気象系51。
J禁、P禁、ご本人様筆頭に各種関係全て当方とは無関係ですのでご理解よろしくお願い致します。

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 現像した写真を大切にフォトブックに仕舞いこむ。うつらうつらと舟を漕ぐ智の隣に、寝ぐせの跳ねた髪でいってらっしゃいと手を振ってくれる写真が増えた。

「ふふ、かわいい。」

 岡田くんに今度発売する写真集のカメラマンを頼んで密着してもらった。その間に色々とカメラに関してのノウハウを教えてもらったりして、それまでも自分で撮る方が好きで色んなものを撮ってきていたけれど、岡田くんと盛り上がってから更に凝る様になったと思う。そしてその被写体はほぼ智に向いていた。

「あーー、触りたい……。」

 大河の撮影がクランクアップして以前よりもずっと時間がとれている。たっぷり寝たし、美術館とか巡れなかった色んなところを巡りたい。その時間が十分にある。でも智とはどれだけ居ても時間が足りない。
 隣にいないのが寂しくなって現像したばかりの柔らかく微笑む智に唇を寄せる。
 
「んーーっ、」
「なにやってんだドン引きだぞ。」
「あ、おかえり。」
「ただいま。」

 いつの間に帰ってきてたのか。
 呆れた顔で背負っていた釣り竿を置いて、先に風呂入ってくるなってさくさくシャワーを浴びに行ってしまった智の置いて行ったクーラーボックスを開ける。中にはイカにカニに……これはブリ?今の季節だとハマチかな。きっちり〆てある釣果が氷に埋もれて入ってる。オレも行くって言ってたんだけど仕事の電話が入っちゃって断念したんだよね……。
 船の上で1日傍で楽しみたかったから未練というか後悔というか。それがもう強くて。癒されたくて智の写真を引っ張り出していた。その中で現像してなかったフィルムを見つけて急いで行って帰ってきたらさっきの場面を見られたわけだ。
 手を洗ってハマチを出して智ほどとはいかないまでもなんとか綺麗に3枚におろしていく。身の色も綺麗だし美味しそう。

「海鮮丼にしようかな。」
「いいんじゃね?」
「もう出てきたの?あ、また髪乾かしてない。」
「そのうち乾くって。」

 そんな事言って風邪をひいたのはどこの誰だ。
 おろし終わった魚をとりあえず皿によけて手を洗い、ドライヤーを持って智に近づく。生臭いって言われたけど知ったことか。あんただってさっきまで磯臭かったよ。
 水に濡れてしっとりする髪に指を通す。どんどんふわふわになっていくのを楽しみながら何度も何度も梳いて行く。そうするとオレのところまで智の匂いが届いて自然と顔がニヤけた。智が帰ってきたんだ。嬉しい。

「……おい、長くねえ?」
「そんなことない。」
「あるだろ。」
「ない。」
「ええ……?」

 全然納得してなさそうな声が次第にふふふって笑いに変わった。その顔が見たくなってドライヤーをやめて回り込む。オレを見上げてくる顔はやっぱり笑っていて、それは写真の中の智と同じで、けれど全然違う。

「やっぱり本物がいいなあ。」
「んふふ、なにそれ?」

 しみじみするオレに楽しそうに声を上げるから、堪らずにぎゅっとほかほかの体を抱きしめた。

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