気象系。結成記念日(ハワイ時間)おめでとう。15周年特番の時の話。なんかセンチメンタルになってしまうな。
J禁、P禁、ご本人様筆頭に各種関係全て当方とは無関係ですのでご理解よろしくお願い致します。
***
さざ波の心地いい音。慣れ親しんだ潮風は日本のものよりも乾いていて過ごしやすい。喧騒とは程遠いこの場所にあるのは大切な仲間たちの楽しそうな声だけだ。だけど残念な事に耳に沁みるその声を聞きながら胸に去来するものは彼らのような楽しさではなかった。さっきまで半円になるように座っていたソファを盗み見て、はあ、と息を吐く。
言ってない事がある。
自分たちで用意した料理に舌鼓を打ちながら和気あいあいと喋ってるみんなの笑顔を見ると到底言い出せない事だ。それはつまり、まだこの大きくなり過ぎてしまった船から降りたいと思ってるという事。もう考えてないと咄嗟に吐いた言葉に心臓に鉛の詰まる思いがする。
この15年という節目に。彼らの笑顔を消してしまうだろう言葉なんて口にできるわけがない。
「大野さん、なにそんな端っこいんの。こっち来なさいよ。」
こいこいって手招いてくれるのは大抵にので、俺が反応しないでいるととことこ寄ってくる。ぴとっとくっついてくることの多いこの寂しがり屋は、演技の幅を今も広げまくってすっかりあちこちから引っ張りだこの人気俳優になった。そんなことを言うとオレはアイドルですけどね、なんて言われちまうんだろう。
嵐でいることに誇りと自信を誰よりも持っている、全ては嵐のためにと頑張る可愛い子。
大好きなんて比じゃないくらいの愛を秘めた天の邪鬼。
その演技だけで世界にまで一足先にいってしまった彼は今もイジワルそうな顔をしてとことこと寄って来る。
「もう酔ってんの~~?」
その隣でケタケタ笑うあーばちゃんが楽しそうに揺れた。
バラエティで活躍してるあーばちゃんは文字通り老若男女から慕われていて、メンバーの皆もその明るさに何度も救われてきた。チャリティ番組での手紙で意識を変えてもらった事がどれだけ大きい事だったのか。
もっと上に、天辺取って、1番になる。
闇雲に進むだけだった俺たちの道に光を示してくれた。
本人はそんな大それたことはしてないって笑うけど、彼は存在そのものが光なんだってみんなが知ってる。そういうの、本人ばかりが気付いてないよな。
「ああ、ちょっと、零れてるよ兄さん。」
2人を追い抜いて心配そうに駆けてきたしょおくんは今日もイケめてる顔で優しく笑う。
アイドルがキャスターなんて、と叩かれるのを実力で黙らせて今じゃ確固たる地位を築いてる努力の人。アイドルを追っ掛けない世代の人にも俺たちを認知させるしょおくんとあーばちゃんはスゴい。
知識とセンスがないと書けないラップ詞でファンの子にも沢山の気持ちを届けてくれた。しょおくんの言葉が好きだって言ってる子を見るとつい頷いてしまうんだ。場を読んで回して、笑いも取る。本当に仕事のし過ぎだよ。こっちが心配になる。
そういえば首相官邸にいるとか言われた時は本気で笑えばいいのか分からなかったっけ。アイドルという場所だけに留まらずに進んでいく背中が大きくて頼もしい。
「ほら、水。」
素っ気なさを装いながら触れた手は優しくて、包むように俺からグラスを取り替えたのは何事にも熱い末っ子だった。
兼ねてから人気作の主役を務める事の多かったまつじゅんの代表作のお陰で俺らはここまできたんだよなあ。あの人気の火の点き方は予想外で本当にびっくりした。あの頃の過密なスケジュールに負けず自分を追い込んで追い込んで頑張ってきた努力が最高の形で実を結んで、嬉しそうに笑った顔が忘れられない。役柄のイメージからの脱却はかなり骨が折れてる様子だったが、元の性格の良さから共演者に可愛がられるこいつは周りから熱い性格を暴露されては株を上げてる。マジで友達何人いんだよ?
熱くて頑固で真っすぐで。誰も置いて行かないように気を配って。それを辛いって言わずに楽しかったと笑う。目の前の事に真剣に向き合って頑張るお前が戸惑う俺まで連れて走って行ってくれるから。だからこんな景色が見れた。
「転んで怪我でもされちゃ困るんだからとりあえず座って。」
「そんな酔ってねえわ。」
「リーダー、目開けて寝れるもんねーー?」
「寝てもねえよお。」
「日傾いてきたしちょっと肌寒くなってきた?ブランケット持ってこようか。」
「寒くない、大丈夫。」
「さっきからあんま食ってないじゃん。ほら、これ食べな。」
「……多すぎだろ。」
優しいメンバー。
優しいファンの子。
俺たちを取り巻く優しい世界。
こんなにも恵まれているこの場所で、俺は俺として何が出来るんだろう。今まで何が出来ていたんだろう。
なあ。俺が嵐のために出来た事って何だろう。この最高な仲間のためにしてやれる事って、なんだろう。
ただの普通の男がここにいていい理由ってなんだろう。
そんな事をもう何年も抱えている。
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J禁、P禁、ご本人様筆頭に各種関係全て当方とは無関係ですのでご理解よろしくお願い致します。
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さざ波の心地いい音。慣れ親しんだ潮風は日本のものよりも乾いていて過ごしやすい。喧騒とは程遠いこの場所にあるのは大切な仲間たちの楽しそうな声だけだ。だけど残念な事に耳に沁みるその声を聞きながら胸に去来するものは彼らのような楽しさではなかった。さっきまで半円になるように座っていたソファを盗み見て、はあ、と息を吐く。
言ってない事がある。
自分たちで用意した料理に舌鼓を打ちながら和気あいあいと喋ってるみんなの笑顔を見ると到底言い出せない事だ。それはつまり、まだこの大きくなり過ぎてしまった船から降りたいと思ってるという事。もう考えてないと咄嗟に吐いた言葉に心臓に鉛の詰まる思いがする。
この15年という節目に。彼らの笑顔を消してしまうだろう言葉なんて口にできるわけがない。
「大野さん、なにそんな端っこいんの。こっち来なさいよ。」
こいこいって手招いてくれるのは大抵にので、俺が反応しないでいるととことこ寄ってくる。ぴとっとくっついてくることの多いこの寂しがり屋は、演技の幅を今も広げまくってすっかりあちこちから引っ張りだこの人気俳優になった。そんなことを言うとオレはアイドルですけどね、なんて言われちまうんだろう。
嵐でいることに誇りと自信を誰よりも持っている、全ては嵐のためにと頑張る可愛い子。
大好きなんて比じゃないくらいの愛を秘めた天の邪鬼。
その演技だけで世界にまで一足先にいってしまった彼は今もイジワルそうな顔をしてとことこと寄って来る。
「もう酔ってんの~~?」
その隣でケタケタ笑うあーばちゃんが楽しそうに揺れた。
バラエティで活躍してるあーばちゃんは文字通り老若男女から慕われていて、メンバーの皆もその明るさに何度も救われてきた。チャリティ番組での手紙で意識を変えてもらった事がどれだけ大きい事だったのか。
もっと上に、天辺取って、1番になる。
闇雲に進むだけだった俺たちの道に光を示してくれた。
本人はそんな大それたことはしてないって笑うけど、彼は存在そのものが光なんだってみんなが知ってる。そういうの、本人ばかりが気付いてないよな。
「ああ、ちょっと、零れてるよ兄さん。」
2人を追い抜いて心配そうに駆けてきたしょおくんは今日もイケめてる顔で優しく笑う。
アイドルがキャスターなんて、と叩かれるのを実力で黙らせて今じゃ確固たる地位を築いてる努力の人。アイドルを追っ掛けない世代の人にも俺たちを認知させるしょおくんとあーばちゃんはスゴい。
知識とセンスがないと書けないラップ詞でファンの子にも沢山の気持ちを届けてくれた。しょおくんの言葉が好きだって言ってる子を見るとつい頷いてしまうんだ。場を読んで回して、笑いも取る。本当に仕事のし過ぎだよ。こっちが心配になる。
そういえば首相官邸にいるとか言われた時は本気で笑えばいいのか分からなかったっけ。アイドルという場所だけに留まらずに進んでいく背中が大きくて頼もしい。
「ほら、水。」
素っ気なさを装いながら触れた手は優しくて、包むように俺からグラスを取り替えたのは何事にも熱い末っ子だった。
兼ねてから人気作の主役を務める事の多かったまつじゅんの代表作のお陰で俺らはここまできたんだよなあ。あの人気の火の点き方は予想外で本当にびっくりした。あの頃の過密なスケジュールに負けず自分を追い込んで追い込んで頑張ってきた努力が最高の形で実を結んで、嬉しそうに笑った顔が忘れられない。役柄のイメージからの脱却はかなり骨が折れてる様子だったが、元の性格の良さから共演者に可愛がられるこいつは周りから熱い性格を暴露されては株を上げてる。マジで友達何人いんだよ?
熱くて頑固で真っすぐで。誰も置いて行かないように気を配って。それを辛いって言わずに楽しかったと笑う。目の前の事に真剣に向き合って頑張るお前が戸惑う俺まで連れて走って行ってくれるから。だからこんな景色が見れた。
「転んで怪我でもされちゃ困るんだからとりあえず座って。」
「そんな酔ってねえわ。」
「リーダー、目開けて寝れるもんねーー?」
「寝てもねえよお。」
「日傾いてきたしちょっと肌寒くなってきた?ブランケット持ってこようか。」
「寒くない、大丈夫。」
「さっきからあんま食ってないじゃん。ほら、これ食べな。」
「……多すぎだろ。」
優しいメンバー。
優しいファンの子。
俺たちを取り巻く優しい世界。
こんなにも恵まれているこの場所で、俺は俺として何が出来るんだろう。今まで何が出来ていたんだろう。
なあ。俺が嵐のために出来た事って何だろう。この最高な仲間のためにしてやれる事って、なんだろう。
ただの普通の男がここにいていい理由ってなんだろう。
そんな事をもう何年も抱えている。
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