仕事で旅をすることが多い。楽器と機材・衣装などをぎっしり詰め込んだ車で日本全国を走り回っている。
以前は北海道まで車で行ったけれど、さすがに遠いので今年は飛行機になった。
北陸地方には何故か縁があって、行く機会が多い。
昨年の冬行った時は、ちょうど雪が積もっていて、真っ白な兼六園を見ることができた。
近年の温暖化で、地元の人もこんなに降ったのは久しぶりだと言っていた。
兼六園が開園前の早朝、入場料を取らずに開放している事は意外と知られていないが
以前榎本さんから聞いていたので、珍しく早起きをして行って見た。
私以外の足跡がほとんどない雪化粧の兼六園は、まさしくこの世の物とは思えないくらい静かで
凛としていて幻想的だった。この感動を写真や映像で伝えることはきっとできない。
唯一その場にいた者だけが体験できる、贅沢な時間だった。
県立博物館で様々な伝統文化に触れた時は、加賀百万石の絢爛豪華な時代に思いを馳せた。
小さなお武家様の人形がたくさん並んで、桃の花を腰に挿しているボードがあった。
解説を読むと、お香をたいてその香りを当てるゲームとのこと。
香炉から立ち上るのが何の香りか当たると自分の人形を前進させ、
外れると桃の花を相手に差し出す、といったルールだった。
なんと「みやび」な遊びなのだろう。
経済にも時間にも気持ちにも余裕がないと、こういう遊びは生まれない。
兼六園近くの民家の中にポツンある骨董屋は、まだ若い主人が店主で、ヘンな物が並んでいた。
それは富山の置き薬のパッケージだったり、使用された白黒写真の絵葉書だったり
昭和初期のエロ本だったり。
極め付きは、店頭に置かれた「北海道産パンダ」。
アイヌのお土産で以前よく見かけた木彫りの熊の置物に、白い塗料を塗っただけの代物だ。
店主が「自分で塗りました」ととぼけていたが、金沢の遊び心の真髄を見せられた気がした。
金沢は今、soloというカフェを中心にバックギャモンが盛んだ。
昨年は大会も開催され、人気の観光地ということもあって、全国からプレイヤーが集まった。
金沢という土地柄、バックギャモンは愛される運命にあるのかもしれない。
県内の小松でも「マリジャンカフェ」で定期的に大会が開かれている。
ここはmixiで偶然見つけたのだが、突然店を訪れた私を店主の梨花さんは大歓迎してくれた。
それから何度かバックギャモンの大会に参加したり、「めおと楽団ジキジキ」のライブをやらせてもらったり泊めてもらったりと、その後も交流が続いている。
今年も11月に金沢で仕事が入ったので、いの一番に彼女に電話してライブの日を決めた。
きっとステージが終わったら、梨花さんや常連のみんなとバックギャモンを遅くまでやるだろう。
その為にお店もジキジキも翌日は休み、という日を選んで日程を組んだのだから。
これを書いている今、私の思いは完全に日本海まで飛んでいる。
フェスティバルには金沢のプレイヤーも何人か参加する予定とのこと。楽しみである。