80年代後半、伝説の真剣師『小池重明』さんとは、ある時期、極めて濃い空間と時間を共にした。
破天荒な人生で有名だが、実像はとても穏やかで、極めて優しい目をしていた。
まだ僕は独身でバックギャモンもそれ程強くなかった頃。
場は西新宿にあった将棋の三桂クラブ。将棋よりも、バックギャモンに重きがあった頃かもしれない。
毎日のように勝負勝負!(バックギャモン)小池さんはセンスも良く、結構やられていた。
店がはけてから隣りのビル地下にある呑者家という居酒屋で一杯(いっぱい?!)やるのが終盤の定跡。
席主の宮崎さん、プロ棋士の櫛田さん、今は北海道の将棋連盟の中心人物の新井田さん、僕、小池さんでグダグダ。
終盤ではなく、序盤に逆戻りもよくあった。
テンヨーが主催していた日本選手権の初級戦で小池さんが優勝した晩は朝までお祝いが続いた。
バブル時代のバックギャモン大会は極めて豪勢(バブリー)で初級戦には極めて手厚い賞品がスポンサーから提供されていた。
賞品を現金化してニコニコの重明さん。
最後に残ったのが僕と小池さんだった。
『真面目に生きていこうと思うとき、なぜかこんな幸運に恵まれる。そのたびに俺はダメになるんだよ。』
小池さんが自嘲するようにふと呟いた。
波瀾万丈の人生は物語として面白いが、それを演じた本人がどう思っているかは他人には分からないものだ。
(続く)