どもども。
わたしね、いわゆるガロ系と呼ばれる漫画が大好物でして。
ねこぢるさんとかつげ義春さんとか花輪和一さんとか古屋兎丸さんとか蛭子さんとか内田春菊さんとか西岡兄妹とか山田花子さん、山野一さん。あ、待ってほとんどの作家さんの名前出してしまった笑
その中でも、ガロ系を知るきっかけになった丸尾末広さんを今回はご紹介。
その他の方々も随時紹介していきます。特に蛭子さんのキ◯◯イっぷりは是非見て欲しい。案外、蛭子さんが漫画家ってことは知っていてもどんな作品を描いているのかは知らないって人が多いので、このブログをきっかけに知ってもらえると嬉しい。ちなみに蛭子さん自身は嫌いです。人柄的な意味合いで。
理由はみなまで言わなくても周知の事実でしょう?クズなのは笑
あ、そういえばガロ系って言えないけどみうらじゅんさんも好きです。
さて、丸尾末広さんと言えば『少女椿』です。
あらすじは、貧しい家の少女であるみどりちゃんは母のために夜な夜な花売りをしていました。その時に出会った親切なおじさんに「困ったことがあればいつでも僕を訪ねて来なさい」と言われます。その日帰宅したみどりちゃんは母が亡くなっていることを目の当たりにします。天涯孤独になったみどりちゃん。親切なおじさんの元を訪ねます。しかし、親切に見えたおじさんは見世物小屋の主人でみどりちゃんを下働きとして住まわせ、都合良く使います。そこから始まるワンダーランド。
という感じ。ワンダーランドというほど愉快なものではありません。
その見世物小屋の人々は心根は優しいのですが、なんせ数奇な人生を生きてきたわけでちょっと歪んでいる所が多いんですよ。
なので、みどりちゃんは当然のようにいじめられます。
通常であればみどりちゃんは可哀想で健気に虐げられる少女、というイメージになると思うんです。しかし、ここはさすが。わたし達のイメージなんて壊してくれます。
みどりちゃんは見世物小屋の人々を「バケモノ」と呼び、後々現れる見世物小屋界のスター選手【ワンダー正光】に気に入られることによってどんどん地位を上げて行き、高飛車な態度をとって行くのです。
また、そういう高い位置にいたいがためにワンダー正光を無意識に利用しています。
この点がテンプレな悲劇のヒロインとは違うところ。
そして、本来の人間ってこういうところあるよね。被害者から加害者に変わること。
そして、その感情は本人が意図していないところから派生し、知らぬ間にこうどうしている。この感情は自分なりの防御反応みたいなものかと思う。
みどりちゃんの性格が悪い、というわけではなくて、環境が彼女をそうさせているのだろうと思う。
それがこちらとしてはわかってはいるけど蓋をしておきたい事実なのですが、こじ開けられてもわっとした湿度の高い気持ちにさせられます。
さらに、ワンダー正光はみどりちゃんのことを子供として愛でてあげているのではなくて、きちんと異性として慕情を抱いている。愛で方が結構気持ち悪い。
実はみどりちゃんモテモテで、その界隈の女性達(どこだ)を萌えさせた鞭棄様もみどりちゃんに好意を抱き、歪みきった感情はみどりちゃん強姦事件に発展します。そして、この後、全女性を萌えさせた鞭棄様はこちら。
ツンデレ!!!
こういうことするから少女椿のコスプレをする人に鞭棄様は大人気なのです。
ちなみに、ジト目で見ている男性こそワンダー正光。
この場面を見て怒ったワンダー正光は口に砂を詰め込んで鞭棄様を殺してしまいます。その光景を目の当たりにして恐れおののいたみどりちゃんはワンダー正光と距離を置こうとしますが、さすがのワンダー正光、みどりちゃんをたらしこみます(言い方ひどい)。
時が経ち、見世物小屋は解散に。
この時、みどりちゃんはワンダー正光と一緒に人生を過ごすことを決めるのですが、不幸たるやみどりちゃんを駅に待たせ、食べ物や飲み物を買いに行ったワンダー正光は泥棒(通り魔にもみえる)に刺殺されます。
待てど暮らせど戻ってこないワンダー正光を思い、探しに歩くみどりちゃん。
どこに行っても見つからないまま、休んでいると見世物小屋の人々と楽しそうにしているワンダー正光の姿が。これを見たみどりちゃんは精神崩壊を起こし、発狂。
実はこれ、幻なんですけど、みどりちゃんはそんな幻を見て心底絶望したことでしょう。
「ああ、そうか。お前も裏切るのか」
と。
みんな自分を一人にするのか、という憎しみ。
自分を置いて亡くなった母もそれに含んでいると思います。
世界の全てが憎らしい。
みんながわたしを笑ってる、みんながわたしを裏切る、みんな、憎い。
そして最後、その光景が幻だと知り、ワンダー正光が死んだことなど知らないみどりちゃんは自分が本当に一人になったことを理解し、泣き崩れて、話はおわります。
なんと悲しい。
丸尾末広さんの絵はとても美しいとかいう感じではないのです。
しかし、とても幻想的なんですよ。
ひどい描写も多数あります。
犬ぢゃ!
とか。この意味はググったらわかるから。
そしてさらに有名?な眼球ぺろぺろ。
これもググって。
こんなワンダー漫画なのに、どこか夢見心地で読み進められて、結果的に現実に突き落とされて、読み手はみどりちゃんと共に奈落の底で泣き崩れる。
みどりちゃんはこの先どう生きて行くのかを考えると不憫でなりません。
ただ、みどりちゃんは小賢しい部分があるので、生きていけるような気がする。
世界は自分を裏切る。
自分ですら自分を裏切る。
何も信じられない。
そんな空気がまとわりついていて、わたしは逃げ出したくなります。
でも、みどりちゃんは囁く。
「本当走ってるくせに」
少女椿、というタイトルは浪花清雲という方が作った紙芝居に脚色をして本作を仕上げたのでタイトルはそのまま使用した、ということだろうです。ただ、この紙芝居は【不幸な生い立ちを背負った少女は健気に生き、結果的に幸せをつかむ】という内容で母は亡くなりませんし、父とも再会して最終的には親子水入らずで幸せに暮らすそうです。
…脚色とかいうレベルじゃない。
そして、そんなことを知らずに最初は読んでいたので、
いつみどりちゃんは椿ちゃんになるわけ!?
と思ったなんてことはありませんよ。断じてありません。
少女椿は舞台化や映画化もされていて、この世界観をどこまで表現できるのか気になっていますがまだ観ていません。舞台は関東のみだったので、行けず。
でも、この中村里砂さんがものすごいみどりちゃんで驚く。超可愛い。
利用しているdTVで配信されている様子なので、レンタルしてみようかな。
観ることができたら、またブログに書きますね。
では。
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