気象系51。
J禁、P禁、ご本人様筆頭に各種関係全て当方とは無関係ですのでご理解よろしくお願い致します。
***
土砂降りの雨が降る。季節外れの大雨は滝のように降り注いで視界を白く染めていた。台風かってくらい風も強く何人かは傘ごと煽られて足を取られている。駅前のロータリーで混み合うタクシー乗り場を見ているとこういう時に車を持って無いことを少しだけ後悔したが、この視界不良な天候では事故を起こしそうでそもそも運転出来る気がしない。さて、行列に並んでいつ来るかも分からないタクシーを待つか、混み合うバスに揺られて帰るか。どちらを選択するべきか悩んでいたらブブブ、と携帯が震えた。ポケットから取り出すと途端に吹き込む雨で画面が濡れてしまうので駅構内に引き返す。
「もしもし?」
『あ、大野くん?今どこ?』
相手は今日オフだと言っていた恋人からで、打ち上げ終わりに帰ると入れた連絡からなかなか家にたどり着かない俺を心配してくれたのだろう。届いた声に不安そうな色が見えた。
「まだ駅。タクシー待ってるとこ。」
『それ凄い混んでそうだね。』
「大当たり。」
『やっぱり迎えに行こうか?』
「いいよ。来なくて。」
最初に帰ると連絡を入れた時にも言ったセリフを繰り返す。わざわざオフの日にこんな大雨の中出てこなくていいのだ、お前は。日々忙しく動いているのだからゆっくりしててほしい。というか疲れた体で玄関を開けた先に、おかえりと言って笑ってくれる存在にいてほしい。それだけで疲れが吹っ飛ぶから。
せわしなく家路を急ぐ人の群れをほぼ逆らうように歩きながらバス停の状況を見ようと歩き出す耳に心底不満そうな声が聞こえた。
『嘘でしょ断るの?』
「断る。」
『やだ行く。はやく大野くんの顔が見たい。』
「どうせすぐ見れるじゃん。」
『はやく!見たいっつってんでしょ!』
そりゃあ俺だって見たいけれど。お前は別に俺を見たところでいつもの眠そうな顔を拝むだけだ。何も楽しい事ないと思うけど。
「変わってんなあ。」
『アンタがね!』
恋人なのに!って怒りながら唐突に通話が切れた。これは来るって事なのかな。ここに居なきゃいけない感じ?待ち受け画面に戻った携帯をしばらく眺めて、バス停に向かおうとしていた体をロータリーに戻した。
1時間後、着いたよと入った連絡を頼りに車が停まる場所まで歩く。この雨で迎えの車はとても多く探していたキャデラックは1番端に停まっていた。ギリギリ屋根からはみ出している。
足元はすっかり濡れて膝までびしょびしょだしちょっと寒くなってきた……ような?この体で車に乗るのはなんだか気が引ける。せっかく綺麗にしているのに汚すのはなあ。
そう思ってフロントガラスから手を振ったまつもっさんに片手を上げた手で後部座席のドアを開けた。
「あっ、なんで後ろに乗るの。」
「いや、かなり濡れてっから。ちょっと座らずにしゃがんでるわ。悪いんだけど急ぎ目で帰ってくれる?この体勢キツそう。」
「いやいや普通に座ってくれていいから。てか助手席!」
後ろに身を乗り出しておかんむりなまつもっさんがばしばしと助手席のヘッドレストを叩く。そうは言ってももう乗っちゃったし。再度ドアを開ける気にはならない。
「また雨の中には出たくない。」
「も~~、はあ……いいよ、わかった。じゃあちょっとこっち顔出してくれる?」
「ん?」
言われた通り首を伸ばして運転席と助手席の間からにゅっと顔を出すとすかさず冷たい口に温かなものが重なった。
「うわ、冷たっ!急いで帰るわ。」
「お前なあ。」
バレるだろ、と苦虫を潰したら、この雨じゃ誰も気付かないよと笑われる。窓を見れば叩きつける雨が変わらず視界を白く濁していて確かにこれならワイパーでも動かさない限り外から中を見ることは出来ないだろう。
だから、家まで直ぐだからねとまるで子供にするような優しい手が頭を撫でてまつもっさんが前に向き直ろうとするのを手を伸ばして阻止して、そして。
「んぅ!?」
引っ込もうとした顔を両手で包んで振り向かせて、仕掛けられた一瞬のキスとは違う舌を絡める濃厚なやつをお見舞いしてやる。
「ん……ちゅ、」
「ふ、っ、」
ざあざあ聞こえる雨音に交じって吸い付いたり弄んだり夢中になってるやらしい音を響かせる。あったかくて柔らかくて甘くて。もっともっとと角度を変えて何度も唇を擦り合わせてしまうのを、俺の手に触れた指の温かさが止めさせる。
ここじゃあこれ以上は無理だもんな。てか俺も不自然なかっこで腰痛いし。
唾液の橋を舌で切りながら顔を離した俺はなんとも言えない表情のまつもっさんにニヤりと口を歪めて囁いた。
「はやく俺をあっためてくれよ。」
「~~っこの小悪魔めっ!」
顔を真っ赤にして舌打ちをしたまつもっさんがシフトレバーを握りアクセルを踏み込む。その乱雑な走り出しに安全運転でよろしく、と言いながら声を上げて笑ってしまった。
***
J禁、P禁、ご本人様筆頭に各種関係全て当方とは無関係ですのでご理解よろしくお願い致します。
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土砂降りの雨が降る。季節外れの大雨は滝のように降り注いで視界を白く染めていた。台風かってくらい風も強く何人かは傘ごと煽られて足を取られている。駅前のロータリーで混み合うタクシー乗り場を見ているとこういう時に車を持って無いことを少しだけ後悔したが、この視界不良な天候では事故を起こしそうでそもそも運転出来る気がしない。さて、行列に並んでいつ来るかも分からないタクシーを待つか、混み合うバスに揺られて帰るか。どちらを選択するべきか悩んでいたらブブブ、と携帯が震えた。ポケットから取り出すと途端に吹き込む雨で画面が濡れてしまうので駅構内に引き返す。
「もしもし?」
『あ、大野くん?今どこ?』
相手は今日オフだと言っていた恋人からで、打ち上げ終わりに帰ると入れた連絡からなかなか家にたどり着かない俺を心配してくれたのだろう。届いた声に不安そうな色が見えた。
「まだ駅。タクシー待ってるとこ。」
『それ凄い混んでそうだね。』
「大当たり。」
『やっぱり迎えに行こうか?』
「いいよ。来なくて。」
最初に帰ると連絡を入れた時にも言ったセリフを繰り返す。わざわざオフの日にこんな大雨の中出てこなくていいのだ、お前は。日々忙しく動いているのだからゆっくりしててほしい。というか疲れた体で玄関を開けた先に、おかえりと言って笑ってくれる存在にいてほしい。それだけで疲れが吹っ飛ぶから。
せわしなく家路を急ぐ人の群れをほぼ逆らうように歩きながらバス停の状況を見ようと歩き出す耳に心底不満そうな声が聞こえた。
『嘘でしょ断るの?』
「断る。」
『やだ行く。はやく大野くんの顔が見たい。』
「どうせすぐ見れるじゃん。」
『はやく!見たいっつってんでしょ!』
そりゃあ俺だって見たいけれど。お前は別に俺を見たところでいつもの眠そうな顔を拝むだけだ。何も楽しい事ないと思うけど。
「変わってんなあ。」
『アンタがね!』
恋人なのに!って怒りながら唐突に通話が切れた。これは来るって事なのかな。ここに居なきゃいけない感じ?待ち受け画面に戻った携帯をしばらく眺めて、バス停に向かおうとしていた体をロータリーに戻した。
1時間後、着いたよと入った連絡を頼りに車が停まる場所まで歩く。この雨で迎えの車はとても多く探していたキャデラックは1番端に停まっていた。ギリギリ屋根からはみ出している。
足元はすっかり濡れて膝までびしょびしょだしちょっと寒くなってきた……ような?この体で車に乗るのはなんだか気が引ける。せっかく綺麗にしているのに汚すのはなあ。
そう思ってフロントガラスから手を振ったまつもっさんに片手を上げた手で後部座席のドアを開けた。
「あっ、なんで後ろに乗るの。」
「いや、かなり濡れてっから。ちょっと座らずにしゃがんでるわ。悪いんだけど急ぎ目で帰ってくれる?この体勢キツそう。」
「いやいや普通に座ってくれていいから。てか助手席!」
後ろに身を乗り出しておかんむりなまつもっさんがばしばしと助手席のヘッドレストを叩く。そうは言ってももう乗っちゃったし。再度ドアを開ける気にはならない。
「また雨の中には出たくない。」
「も~~、はあ……いいよ、わかった。じゃあちょっとこっち顔出してくれる?」
「ん?」
言われた通り首を伸ばして運転席と助手席の間からにゅっと顔を出すとすかさず冷たい口に温かなものが重なった。
「うわ、冷たっ!急いで帰るわ。」
「お前なあ。」
バレるだろ、と苦虫を潰したら、この雨じゃ誰も気付かないよと笑われる。窓を見れば叩きつける雨が変わらず視界を白く濁していて確かにこれならワイパーでも動かさない限り外から中を見ることは出来ないだろう。
だから、家まで直ぐだからねとまるで子供にするような優しい手が頭を撫でてまつもっさんが前に向き直ろうとするのを手を伸ばして阻止して、そして。
「んぅ!?」
引っ込もうとした顔を両手で包んで振り向かせて、仕掛けられた一瞬のキスとは違う舌を絡める濃厚なやつをお見舞いしてやる。
「ん……ちゅ、」
「ふ、っ、」
ざあざあ聞こえる雨音に交じって吸い付いたり弄んだり夢中になってるやらしい音を響かせる。あったかくて柔らかくて甘くて。もっともっとと角度を変えて何度も唇を擦り合わせてしまうのを、俺の手に触れた指の温かさが止めさせる。
ここじゃあこれ以上は無理だもんな。てか俺も不自然なかっこで腰痛いし。
唾液の橋を舌で切りながら顔を離した俺はなんとも言えない表情のまつもっさんにニヤりと口を歪めて囁いた。
「はやく俺をあっためてくれよ。」
「~~っこの小悪魔めっ!」
顔を真っ赤にして舌打ちをしたまつもっさんがシフトレバーを握りアクセルを踏み込む。その乱雑な走り出しに安全運転でよろしく、と言いながら声を上げて笑ってしまった。
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