どうも、わたしです。

いつ書こうかタイミングを見計らっていた作品です。

湊かなえさんの『贖罪』です。

湊かなえさんの作品は多分ほぼ読んでいます。控えめに言って、全部読んでる。

イヤミス、というカテゴリーができたのも湊かなえさんがデビューされた頃からな気がします。

ああ、でも、昔からあった言葉なのかしら。どっちでもいいか。

 

話のあらすじとしては、田舎町で起きた女児殺害事件から始まる、4人の少女達の話です。

被害者は、田舎町に越してきたばかりの可愛いエミリちゃん。

ある日、エミリちゃん含めた5人で学校の校庭でボール遊びをしていたところ、作業員の男が近づき、何やら手伝って欲しいと申し出て、なぜかエミリちゃんを指名します。全員がそれぞれ不信感を抱きつつも、何も言えずに黙って待っているが、待てと暮らせどエミリちゃんは戻ってこない。様子を見に行くとエミリちゃんは殺されていました。

そして、警察に色々話を聞かれた4人の女の子は全員が犯人の顔を覚えていない、と話します。

どうしても納得できないエミリちゃんの母。4人を家に集めて、こう宣言します。

 

「犯人の顔を覚えてない?私はあなた達を許しません。私が納得する形で償いなさい」

 

なんともまぁ、子供相手に辛辣だと思いがちですが、大事な一人娘を亡くしたばかりの親御さんの気持ちもわかります。

それから月日は経ち、全員が大人になったところからそれぞれの章があります。

ネタバレしないように書きたいので、それぞれの話はしませんが、とにかく全員があの事件のトラウマを抱えてPTSDのような状態になってます。ふとした瞬間に思い出し、いてもたってもいられないような苦しみに襲われます。そして、全員が罪悪感を持って、歪みが生じている。

4人の話でわたしが最も印象に残ったのは、紗英ちゃんという女の子の話。

エミリちゃんは大人の体だったから殺された。生理が来ると大人になって、女になったら自分も殺されるというよくわからない妄想に憑りつかれてしまった子で、せっかく結婚はできたのに、なんともまぁ異常な男で破綻します。離婚ってことじゃないよ。なぜか、わたしは他の子よりも紗英ちゃんに一番感情移入していました。

そして、この話に出てくる大人全員変態です。

いつも被害者は女の子です。どれだけ立ち直ろうとしても、過去がつきまとって足を引っ張られてしまう。

引っ張られた先は奈落の底で、その中で女の子達は思う。

 

「もっとあの時こうしていたら、エミリちゃんは死ななかったし、今自分もこんな思いしていない」

 

女の子は全員罪を背負ってしまいます。しかし、それは被害者の母によって軽くしてもらうことができました。

ただ、今後の人生を考えると全員笑って過ごすことができるのか謎です。というか、笑えない気がする。

1人だけ妊婦の子が出てきます。由佳という子。彼女は最も女性っぽい部分を持っていて、読んでいて「ああこういう女の人いるよな」と思いました。結果的にその女性っぽい部分が彼女の人生に闇をもたらします。

最終的に、犯人は判明。

その結果に、わたしはとてもどんよりとした気持ちになって、しばらく抜け出すことができませんでした。

もう一度読み直して、やっぱり思うのが「誰も悪くないんだよなぁ」ということ。あ、当然犯人は悪いです。そこじゃないよ。

 

人生は選択の繰り返しで、その結果が良いものになるか悪いものになるかは自分次第の部分があったり。

そして、その選択は自分だけではなく他人にも影響があるということを実は忘れがちです。

この本の秀逸なところは伏線回収ですね。

どう読み替えても暗くて怖くて悲しい、そんな話でした。

でも、わたしはそんな話が大好きです。

 

この話はWOWWOWドラマで放送されていました。

 

 

最初のシーンの小泉今日子さんの「償いなさい」と言った声の怖いこと怖いこと…。

ドラマでもやっぱり紗英ちゃんが一番好きでした。

蒼井優ちゃんの真顔、最高にサイコだった。

女優さんとして、小池栄子さんがとても好きなわたしにとって、良いドラマでした。

では。

 

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いつか魚も溺れる(オウンド版)