どうも、わたしです。

三島由紀夫さんの『仮面の告白』です。

三島由紀夫さんと言えばこの作品って勝手に思ってるんですけど『音楽』も結構好きです。

あの時代の文学小説ならではの読みにくさ、みたいなものをあまり感じさせない文章で入り込みやすいです。

 

彼の何がわたしに影響をもたらしたかって、その陰鬱な内面ですよ。はい。

三島由紀夫さんって、すごい肉体鍛えていて、そのくせドMなので色々考えすぎてしまっていましたが、この小説を読んで、なんとなく納得してそしてこの陰鬱な空気感を持っているからこそ、彼はモテたのだろうなと思いました。元々は体が弱く貧弱だった彼が、どうしてあの肉体になったのか。

全ては初恋の相手の肉体に対する欲情と同時に湧き上がった嫉妬によるもの、と感じる。

けどまぁ、全部は創作ですからねって突き放されるんですがね。

 

多少ネタバレ含みますので、嫌だという方はオウンド版のブログを読んでね☆(黙れ)

いつか魚も溺れる(オウンド版)

 

 

 

では、書いていきます。

中学二年生の時にすでに自分はゲイであると認識していた主人公は、そんな自分をひた隠しにして生きてきました。

自分を『偽りの機械』と呼び、そのまま人生を乗り切ろうとセクシャリティ以外の部分を研究し、時には女性と『恋愛まがい』のことをして、女性が性対象だと信じ込もうとしていました。これは、LGBTの方もよく話していたりしますよね。異性と試しに付き合ってみたけれど、やっぱり違和感があったという話。

主人公もやはり違和感をぬぐえないまま、生きていきます。それを良く表現している文章。

 

【心の人工的な努力の合間に、時あって身のすくむような白々しさが私を襲う】

 

なんて美しいんでしょう。読んだ時に、これほど感情が流れるように体に浸透していく想いをしたのはこの作品があの時は初めてでした。そして、戦争と共に刻まれる死の教養から主人公はマゾヒズム的な何かを覚えていきます。これは、時代が悪かったのか、それとも心の底でくすぶっているわけだから、何かのきっかけで必ず開花するものだったのか。

そして、分かり合えそうな女性と出会って、お付き合いしてみるもののやはり性的な感情は全くわかず、誘われていった風俗(今の言葉で言えば)でも全く不能。もはや自分は誰とも交わることはできないのではないかと主人公は不安でいてもたってもいられなくなります。そして、異性と交わることを【正しい人間】と自然に植えつけられていたので、その感情を忘れるために勉強に没頭します。

この点は、上手な感情のコントロールの仕方だと思いました。だって、なんか別方向に進んでもおかしくないじゃないですか(よくない意味で)。元がとても聡明で賢い方なので、どの方向にでもいけたわけですよ。そこを勉強にもっていくってのはさすが。

 

そうこうしていくうちに、大人になり、元カノと食事をした後に見つけた若い男性に欲情します。

そこでその若者が無残に腹を割かれてその血だらけのテーブルに座りたい、という妄想を抱き、だけど、現実に戻った主人公はその気持ちを隠してまた、偽りの自分を生きていく。

という感じです。

この小説のすごいところって、タイトルなんですよ。

仮面、って言っちゃってるから、三島由紀夫さんの半自伝的小説と受け取っているけど、仮面というのは本来の自分を隠すためのものであり、その仮面の告白であれば全て嘘、になります。でも、この小説が半自伝的小説と言われる所以は、やはり性対象が同性であること、その事実に対して当時の世間は偏見に満ち溢れていたこと、そのために主人公の私は簡単に告白することはできず、仮面を被った私の告白、という意味かなと。

仮面を被らない三島由紀夫さんが書いた、仮面を被った私の話。だからこそ、リアルで生々しい描写ができたのかなぁと。

でも、三島さんってきっと、有名な最期のあの瞬間まで、仮面を被っていたと思う。

 

そして、三島由紀夫さんと言えばモテ男。

モテるってなんだろうと考えた時に不特定多数の人にキャーキャー言われること、と思ったあなた。三島由紀夫さんで言わせれば

 

【それは全然実態がなく、ウナギ屋の前を通ってウナギの匂いを嗅がされただけのようなもの】

 

だそうです。三島由紀夫さんいわく、モテる人というのは、不特定多数に同じことを言い、モテた気になるのではなく、狙いを定めることから始めます。つまり、1人に絞るということです。大事なことなので太字にしておきました。そして、どうするのかというとモテる人は着眼点が違います。

 

【人の褒めない部分を褒めること。どんなに日頃から褒められている人でも自分じゃ気付かない美点が必ずある】

 

と言っています。例えば、いつもちやほやされている相手であれば「昨日、1人だったね。いつもたくさんの人に囲まれて楽しそうにしてる君も素敵だけど、1人で物思いにふける君の方がずっと素敵で好きだよ」こんな感じだそうです。

書いていてにやけているので、きっとモテるんですよ、こういうのが。不特定多数を相手にしてる人だと絶対にできない技ですし、自分をよく見てくれているのだなと嬉しくなります。

三島由紀夫さんはこうも言います。

 

【女性を性的に征服するというのは馬鹿げた妄想】

 

これ、言いたいって女性きっとたくさんいると思う。いや、どうなんだろう。うん。

いつの間にやら恋愛コラムみたいになってしまった。

こういう考え方、物の見方ができるから、三島由紀夫さんは魅力的なんだろうなと筆者は思うのです。

では。