気象系51。でも喋っているのは1と4です。
J禁、P禁、ご本人様筆頭に各種関係全て当方とは無関係ですのでご理解よろしくお願い致します。

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 PV撮影の待ち時間。今は3番目のにのが撮影中で、楽屋にはまつもっさんと俺だけが残っている。階段式に終わっていくこういうスケジュールで1番最後にされるとなんでだよ、と思うけど自分の前がまつもっさんだとちょっと嬉しい。少しだけだけどふたりだけの時間が取れるから。
 とはいえ今まつもっさんはドラマの撮影中だからあからさまに構え!とは出来ない。セリフをぶつぶつとつぶやく声をBGMに次の休みの日の天気予報を眺める。沖に出る予定があるから出来れば快晴がいい。前日に時化てくれると尚いいが……果たして。
 スクロールする手にわずかな振動。ゆっくりと右側が沈んでいってるのが分かるからきっとそろそろだろうなと思っていたら案の定、ぽすりと肩に重みが加わった。それがどんどんずり落ちていってぽすんと最後に止まったのは俺の足。昔からこうやってじわりじわりと俺を枕にしてくる。それでも俺は何も言わない。
 携帯を左に持ち替えて頑張ってるまつもっさんの跳ねた頭をなるべくセットを崩さないように撫でつける。寝転がってる時点でもう遅いような気もするが、自分で整えてしまえるだけの技術は持っているから大丈夫だろう。そこまでぺたんこになるわけでもなし、甘えて大丈夫だと本人が判断したならいけるはずだ。
 ワックスで硬めにセットされた髪は家で触るそれと違うから撫でると必然的に職場なんだなって否応なしに思う事になる。それがいいブレーキにもなっていると思う。俺もこいつもどうにも恋人に甘い節があって、ふたりきりでいると際限なく甘えてしまおうとする。家だったらきっと一緒になって寝転がってキスでもしながら過ごしていたに違いない。
 ぱさりとそれまで聞こえなかった乾いた音がして画面から目を離すと、閉じた台本がテーブルの上に避けられていた。下を見れば目を閉じて眠るばかりのように見えるまつもっさんの可愛い顔。
 俺も自分の携帯を閉じてその隣に置いて腕で遮らないよう良く見える様に撫でる手を代えた。その下でまつもっさんがどこか気持ちよさそうに目を閉じてる。まあ俺の主観なんだけど。そうだといい。
 言葉を交わすこともなくただただ静かな時間。穏やかで、心の静まるひと時は忙しなく動かざるをえない俺たちにはとても貴重な時間だったりする。何もしない、という贅沢をどれだけの間与えられていないだろう。休日はやっと自分の好きな事が自由に出来る時間だからと仕事とは違う意味で忙しなく動き回る。海の上で釣りをしている時だって、ぼーっと待っていると思われがちだが以外とやる事があるし、なんだかんだ止まってはいられない。だからこうして俺以上に忙しく動き回っているこいつを足に乗っけながら静かな時間が過ごせる贅沢は俺の癒しの時間のひとつなんだ。
 出来れば誰にも邪魔はされたくねえなあ。
 そう願っては叶わずにいる。今回だってそうだ。もうドアの向こうからパタパタと聞き慣れた足音が近づいてきている。それを察したまつもっさんはいつもドアが開く前に体を起こしてしまうから夢の時間はそう長くは続かない。
 ……そう思っていたのになぜか今日はメンバーの足音が聞こえていてもまつもっさんは体を起こしはしなかった。珍しいな。

「ジェイ。次はあなたの番ですよ~~っと……あらら?」
「寝ちまってるっぽい。」
「みたいね。お疲れですなあ。」
「1番頑張ってくれてるもんね。」
「ドラマに撮影に打ち合わせまで抱えてればそうもなるか。」
「ねえ。」

 子供のように寝入っている髪を変わりなく梳く。起こしてしまうのは忍びないけどこれも仕事。家に帰ったら存分に甘やかしてやるから今のところは頑張ろう、お互いに。てことで。

「こらこらこらこら近い近い。」
「え?でも近づかねえと出来ねえじゃん。」
「出来ねえってなにがよ。まさかここでおはようのチュウでもやんのおじさん。」
「いっちょ濃厚なのぶちかましてやろっかなと。」
「やめなさいよ。真っ赤な顔で撮影なんてさせられるわけないじゃん。」
「ちぇっ、残念。」

 小突く様に頭を叩かれたので仕方なく、まつもっさんが1発で起きるような濃厚なやつをぶちゅっとやっておいた。

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