どうも、わたしです。
今回は菜摘ひかるさんの『依存姫』をご紹介。
この本はいつだ、高校生の時に読んだのかな。
わたしがこの本を読んだ時、すでに著者はこの世にいませんでした。
29歳という若さで亡くなり、そのことを知って初めて、読んでみようと思った本です。
元々は会社員だった彼女は、風俗に転職してアダルトビデオなどにも出演されていたそうな。
そこからライター業に転換して、こうした執筆活動をなさっていました。
自分のことを書いた本から、小説までたくさんの文章を書いている彼女の言葉からはいつも湿っていて、悲しい、何かを感じます。虚無感、といえばいいのか何なのか。依存姫は4人の風俗嬢が依存している部分に焦点をあてています。特に印象的なのは、セックス依存症の子の話。まぁ、それぞれ買い物、整形、ホスト、と依存しそうなものにハマっていて、とてもリアルで読んでいて苦しいんですが、セックス依存症の子は最も苦しくなりましたね。
なぜなのか、何となく、理解できてしまうから。
買い物は買ったらすっきりするのはわかるけど、生活を脅かすまでは依存しなさそう、整形は踏み込んだらきっと依存しそうだけど、そこまでの勇気がない、ホストは全く興味がない。
他の3つならなんとか理性保てそうなんですよ。でも、このラストの依存に関してはちょっと何とも言えない。
ホストも対人間だけど、商売って頭で理解しているじゃないですか。だけど、セックス依存症って商売関係なく人間同士じゃないですか。そうなると、相手への依存とか誰にも触れてもらっていないと不安になってくるとか人と話してないと不安って気持ちになりやすいのかなって。
この本に出てくる子も、ちっともセックス好きじゃないんですよ。
行為が重要なわけじゃなくて、繋がってる時が唯一安心できて、自分を取り戻せる気がする。でも、セックスは終わりがあるから、そうなるとまたすぐ不安になって、他の人で満たそうとする。それって、結果的に自分のことしか見てなくて、相手の男もそういう風にしか見てくれなくて、幸せの方から逃げていってしまうんですよね。だけど、なんとなくわかる。これが怖い。
友人にセックス依存症の方が数人います。
その中の1人はいつもわたしに連絡をくれて、男の愚痴を話します。
でも全部別の男ね。
誰々は相手してくれないから誰々で処理した、でもその人も電話くれないから他の男募集したらこういう人に当たって、一応セックスしたけど、なんかつまんないからまた他の人募集して…。
これの繰り返しです。
彼女は、それが正だと思っています。
そして、どれだけわたしが彼女のために時間を費やして愚痴を聞き、電話をしたとしても、彼女はいつも言います。
「誰々(男)から連絡が来ない」「誰々(男)は他の女とやりとりしてる」「結局私は要らない人間なんだ」「誰も構ってくれない」「寂しい」
この言葉だけ聞いても異性しか彼女の隙間を埋めることができないってわかりますよね。
その言葉を聞くとわたしはいつも傷ついてしまうけど、一番依存しやすいのは人の温もりなんだと少しはわかるから、何とも思わないようにしてます。
小説なので多少は大袈裟です。でも、この中にいる4人の女の子は皆の中にいると思います。
それが大きく声をあげるのか、小さく燻っているのかの違いで、きっといる。
わたしの中にもいる。
そして、どんどん本当の自分と表面の自分が解離していって、知らぬ間に自分が誰で本当の自分って何か今笑ってる自分が誰なのか、わからなくなります。隙間は広がっていって、それを埋めることに必死になって、何もかもが見えなくなる。それでも、必要とされたくて安心したくて。きっと本来、承認欲求が満たされたところで安心なんかできないし、結局誰を信用すべきかなんて自分しか決められないのに、無闇に優しい手が伸びるから、握ってしまう。
わかるよ、本当。
わたしの中の依存姫が大きな声をあげませんように。
とても、好きな小説の一つです。
では。
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