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こどもモード

こどもモード by ⌘μ⌘

前回の話で

「素人には楽器の”上手さ”は伝わらない」

と、言い切ってしまいました。




でも、それが現実です。





どんなに格好いいソロを演奏しようが、どんなに音楽的に難解な事を

しようが、分からない人には分かりません。






じゃあまず、自分もそうですが、音楽を生業にしているプロは

どういう感覚で「ソレ」に向き合っているのか。





、、、、というのを書こうと思ったのですが、話が非常に多岐に渡り

色々な要素が絡んでくるので、こりゃまた別の機会にします(笑)。




一つ言えるのは、プロの場合、どういう方向性で作る(音源、ライブ)のかを

コントロールし、かつ、「コレは(素人でも)分かる、コレは分からない」

というのを完全に把握した上で、絶妙のバランスでギリギリのところを

狙って作っている、という事でしょうか。




何言ってんのかよく分かんないですよね(笑)。





まあこれは、音楽制作という「裏方仕事のプロフェッショナル」と

「アーティスト」の場合とでも話が違ってくるので一概には言えないですね。







もうちょっと話を身近にして、あるジャズファンクバンドの場合で考えましょう。


物凄く知名度のあるプロのバンド、だと話は違ってくるので、アマチュアバンドを

例にします。





このバンドは基本ジャズやジャズファンクなどのインスト曲を演奏する

というのがメインです。





インストですが、Jフュージョンとは違い、ポップなイージーリスニングではなく

若干マニアックな曲調、選曲をジャズのフォーマットで演奏します。



要するに基本の曲の構成は

テーマ→各人のソロ回し→テーマ という感じです。







さて、こういうアマチュアバンドがライブをする場合

どういうモチベーションでやればいいのでしょうか?








選択肢はたくさんあります。








1,とにかく自分たちがやりたい事をやる!

  自分たちが楽しんでないのに、お客さんも楽しい訳がない。

  でも、お客さんに媚びる必要はない。格好いい演奏を見せるだけだ。

  楽しめる人は楽しむだろうし、逆もまた然り。

  「そういう人」がライブに来るだろう。




と、良い意味での「開き直り」パターン。

「ねぇ行こうよ~」と無理矢理連れてこられた「素人」な人でも

ある程度演奏が格好良く、各人のソロがビシッとキマってれば

楽しんでもらえるかもしれません。





各人のソロ。。。。。そーなんです。

こういうバンドの場合、核となるのはソリストのインプロヴァイズです。





ソロを素人の方に分かりやすく聴いてもらう方法は一つだけです。





前回の話で書きましたが、素人の方でも一番耳に届くモノ。。。

それは「歌」でした。






という事は、楽器のソロを聴いてもらう為には


「いかに歌に近づけるか」


言い換えれば


「いかに楽器で歌えるか」


これに尽きます。







ライブを見終わった「素人」の方に

「あの人の演奏、聴いててなんか気持ちよかった~」

と言わせる事ができれば、もうそれ以上の褒め言葉はありません。



「いや~あの進行でコンディミをバシバシ使われて、あそこでオルタードが

 ビシッとキマって、あれは最高だったな~」

と玄人の方に言われても嬉しい?ですけどね(笑)。








2.やっぱ、このままのダラダラした曲構成だと、お客さんも楽しくない

  だろうから、アレンジ的にキメとかバンバン作って盛り上がる感じに
 
  しよう!



どジャズやジャズフォーマットな曲はソロに重きをおくが故に、細かいところの

アレンジ等は結構適当だったりします。

そういう部分もある程度決め込んで、作り込んじゃう作戦ですね。

より「ポップに」聴かせる戦略としてはアリです。

ただ、その時々の空気で色々やりたい「ジャムセッションな人」にとっては

ちょっと面白くないかもしれません。







3.ちょっとさ~、選曲考えた方が良くね?

  みんなが知ってる曲をジャズファンクアレンジにするとかさ

  スタンダードでも超有名曲、ディズニー系とかさ~。




やっぱり、知らない曲よりは知ってる曲の方が聴いてて楽しいですよね。

選曲で素人の方にも楽しんでもらおう作戦です。

これはハッキリ言ってウケます。

コードアレンジやリズムアレンジを変える事で玄人の人を唸らせる事もできるかも?

要するに「誰しもが分かる(共通理解)部分」と「マニアックな部分」を

センス良く「共存」させるんですね。

これは僕が考える「ポップス論」にも繋がります。








4.やっぱ、歌モノもやろうか~。

  インストばっかじゃ濃すぎるしさ~。

  誰かヴォーカル声掛けてきて~。




と、最終兵器(笑)、歌モノが登場する訳ですね。

なんだかんだゆうても、歌の影響力、支配力というのは絶大です。

歌が入った瞬間に「歌」と「バックバンド」になります(まあTPOですがw)。

しかも、歌モノとなれば、あまり知られてないマニアックな曲でも

伝わるんですよね。

まさに言霊。。。言葉、歌詞というのは凄いですね。





ここまでくると、ようやく一般的なロックバンド、ポップバンドと

「形式的には」同じになります。

一番の違いは、通常のバンドは「歌詞、歌」ありきでバンド自体の

方向性や音楽的な構築をしていく部分です。

コレに関しては、今回は話の趣旨と違うので割愛します。









5.こうなったら、ちょっとパフォーマンス的な事も加えて

  ちょっとコール&レスポンスとかさ、、、、、




ま、どこまでやるかはバンド次第ですが、そういう風に「見せる(魅せる)」ライブ

にしていく事は可能でしょう。




ただ、これは僕個人の考えですが(これまで書いてきた事もそうですがw)


「演奏がともなっていないのに、ただパフォーマンスに走る」

「ただ楽しければそれで良い」


というのは、ちょっと違うと思います。

まあ、そこは「意識」の問題なので、アマチュアバンド(非商業的な)では

難しいとこではありますが。


賛否両論分かれるとこではありますね。



自分達が趣向を凝らしてライブをし、そしてお客さんが喜んでくれる

演奏のクオリティ如何に関わらず。

プロであろうがアマチュアであろうが、それはそれで成立している世界でしょうし

そこに何も言う気はありません。

好きにすればイイと思います。


僕個人としては、チャージに見合う演奏、満足度が得られると予想されるライブ

しか、基本見ようとは思いません。

もちろんそれは、音楽的な部分だけではなく、精神的な部分も大いに含むので

友人のライブなどでハッピーな気分になれるのであれば、もちろん行きます。










ちょっと話を戻しましょう。








純粋に音楽的な部分での「難解なモノ」や「マニアックな部分」

というのは「素人」の方には伝わりませんよ、と。

じゃあ、素人の方に楽しんでもらう為には、どうすればいいのか?

というのが根本的なテーマです。







「難しい事を難しく伝える事」は簡単なんです。






そのまま見せればイイだけです。

「なんかよく分かんないけど、凄いんだろうね」

と言われて終わりでしょう。







本当に難しいのは

「難しい事を簡単に伝える事」です。




簡単というのは、精神的な面も大いに含んでます。

「なんか、凄いグッときた。。。。泣けた。。。」

という「作り手側の感情」が、テクニックや音楽的難解さを飛び越えて

「聴き手の感情を揺さぶる」




それができれば、このテーマは終了です。




僕自身もこのテーマは一生考えてゆきます。