29BYはじめての『白老』と参ります。


 実のところ、今月頭に既に飲んでいたお酒ではありましたけどね。


 上ツイートは名古屋伏見の酒泉洞掘一様より。最近角打ちを始めたそうなので、立ち寄ってはちょくちょく飲んでますね。その折の感想です。
 問題なく美味いんですけど、この美味さについて一度精査したほうがいいのではないかと思い、後日購入。



 常滑産若水を65%精米、直汲みの生原酒ですね。
 ちょっと日本酒をかじった方なら「純米酒?純米吟醸よりランク低いだろ」「兵庫産山田錦とか使わないのかよ」と考えてしまうかもしれませんし、このスペックは凡庸なものに見えるかもしれません。
 ですが、日本酒には神が宿ります。僕から言われせば、スペックが日本酒の全てではないことは飲めば証明されることです。
 
 では、参りましょうか。


 上立ち香は吟醸香がツンと鋭利なかたちで入ってきます。
 含むと、まずファーストアタックは『白老』らしい鋭く穿つ酸味。そこから若水らしい葡萄や赤い実を思わせる複雑味が広がってきます。
 飲み口はクリアながら、ミネラルが分かりやすく効いており、水晶の如し。同時に舌にジュワッと染みるようにガス感もあり。この影響からか、いわゆる"若水味"は収斂されて切れていきます。
 28BYの時にはもう少し味に幅があるように感じられましたけど、今回はスタイリッシュさがより洗練された感じがします。スリムで切れ味も増したかのような。
 その代わり、味の伸びはいつもより控目になっているので人によっては物足りなく感じるかも。まぁそこは無濾過生原酒とかおりがらみになると上手く噛み合ってくるだろうから問題無いかなと。
 ……と思ったのですが、二日目になるとグングン甘味が増してきて、葡萄的な味わいが綺麗に出てきた濃醇な味わいに!バニラのような、またカラメルのような香りもほのかに。酸味はガスが抜けても有り余るほどあるため甘味が綺麗に乗ってくれますし、余計に広がりません。
 
 総合的には、上手いこと"引き算"をしながら造られた作品という印象を受けます。というか、それってまるで和食文化そのものじゃないか。
 伝統の枠のなかで、地酒らしさと日本文化らしさを合わせながらもクールでスタイリッシュ。こういう作品こそ、日本代表の看板背負って世界に発信すべき作品。僕はよく、"クールジャパン"は自分がそう名乗るものじゃなくて、その作品をクール(かっこいい)と評価されてこそ言えるんじゃないかって思うもんで。
 
 今のところ29BYの展望は明るいかな。少なくとも『白老』がこの酒質を通していれば、おそらく29BYも傑作をどんどん出してくれることだろうと信じています。


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