトにまとめてさらにオリジナリティまで出せるかが製作者の勝負どころだと思います。しかもこの作品はまだ連載中の作品であるため、結末が決まっていないんですね。なので原作のある程度区切りとなる部分をそのまま使ったり、もしくは「これがラストか?」的な曖昧な(でも安全パイな)淡々としたシーンをラストに持ってこないでオリジナルエピソードで勝負をかけると落としどころを間違えれば観客から(特に原作ファンから)総スカンを食らう作品になってしまうと思うんです。

ですがやはり製作者側が原作の持つテーマに共感し、「その想いをきちんと届ける作品を」ということを重点に脚本を練りに練って考えた作品というだけあり、中盤以降オリジナルストーリーになっていますが、原作ファンもキャラクターたちの行動に納得でき、満足できるラストになっていると思いました。(風早、ちょっと焦りすぎというような気がしないでもないですがにひひ)

大人になってから漫画を全く読まなくなった私が唯一揃えた漫画がこの漫画です。二人の恋愛模様にキュンキュンさせられ、友情と主人公の成長に泣き、家族のあたたかさに胸がほっこりさせられる最高の少女漫画だと思っています。思い入れのある漫画がこのように素敵な映画に仕上がって本当に良かった。超オススメの作品なのでぜひ興味がある方は見てみてください。

映画予告はこちら↓