気象系51。モブなショタが喋ります。
J禁、P禁、ご本人様筆頭に各種関係全て当方とは無関係ですのでご理解よろしくお願い致します。

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「ママ!」
「まま?」

 平日のあまり人の居ない時間帯と場所を選んでやってきたショッピングモールで、くいくい引っ張られた裾。下を向けばちんまりした小さいのがじっと俺を見上げていた。その口からはまたママって声がする。
 見た目はたぶん3歳か4歳くらい。姉ちゃんの子供がそんくらいの年齢の時こんなもんだったような。自分が思ってたよりも歩き回って喋って相手にするのが凄く大変だった記憶がある。人間の成長ってけっこう早いんだな。3歳なんてまだまだ喋る言葉なんて拙いと思ってたのにベラベラ喋るし。
 けれど足元のちびっこは人見知りなのかママ、って言うだけできょとんとしてる。
 というか、え?まさか俺の事呼んでんのか?
 びっくりして声も出せないでいたら隣からぽん、と肩を叩かれた。

「ちょっと正直に話そう。」

 その目の笑ってない笑顔なに。なにを疑ってるんだ。俺は誓ってお前ひと筋だぞ!
 まさか浮気でも疑われてるんじゃねえだろうなと血の気が引いて、思わずガシッと潤の腕を掴んだ。

「変に勘ぐるなよ、どう考えてもおかしいだろどこも俺に似てないだろっていうかママの辺りで違うって思え!」
「ママと呼ばせる性癖が……?」
「縁切るぞバカ野郎。」
「ごめんなさい。」

 こいつもテンパってんのか?
 場を和ませようとしてくれたのかもしんねえが、困惑する俺に対する冗談にしてはキツいもんがある。いつもの気遣い屋の姿が隠れてる時点でだいぶ……だいぶだな。
 落ち着けの代わりに離した手で今度は俺がぽんぽん肩を叩いてやると、ひと息深呼吸をして両手を顔の前で合わせた潤がすっとちびっこの前にしゃがんだ。

「迷子かな?パパとママは?」
「パパはくるまでねてるねって言ってた、ママはママ!」
「ほら。」
「ほらじゃねえよ。」

 びしっと俺を指さしてくる子供の頭をくしゃくしゃ撫でて潤の頭は叩いておく。
 潤の隣に同じようにしゃがんで、じっと見つめてくるくりくりの目と視線を合わせた。

「あんな、おじさんは君のママじゃねえんだ。本当のママはどこ?」
「ママだよ?」

 何言ってんの?ってくらい無垢な顔で見られると強く言えねえ……!

「んーーそっか!じゃあおじさんと迷子センターに行こうな。」
「ママといっしょ?」
「……まあうん、一緒。」
「じゃあいく~~。」
「ふふっ、じゃあ行こっか”ママ”?ッで!」

 お前に呼ばれるのはなんかヤだ。
 ちびっこと手を繋いで、反対の手では潤を掴む。足でしれっと脛を蹴とばしたら潤が痛がりながら笑っていた。器用なやつだ。子供を真ん中にして連れていく方がきっと突然手を離されてしまう心配もないんだろうけど、何せ俺は心が狭いので。
 小さな子供相手でもプライベートで潤と手を繋いでいいのは俺だけです。

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