気象系51。
J禁、P禁、ご本人様筆頭に各種関係全て当方とは無関係ですのでご理解よろしくお願い致します。
***
自分の呼吸音と秒針の音だけが響く部屋。美術館のようと称される調度品の数々は彼の人となりそのもので美しいものばかりが几帳面な性格を表すように整然と並べられている。その真ん中に鎮座するベッドのうえで電話から帰ってこない家主を待っていた。半日だけ重なったオフ。明日は別の現場ではあるもののふたりして午後からということもあり今日は泊まりのつもりで恋人の家にやってきた。食事を済ませ風呂に入りさあイチャイチャするぞというタイミングで鳴った着信音に、申し訳なさそうな顔をして出ていってからもうすぐ30分が経とうとしている。冷たかったベッドは俺の体温を移してすっかり温まり下手すると暑いくらいに感じられるのに心にはずっと隙間風が吹いていた。
「……さっさと来ねえと寝ちまうぞばあか。」
ひとりそんなことをゴチて掛け布団を肩が隠れるくらいまで引き上げる。付き合う前も今も恋人を置いてけぼりにしてしまうのは大体俺の方だというのにたまにこうして構ってもらえないと直ぐ拗ねてしまうのはいかがなものか。随分欲張りになってしまったように思う。何かしていないとずっと彼の事を考えてしまうので恋人が収集している写真集なんかをぱらぱらと眺めてたりもしていたが、気もそぞろで全然入って来なくて10ページもいかずにやめた。結果、待ちぼうけを食らい寝転がるだけになっている。
真っ新な天井を見上げて目を閉じる。ワンルームをぶち抜いているというのに潤の声は聞こえず、俺に気を遣ってバスルームにでも籠っているのか……外にでも出ているのか。もしそうだとしたらきっと体を冷やして戻ってくるだろう。何か温かいものでも用意しておくべきだろうか。白湯とか?寝る前にコーヒーは飲まないし……熱燗……はきっとゆっくり眠れるだろうけれどイチャイチャする時間が減ってしまいそうな予感がする。潤は俺が飲まなきゃ飲まないしなあ……。そうすると過去の経験上俺が先に眠りに落ちる事は確実だ。それじゃあ泊まる意味がない。
「いや、一緒にいられるだけで幸せだけども。」
誰に言い訳するでもなく零れた言葉がちょっと空しい。今まさに隣にいない。ずっとひっついてる事が幸せかと言われたらそうじゃないけれども、それぞれ別の事をしていても好きな人にはくっついていたい傾向の強い俺としては物足りないのも事実。
「……とりあえず白湯かなあ。」
しょうがない、頑張って起きている事にしよう。
外に出ているかどうかは定かじゃないが用意しておいて悪いものでもない。最悪自分が飲めばいい話だ。
ベッドから起き上がって冷たい床の上を素足で歩く。スリッパを履けとか靴下でもいいからとか色々言われてるけど素足って楽なんだよね。家の床よりもこの家の床の感触の方を覚え始めた足でゆったりとキッチンに近づいたら、同じタイミングでガチャリと廊下のドアが開いた。
「あれ。喉乾いた?」
「ううん。お前が体冷やしてると俺が寒いなと思って。」
「つまりはオレのため?」
「違う。」
俺のため、って言ったの聞いてないのか。
「照れ屋だなあ。都合のいいように解釈しとくね。」
「照れてないけど。」
「うんうん。でもオレは大丈夫。」
ちょいちょい手招く手にふらふら近寄ると背中に腕を回されてぎゅうっと抱きしめられた。室内にいたのかそれほど冷たくなくて安心できる程度にはほっとする。
「ほらね?」
「みたいだな。」
ほおっておかれて寂しくてつまんないなって思ってた心も一緒に溶けていく。控えめに腰に手を回して抱きしめ返したら、なんだかそれまでのひとりの時間の全てがどうでもいいように思えた。
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J禁、P禁、ご本人様筆頭に各種関係全て当方とは無関係ですのでご理解よろしくお願い致します。
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自分の呼吸音と秒針の音だけが響く部屋。美術館のようと称される調度品の数々は彼の人となりそのもので美しいものばかりが几帳面な性格を表すように整然と並べられている。その真ん中に鎮座するベッドのうえで電話から帰ってこない家主を待っていた。半日だけ重なったオフ。明日は別の現場ではあるもののふたりして午後からということもあり今日は泊まりのつもりで恋人の家にやってきた。食事を済ませ風呂に入りさあイチャイチャするぞというタイミングで鳴った着信音に、申し訳なさそうな顔をして出ていってからもうすぐ30分が経とうとしている。冷たかったベッドは俺の体温を移してすっかり温まり下手すると暑いくらいに感じられるのに心にはずっと隙間風が吹いていた。
「……さっさと来ねえと寝ちまうぞばあか。」
ひとりそんなことをゴチて掛け布団を肩が隠れるくらいまで引き上げる。付き合う前も今も恋人を置いてけぼりにしてしまうのは大体俺の方だというのにたまにこうして構ってもらえないと直ぐ拗ねてしまうのはいかがなものか。随分欲張りになってしまったように思う。何かしていないとずっと彼の事を考えてしまうので恋人が収集している写真集なんかをぱらぱらと眺めてたりもしていたが、気もそぞろで全然入って来なくて10ページもいかずにやめた。結果、待ちぼうけを食らい寝転がるだけになっている。
真っ新な天井を見上げて目を閉じる。ワンルームをぶち抜いているというのに潤の声は聞こえず、俺に気を遣ってバスルームにでも籠っているのか……外にでも出ているのか。もしそうだとしたらきっと体を冷やして戻ってくるだろう。何か温かいものでも用意しておくべきだろうか。白湯とか?寝る前にコーヒーは飲まないし……熱燗……はきっとゆっくり眠れるだろうけれどイチャイチャする時間が減ってしまいそうな予感がする。潤は俺が飲まなきゃ飲まないしなあ……。そうすると過去の経験上俺が先に眠りに落ちる事は確実だ。それじゃあ泊まる意味がない。
「いや、一緒にいられるだけで幸せだけども。」
誰に言い訳するでもなく零れた言葉がちょっと空しい。今まさに隣にいない。ずっとひっついてる事が幸せかと言われたらそうじゃないけれども、それぞれ別の事をしていても好きな人にはくっついていたい傾向の強い俺としては物足りないのも事実。
「……とりあえず白湯かなあ。」
しょうがない、頑張って起きている事にしよう。
外に出ているかどうかは定かじゃないが用意しておいて悪いものでもない。最悪自分が飲めばいい話だ。
ベッドから起き上がって冷たい床の上を素足で歩く。スリッパを履けとか靴下でもいいからとか色々言われてるけど素足って楽なんだよね。家の床よりもこの家の床の感触の方を覚え始めた足でゆったりとキッチンに近づいたら、同じタイミングでガチャリと廊下のドアが開いた。
「あれ。喉乾いた?」
「ううん。お前が体冷やしてると俺が寒いなと思って。」
「つまりはオレのため?」
「違う。」
俺のため、って言ったの聞いてないのか。
「照れ屋だなあ。都合のいいように解釈しとくね。」
「照れてないけど。」
「うんうん。でもオレは大丈夫。」
ちょいちょい手招く手にふらふら近寄ると背中に腕を回されてぎゅうっと抱きしめられた。室内にいたのかそれほど冷たくなくて安心できる程度にはほっとする。
「ほらね?」
「みたいだな。」
ほおっておかれて寂しくてつまんないなって思ってた心も一緒に溶けていく。控えめに腰に手を回して抱きしめ返したら、なんだかそれまでのひとりの時間の全てがどうでもいいように思えた。
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