こでまり自習室です🙏
2026年2月28日からのアメリカのイラン攻撃の目的が、
『長きにわたって①海運保険、②金融、③石油取引を
支配してきた旧大英システムの金融中枢=ロンドン・シティの解体である』
と言われているのを見聞きしますが、
なぜなのかよくわからないので、とりあえず…。
ロンドン・シティ(City of London)がどのようにして数百年にわたり
世界の海運、金融、エネルギーを支配してきたのか。
それぞれについて『支配の仕組み』をまとめてみました。
※イラン革命を起こしたのは実はイギリスだった、というような話ではなく、
あくまでも『支配の仕組みやお金の流れ』についてのまとめです。
まず旧大英システムの金融中枢=ロンドン・シティとは…。
普通のロンドン: ビッグベンや赤いバスがある観光地としての大きな街。
ロンドン・シティ:その真ん1中にある、わずか1マイル四方(約1.6km四方)の小さなエリアで
世界最古・最強クラスの金融センターです。
イングランド銀行や多くの大手銀行が集中する世界金融の拠点。
単なる地名ではなく、「独自の警察」「独自の市長」「独自の法律」を持つ、
極めて特殊な自治体です。
中世から続く特権を守り続けていて、イギリス国王ですらシティに入るには
シティ市長の許可が必要なほど(儀式的なものですが)。
『金融版のバチカン市国』のようなイメージです。
では、①の海運保険から
① 海運保険(ロイズ・オブ・ロンドン=ロイズ市場)・・・情報の独占と国際物流(経済)の支配権
1.格付けという名の『海上通行証』:ロイズ・レジスター
時代は17世紀。
ロンドン・シティのコーヒーハウス:ロイズ。
当時のシティは「情報の取引所」のような場所で、各コーヒーハウスごとに
「政治」「科学」「商売」など、集まる人々の専門ジャンルが分かれていたそうです。
ロイズは、特に「海運・貿易」のハブでした。
そのロイズに「アンダーライター」と呼ばれる個人の保険引受人や保険企業が集まっていて、
彼らが、世界中のリスクを分担して引き受ける独自の組織体系を築きました。
『ロイズ・オブ・ロンドン』は会社ではなく、
最強のプロ集団が集まるギルド(組合)のようなものです。
ロイズ組合は世界中の港に代理人を置き、船の動静、貨物の内容、天候、海賊の情報を
リアルタイムで集めました。
当時、海上貿易は極めてハイリスクな投資でした。
船が沈めば投資家は破産します。
そこで、ロイズのアンダーライターたちは、
「どの船なら安心して保険を引き受けられるか」
という客観的な基準を必要としました。
1760年に 「ロイズ・レジスター(船級協会)」を作り、船の安全性を格付け。
この格付けがない船は、世界中のどの港でも保険をかけることができず、
実質的に航海が不可能になりました。
有名な「A1」という格付けは、船体(A)と備品(1)が最高品質であることを示します。
この格付けによって、
◇格付けのない船、あるいは低い船は、ロイズの保険に加入できない。
◇銀行は、保険がかかっていない荷物や船に対して融資を行わない。
◇保険のない船は事故の際の賠償能力がないと見なされ、
世界中の主要な港への入港が実質的に制限された。
つまり、英国の民間団体が決めた「格付け」が、
世界中の船が海を渡るための「通行許可証」になったということ。
2. リスクの再保険と、国際物流(経済)の支配権
「再保険」とは、保険会社が引き受けた巨大なリスクを、
別の保険会社に分散(転売)する仕組みです。
19世紀から20世紀にかけて、日本やアメリカなど世界中の保険会社は、
自社だけでは抱えきれない巨大なタンカーや貨物船の損害リスクを、
最終的にロイズ組合を中心としたロンドンの市場へ流しました。
これによりロンドン・シティは、この保険ピラミッドの頂点に君臨しました。
(=最終的に、リスクと保険料がロンドン・シティの資本に吸い上げられる)
ロンドン・シティが特定の国や企業を「リスクが高い」と見なして
再保険を停止すれば、その対象は国際物流から瞬時に排除されます。
物理的な軍隊を使わずに相手の経済を止めることができる、
まさに『支配権』を手にすることになりました。
3. 情報の独占とルールの制定
情報の独占:世界中のどこの港に、どんな荷物が、どの船で運ばれているかという
「物流データ」が、保険契約を通じてすべてロンドンのシティに集約されました。
ルールの制定:紛争や海難事故が起きた際の裁定、
あるいは「何をもって事故とするか」というルールをロンドンが決定するため、
他国の保険会社は英国の法体系に従わざるを得ませんでした。
4.まとめ
『ロイズの格付けがないと船が航行できない』ということは
貿易活動(輸出入)ができない=経済活動が制限されるということです。
ロンドン・シティが決めた『格付け』というルールは、
単なる安全基準ではありませんでした。
法律等で『ロイズの格付けがないと保険をかけることができない』
と言うわけではなく、『実質的に』、『必然的に』
そうせざるを得ない状況を作ったように見えます。
ロンドン・シティの海洋支配は、強力な海軍(ハードパワー)と、
ロイズに代表される保険・金融システム(ソフトパワー)の
「両輪」で成り立っていました。
船がどこにいても、その船の価値を決め、万が一の際の資金を保証しているのが
「シティ」である限り、世界の海はその管理下にあったと言えます。
以上が①海運保険、ロンドン・シティが世界の海運を支配している仕組みでした。
最後に。。
『海が荒れれば荒れるほど、シティの明かりは明るく灯る』
業界内ではこんな格言がささやかれているそうです。
それは、海運保険の保険料が、紛争・テロ・異常気象・災害が発生すると、
大きくかつ迅速に変動するからです。
かつて、ロイズのコーヒーハウスに海事情報が集まっていた時代から
タイタニック号の沈没や、大戦の発端など大きな事件が起きるたびに、
シティの街は「リスクの計算」と「再保険の組み替え」で
徹夜の喧騒に包まれたそうです。
次回、②金融についてまとめたいと思います。


