「放射能汚染の
影響は小坂町にとどまらない」
~水汚染は避けれらず、
すでに放射性セシウムを含んだ放流水がほぼ恒常的に流れ出している~秋田県立大学谷口教授
朝日新聞 あきた時評 2012/11/14
http://mytown.asahi.com/akita/news.php?k_id=05000491211140001
小坂町焼却灰受け入れ/谷口吉光さん
県北に位置する小坂町が揺れている。
首都圏から放射性物質を含んだゴミの焼却灰の受け入れを再開するかどうかで、町民の意見が割れているのだ。
町は焼却灰の放射性物質濃度について国の基準より厳しい値を設け、下回っていれば受け入れるという姿勢だが、町と周辺自治体の住民から反対の声が上がっている。
私は昨年12月21日付の本欄「放射能と向き合う」で、
放射性がれきや焼却灰の受け入れについては、
「事前警戒原則」(人の健康や環境に重大かつ不可逆的な影響を及ぼす恐れがある場合、科学的に因果関係が十分証明されなくても規制ができるという考え方)に立って対応すべき
だと書いた。
しかし、小坂町の事例はこの原則に反するように思われる。
誤った判断をすれば取り返しのつかない結果を引き起こす可能性があり、あえて本欄で取り上げることにした。
第1に、放射能汚染の影響は小坂町にとどまらない。
廃棄物処分場に埋め立てられた放射性物質は雨が降れば溶け出し、排水から川に流れ込む。
小坂町の処分場には屋根がないので、放射性物質が水を汚染することは避けられない。
実際、県の立ち入り検査によれば、すでに処分場からは濃度は低いが、放射性セシウムを含んだ放流水がほぼ恒常的に流れ出している(最新の調査では1リットルあたり約3ベクレル)。
原発事故によって放射能汚染された千葉県流山市の焼却灰が、気づかれないまま昨年7月まで小坂町の処分場に埋め立てられていた。
その汚染された焼却灰は今でも処分場に埋め立てられたままだが、その焼却灰のセシウムがすでに水に溶け出していると考えられるのである。
濃度が低いからいいというものではないだろう。
小坂町は米代川流域の最上部にあり、受け入れ再開は流域全体の住民を放射能リスクにさらすことになる。
第2に、農畜産物に対する風評被害の恐ろしさを強調したい。
原発災害以来、福島県だけでなく東北全体から北関東一帯までの農産物は絶えず消費者からの不買の危険にさらされている。
特に怖いのは、安全や環境を看板にしてきた団体が逆に消費者から「あぶないから買わない」というレッテルを貼られることだ。
小坂町は今でも清浄な自然にあふれ、食の安全と環境に配慮した農畜産業が活発な地域である。
多くの若い雇用を生み出しているすばらしい団体もある。
放射性セシウムをわざわざ外から持ち込んで小坂町の農畜産業の未来を窮地に追い込むべきではないと私は思う。
最後に、受け入れ再開の条件として住民への十分な説明が必要だが、小坂町の場合は受け入れによる放射性リスクの影響が米代川流域全体に及ぶ可能性を考えると、鹿角市から能代市までを含んだ住民への説明が必要だと思うがどうだろうか。
放射能は人間の制御能力を超えた恐ろしいものである。受け入れ再開については慎重な上にも慎重な対応を求めたい。
・・・能代市民への説明はまだ無いと思います
いち能代市民として、このままではイヤだな・・・