どうも、わたしです。
今回は綿矢りささんの『蹴りたい背中』をご紹介。
地味に好きなんですよ、綿矢りささん。
あんまり誰にも言ってないくらい、地味に好きです。
芥川賞を受賞した作品としても有名です。
話のあらすじとしては、クラスに溶け込めない主人公のハツちゃんがクラスメイトのにな川くんに声をかけられたことによって、少しずつ惹かれて心を溶かしていく…とまぁ、ここまで書くと恋愛小説?淡いねHAHAHAみたいに感じるんですが、そこは綿矢りささんのうまさ。良い意味で違います。
このにな川くんって、オタクなんですよ。アイドルを追いかけ、部屋中にポスター張り巡らしているような。
別にそれが悪いことじゃないんです。好きなものは好きなので。
ただ、ハツちゃんにとっては、唯一自分を理解して、認めてくれた存在としてにな川くんを認識しているものだから、ある種の期待を裏切られたとか嫌悪感にちょっと繋がってしまう。デートしてて相手が「あの子可愛いね」ってポロッと言って怒るような(違うか)、芸能人に嫉妬するなんて!って思うかもしれませんが、2人はまだ16歳。うら若き乙女にとっては、一大事なんですよ。
しかもハツちゃんは馴染めないクラスの人達をまるで自己防衛のように見下していたので、その中でもにな川くんは別格の存在と認めていたわけなので「何アイドルに現抜かしてるのよ」「わたしが認めた人のはずなのに」みたいな感情に渦巻かれていくわけです。そして、最後に残った感情は「寂しい」です。
こっちを見て欲しい、自分を認めて欲しい、自分の好きなものを貫くにな川くんの姿勢への憧れと焦燥感。
たくさんの感情が体中を巡り巡って、タイトルになります。
「蹴りたい」
綿矢りささんの文章はいつも美しく、瑞々しく、動いています。
わたしはいつも彼女の出だしの文章が好きです。この本の出だしも秀逸。
「さびしさは鳴る」
こんな表現、彼女じゃなくてはできません。だから、大好き。地味にだけど。
では。
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