島本理生さんの『ナラタージュ』について、深夜にお届けします。
この本を手に取ったのが、高校生の時で当時も今も全く恋愛小説って興味なかったんですよ。
でも、帯の言葉に惹かれて思わず購入して、3日かけて読みました。
ほら、なんせとても長編だから笑
ネタバレ含まない程度に書いていきます。
この話に出てくる男女は本当に不器用で、痛々しくて、繊細で、ずるくて、もどかしいです。
特に主人公の泉と葉山先生(主人公が高校時代に恋をしていた教師)は、読んでいるこちらが「もう!これ全然恋愛じゃん!」ってうがうがしてしまうほどのすれ違いとか相手への固執とか環境とかのせいで、当時の恋は実りません。
それが、再会するきっかけを掴んだことから、また歯車が狂っていきます。
これが月9だったらきっとハッピーエンドで終了するのでしょうが、そこはやはり違います。
よく恋愛の話で、
「昔の恋を忘れるためには新しい恋をすること」
と耳にしますが、主人公も同じことをします。それは、とっても好きで付き合うというわけではなくて「好き」と言われて、思わず「はい」と言ってしまったような、そんな感覚で。心のどこかに葉山先生は居続けているのに、新しい恋で上書きをしてしまおうとしている。
そんな主人公の感情に、気付かないほど鈍感な男ではなかった新しい彼氏の小野くん。
もう、彼も痛々しい。きっと本当はとても良い男なのでしょうけど、嫉妬や主人公が不意に居なくなってしまうのではないかという焦燥感でらしくないこと、本当はしたくないことを次々にしていきます。
ちょっと読むのやめようかなって思うくらい。
だけど、それらがあったからこそのあの浴室のシーンとかラストのシーンが胸を苦しくさせるので、やはり必要な存在だったのかなって。
わたしは過去は過去としてすぐに処理してしまうTHE・機械女なので、こういういつまでも忘れられない恋愛って実はないんですが、きっと終わり方によっては誰にでもあるものなのかなとも思います。
わたしの場合は、はっきりと終わっているから切り替えができるのであって、この話のように曖昧にスローにまるで煙のように消えてしまうとどこか心残りや消しきれない想いが根深くなってもおかしくはないなと思います。
だって、好きなままだから。
好きな曲でback numberの『半透明人間』が数年前のわたしの第1位を獲得していたんですけど、その歌詞で【終わってもいないことだけは忘れられるはずがない】という部分がとても好きだなとこの記事を書いていて思い出しました。
終わり方が綺麗な人でありたいけど、人はそれほど綺麗にはなりきれない。
あ、唯一飛ばしてしまいたくなったのは主人公が夏休みを利用してドイツに行った件ですね。
では。
オウンド版も良かったら見てね。
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