気象系51。勝利家の末っ子が出ます。1さんが女装してます。
J禁、P禁、ご本人様筆頭に各種関係全て当方とは無関係ですのでご理解よろしくお願い致します。

***

「ヤバい大野最高超似合ってる!」
「爆笑しながら言われても嬉しくねえよ。」
「超似合ってる、可愛い。」
「真顔で言えっていったわけじゃねえわ。」

 罰ゲームで着せられた岡田の姉ちゃんの制服。メイクまで完璧にしてくれちゃって……ふわふわの髪が邪魔くさい。むすっと拗ねる俺を前に親友の岡田はにやにやと写真を撮りまくる。止めさせたかったけど罰ゲームの証拠になんねえじゃんとか言われた。最悪だ。

「写真撮ったならもういい?」
「え、ダメ。まだ撮り終わってない。ちょっと庭に出て。」
「何さらっと撮影会始めようとしてんだよ。いやだよ。」
「おばさんたちにも見てもらわなきゃ。」
「余計なことすんな!」

 うちの母ちゃんは岡田の事贔屓してんだから!息子の俺より可愛がってんだぞあの人。岡田がこの姿の俺を冗談でも気に入ったなんて言ってみろ、次の日から俺の服に女物が混じりだしかねない。服にはとことん興味ねえけど女装の趣味はねえんだ。こんな格好で言っても説得力ねえけど。別にこれ着たからって目覚めてるわけでもないし。

「こないだお前が忘れた分の宿題うつさしてやったじゃん。」
「そりゃそうだけど、それは別の事で返すから。」
「俺はこれがいいの。貸した方の条件に従えよ。」
「うっ。」

 今立場が弱いのは俺だ。なかなか反論できなくて口ごもってる間にもあれよあれよと岡田に連れられて庭に出る。岡田の家は一定の塀に囲まれてて、今はおばさんの趣味で鉢植えが並べられててちょっと西洋風になってる。振り向き美人な写真ほしいんだよねとか言い出す頭を叩いていると、あーー!っと予想外な声が響いて慌てて振り返る。
 見れば玄関に繋がる道から学ランを着た男が無遠慮に入って来たとこだった。
 マジかよ!

「おーー、バンビ。」
「岡田君こっちに居たんだ。ピンポン押しても全然出ないから。」
「そうなんだ?全然聞こえなかったわ。」

 って言いながらちょいちょいってそいつらを手招きすんな!何さも当然のように呼びつけてんだよ!
 逃げようとした俺の腕を掴んで引き留めてくる岡田の手を抓る。結構な強さでやってんのにビクともしない。くっそ!

「今日テコンドー教えてくれるって言ってたのに来ないから。」
「ごめんごめん。ちょっと用事あってさ。」
「……彼女と逢引き?」
「っははは!彼女じゃねえよ。」

 その誤解だけは俺も勘弁してほしい。岡田の事は好きだけどそういうのには死んでもなんねえから。だって俺男だし。嫌な顔をして岡田を見てため息を吐いたところでバンビと呼ばれたチャラ男の後ろになんか小動物がいるのに気付いた。
 じいっとこっちを見てくる子犬のような目。くりくりした大きなそれと太めの眉、唇の黒子がセクシーなのにキュートっつーか。成長したらとんでもない美形になりそうな逸材が真っすぐに見てくるのなんなの……?
 困惑しながら見つめ返したらバンビ君の後ろからすっと近づいてきて俺の手をとって握った。
 あ、れ……?なんか、顔赤くない?そのきらきらした目、ヤバくないか……?

「あ、あのっひと目惚れしました!ボクと付き合ってください!」

 マジか。
 絶句する俺とバンビ君、期待の眼差しを向ける子犬の間を岡田の爆笑した大きな声が駆け抜けていった。

***