昔から語り継がれるこのテーマw
最近、とみに譜面、音符の初見という事に自分の意識がいってるので、書いてみようと思います。
ギタリスト。。。
特にロックやメタルから入ったエレキギタリストというのは、最初はTAB譜を読みます。
ギタマガ、ヤングギターに「これが必須フレーズだ!」って載ってたアレです(なついw)。
TAB譜が無ければ、耳コピしたり、コードだけを採ったりして。。。
いわゆる
「コード譜」
というのをそのうち自分でも書けるようになってきます。
基本TAB譜のフレーズなんかはライブ等では
「見ながら演奏する」
モノでは当然なく、覚えて、暗譜した状態で弾きます。
そうなんです。
最初に言ってしまいますが、世のギタリストの大半は、ライブ時
「譜面を見ずに、暗譜した状態で弾いている」
のです。
まあ、これはロックの世界では当然の話です。
ギンギンのUK、メタル、オルタナ系のライブで譜面台があったら
興ざめ間違い無しです。
プレイヤーの方も演じる世界観に入ることは出来ません。
大前提として
「人前で演奏する時は暗譜していなければならない」
これは基本です。
パーマネントのバンドのみをやっているバンドマン(とあえて呼びますが)は良いのですが
仕事として演奏をしなければならない「プレイヤー」はまた事情が違ってきます。
ちょっと自分の事を書かせてください。
僕はそんなこんなで高校を卒業する頃には大抵の「コード譜」は読めるようになってました。
コードさえ書いていれば、なんとなくのオブリやアドリブも弾けました。
そして大学でジャズ研に入り、ビッグバンドのギターなども経験しました。
コンボジャズも、ギターがテーマを弾くことはたまにはありますが
基本コード譜さえ読めれば特に問題なく演奏することが出来ました。
先輩ジャズメンのオリジナルアレンジものを営業で弾くこともありましたが
「ギタリストは玉譜(五線譜の音符)は読めない」
という認識が広まっているのかいないのか(笑)分かりませんが
玉譜を弾かされることもありませんでした。
で、自分のオリジナル曲を書き始めるのですが
打ち込みなので、基本「コード譜」しか書きません。
あれやこれやとデビューが決まり。。。
じゃあ、本ちゃんのレコーディングをしましょう!
となった時に、ちょっとだけ困ることがありました。
1つ目が、鍵盤奏者に演奏して欲しい指示を出すのに「玉譜」を書かなくてはいけない。
弦のラインに関しても同じ問題がありました。
これまでの流れで行くと、僕は五線譜を書けません。
書いたことがない、書く必要が無かった訳ですから。
が、都合良いことにこれは知人に頼むことでなんとかやり過ごしていました。
2つ目は、自分が作った4本5本のギターで構築したアレンジをどうやって本ちゃんRECで再現するか。
実はこの問題はアーティストを辞めるまで付いて回った問題で。。。
このせいで「自分の楽曲を本ちゃんRECする事が嫌いになった」
といっても過言ではないです。
Pro Tools登場以降、プリプロでそのまま完成形まで詰められるので、僕のようなアーティストは助かっているでしょう。
で、当時はどうしていたかというと。。。
TAB譜でもなければ五線譜でもない、自分にしか分からない暗号のようなモノを譜面に書きまくり。
あるいは、ギターパートだけの音源を作りそれをREC前にずっと確認していたり。
アコギも含めると1曲平均最低3パート、多い時で5パート以上。
リズムREC、ギターダビングで1日3~4曲。
ハッキリ言って「ほとんど覚えて弾いて」いました。
今も考えるだけで、身の毛のよだつ作業です。
今ならTAB譜作成ソフトもあるし、五線譜に書いて持って行くことも出来るでしょう。
当時はそんな知恵もヒマもありません、覚えるしかなかったです。
で、そんな「ギターダビングの大嫌いだった」アーティスト時代を終え。
サポートやコンペ、アレンジャーなどの仕事を始めますが
やはり「玉譜が読めなければいけない現場」というのは皆無でした。
弦カルのアレンジや、ピアノ+バイオリンなどのクラシック寄りなアレンジをして
現場でディレクションする場合も、DTMソフトで出力した五線譜を各プレイヤーに渡せば、あとは細かいニュアンスを伝えるだけでOKです。
自分がプレイヤーとして参加する場合もコード譜が読めれば問題ありません。
ここでいうコード譜というのは
「コード進行、楽曲構成、リズム譜が書かれた譜面」
です。
何バンドも掛け持ちし、RECもしょっちゅう、というような完全プレイヤー稼業ではなかったので
サポートでやる曲も譜面を作って、何度も弾いているウチに、現場に入る頃には「覚えている」状態でした。
そうなんです。
例えば、大編成の…弦も管も入って、コーラスもあり、鍵盤も2人いて、構成もややこしく、、、
ていうような、よく見る「譜面見ながらやってもOK」というような現場というのは、僕みたいなのはまず遭遇しません(プロの現場で)。
なので、アーティスト時代も含め、最終的にはゲネの時にはプレイヤー皆暗譜してる状態というのは当然なのです。
いずれ覚えなきゃいけないんだから、いつ覚えても一緒。
譜面なんて、リハ時の「互いの意思疎通の為に使うのが主な目的」
くらいの存在でした。
まあ、実際その通りだと思うし、根本的な考え方は今でも変わっていません。
そんなこんなで、東京を離れ地元に戻ります。
もう1年以上前ですが、某楽器店のギター講師の採用試験というのを仲間の勧めで受けてみました。
筆記と実技でしたが、筆記の試験問題を見て唖然としました。
全て五線譜、玉譜によるスケールや度数、コードを読む問題だったのです。
「ギタリストにこんなの関係あるのか?というかこんなのプロでも読めるギタリストいないぞ」
「これってもしかして ” ストレス耐性テスト ” なんじゃないだろうか」
まあ確かに、楽理の知識のないどこぞの馬の骨を採用するわけにはいかないでしょうから
ある程度は覚悟していましたが、まさかここまでとは。。。
その時点で、テストのあまりの不条理さに怒りが沸点に達してしまい(笑)
実技でも玉譜が読めず、まあそれ以外はそこそここなせましたが、結果はやはり不採用。
面接でもかなりの毒を吐いた気がします。
その電話連絡で「何故回答してない問題があったのか?もう一度受けませんか?」
とかなり丁寧に対応してもらったので、なんだろうと思い仲介してくれた仲間に聞くと
あれだけ色々弾けて知識もあるのに、五線譜が初見出来ないのはもったいないから、是非また受けるよう進めて欲しい、ということでした。
ま、これは1つの経験に過ぎませんが、ある意味「気づき」のきっかけになって
「じゃあ玉譜初見できるようになってやろうじゃないの」
と思い始めたのは事実です。
そして、その後ギタースクールを自分で起ち上げ、様々なバンド活動をするようになり
ちょっとずつ、自分の考えが変わり始めてきました。
もちろん、今の自分の音楽家としての活動、スタイルの中で
「ギターで音符が初見演奏出来なければ食っていけない」
という場面はありません。
ただ、散々書いてきたように「覚えなければならない」
つまり、暗譜というのは、その為に多大な
「労力と時間」
を必要とします。
コード、構成、キメ、決まりフレーズ、玉譜、、、
譜面に全部書いてしまって、それが初見で演奏出来れば
その労力と時間からは解放されます。
音源をちょっと聴いて自分のプレイの方向性さえ決めてしまえば
あとは譜面を見るだけ、です。
もちろん、バンド演奏の場合は
「譜面には書かれていないモノ」
の方が多いのは当たり前で、それはまた別の話です。
今は「譜面の有用性」について書いています。
最近、また一つ面白いバンドをやっています。
そのバンドメンバーはほとんどが「吹奏楽」出身で。
どんな難解な譜面でも初見で演奏出来る!
けど
譜面に書かいていること以外は何も出来ない!
まあ、クラシックや吹奏楽あがりの人には当たり前の話です。
「譜面に書いてないですけど、何をすれば良いんですか?」と。
そんな連中とジャズをやろうとしています。
ま、やっていますw
僕の立ち位置はもちろん、、、
譜面に書いてなくても、隙間があれば、アイデアと思いつきで好きな事やっていいんだよ
という「音楽を使ったリアルタイムコミュニケーション」の楽しみ方を提示する事です。
そして、逆に僕が教わることは
「譜面通りに演奏するアンサンブルの美しさ」
です。
吹奏楽の譜面にはもちろん「ギター譜」もあり、やるべき事が決まっています。
玉譜も一生懸命読んでいます。
ただ僕の場合は、譜面通りに弾けるようになったら、そこからまた一歩前進して
もっとこうすれば面白い、というプレイを提示します。
そこに他のプレイヤーが反応すれば、もう譜面の世界を飛び出して吹奏楽が一気にジャズになります。
自分がそういう意識の時に、こういうバンド、仲間と出会うというのは
ホントに必然なんだな、と思います。
まさに、お互いが足りないモノをお互いが持っているわけですから。
ちょっと譜面という事から離れますが、こういうビッグコンボ以上の編成での
「ギターの在り方」
というモノの可能性も今探っています。
次回はそれについても書いてみたいと思います。
さて、結論ですが
「ギタリストは音符が読めなければいけないのか?」
どう思いましたか?
読めなくても困らない人は困りません。
プロでもそういう人は大勢います。
しかし、読めれば世界が広がります。
音楽、という無限の世界です。
ロック、ポップスに留まらず、クラシックや吹奏楽の人達とも交流、コラボが出来るでしょう。
どちらを選択するかは
あなた次第ですw