今回のお酒は『鷹長』というお酒です。


精米歩合 70%
奈良県 菩提山産 ヒノヒカリ100%使用
アルコール分 17度
日本酒度 -20
酸度 2.7
アミノ酸 2.0
仕込水 金剛葛城山系深層地下水 硬度214mg/L(硬水)
醸造元は『風の森』で知られる油長酒造様。ですが『鷹長』銘柄のほうが歴史は古い模様。『風の森』の突き抜けたモダンさとは裏腹に実は江戸時代から続く伝統のある蔵元ですしね。『鷹長』は主に地元で流通しているのだそうです。
そんなこの銘酒ですが、今回のお酒は「菩提酛」と呼ばれる製法で作られたのだそうです。
この製法、実は日本酒の最も古い形式のひとつでもあります。
"菩提"という字が宛てられている時点で、仏教と関わりがあると察することはできますが、仏教では飲酒は禁止されています。いわゆる不飲酒戒(ふおんじゅかい)ですね。
ですが、本地垂迹といった神仏習合のかたちが密教とともに平安時代から広がるようになり、鎮守や天部に捧げる御神酒が寺でも造られるようになりました。これを《僧坊酒》といいます。
平安時代当時の寺社はその時代の最先端の学問が発達した場所でもあり、大きな伽藍の寺社は現在で言う大学と似た役割も担っていました。貴族の寄進による豊富な財力と労働力を持っていたことから、僧坊酒は高い品質のお酒として知られるようになります。酒造りは奈良県が中心であったことから、《南都諸白》といわれていたそうです。
宗教的権威を持つパトロンによって高品質のお酒ができるという意味では、中世ヨーロッパにおけるベネディクト派修道院とワインとの関係と似ているのかもしれません。封建時代であることも共通してますし。
そのなかでひとつ、優れたお酒を醸していることで知られていたのは正暦寺です。仕込みを3回に分けて行う三段仕込み、麹と掛米の両方に白米を用いる諸白造りは正暦寺が発祥であり、現在の清酒の元となりました。火入れの技術もそこで生まれたとか。菩提酛についても正暦寺が発祥であり、15世紀に創醸された酒母の原型とも言われている製法です。
創建は正暦3年(992年)で、『菩提泉』という銘酒を醸造していたそうです。『日本清酒発祥之地』の碑もあります。今でも菩提酛の製造に関わっていることから、1141年創業で『郷乃誉』『山桜桃』で知られる須藤本家様は日本最古の蔵元では無いってことか?
これ以上は脱線しそうなのでここまでにしましょう。
参考
『生酛、山廃酛 菩提酛仕込みとは?』
http://suginishiki.com/kimoto
(杉井酒造様のHPより)
上記リンク(『杉錦』の銘酒で知られ、奈良県以外では極めて数少ない菩提酛を造っている蔵元です)の説明が分かりやすいのですが、仕込み水に「そやし水」と呼ばれる蒸飯を水で溶かしたものを用いて発酵させたものです。強烈な臭いを発したり造る手間もかかるみたいですが高温の夏場でも安全に造れるのだそうです。
では味わってみましょう。
含んだ瞬間に、貴醸酒を思わせるような濃醇かつ強烈な甘味が口のなかを瞬時に駆け巡ります。日本酒度-20による甘味は口のなかを蹂躙すると言えるレベル。
そう。誇張でも何でもなくこれは蹂躙なんだよなぁ……何だろ、この強烈で程よく熟した南国果実のような甘味は。ナッツやハ
チミツのようなニュアンスも。ハチミツ感は金剛葛城山系深層地下水のミネラルのもたらしたものか。
これらの甘味が混然一体となって複雑な曼荼羅を形勢している感じ。貴醸酒というより貴腐ワインとかアイスヴァインと似ている部分があります。複雑な甘味という点で。
ですが酸味も結構ありますのでベタつきはありません。後味は苦味で切れてくれます。
なお、菩提酛というだけあって菩提樹のような香り(インド料理店のあの独特の薫り)がするわけでも無かったです。
結論としては、かなり強烈なお酒でした。後味の良さからいいお酒と評価することはできますが、第一印象の強烈な甘味の蹂躙で好き嫌いが分かれるかもしれないお酒です。
逆を言えば、この独特の甘味にハマってしまう人は中毒になるかもしれないですね。貴腐ワインとか貴醸酒が好きな人向けなのかな?
飲んだのち、アテはあれで行こうかと決めました。

アイスクリームと合わせます!
そこそこ暑くなってきたこの時期、こういう極甘+酸味のお酒はアイスクリームと合わせるに限る!
というわけで、バニラ味のハーゲンダッツを用意。市販のアイスクリームのなかでも保存料を用いていない数少ないものなんですよね。

……たまんないっす。
甘味の相乗作用と酸味により、極上のデザートとあいなります。
ある程度食べたのち写真のように浸してしまうくらいにしてから飲むと、「こんな美味いバニラベースのカクテルはなかなかねえ!」と唸るばかりでしたね。
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精米歩合 70%
奈良県 菩提山産 ヒノヒカリ100%使用
アルコール分 17度
日本酒度 -20
酸度 2.7
アミノ酸 2.0
仕込水 金剛葛城山系深層地下水 硬度214mg/L(硬水)
醸造元は『風の森』で知られる油長酒造様。ですが『鷹長』銘柄のほうが歴史は古い模様。『風の森』の突き抜けたモダンさとは裏腹に実は江戸時代から続く伝統のある蔵元ですしね。『鷹長』は主に地元で流通しているのだそうです。
そんなこの銘酒ですが、今回のお酒は「菩提酛」と呼ばれる製法で作られたのだそうです。
この製法、実は日本酒の最も古い形式のひとつでもあります。
"菩提"という字が宛てられている時点で、仏教と関わりがあると察することはできますが、仏教では飲酒は禁止されています。いわゆる不飲酒戒(ふおんじゅかい)ですね。
ですが、本地垂迹といった神仏習合のかたちが密教とともに平安時代から広がるようになり、鎮守や天部に捧げる御神酒が寺でも造られるようになりました。これを《僧坊酒》といいます。
平安時代当時の寺社はその時代の最先端の学問が発達した場所でもあり、大きな伽藍の寺社は現在で言う大学と似た役割も担っていました。貴族の寄進による豊富な財力と労働力を持っていたことから、僧坊酒は高い品質のお酒として知られるようになります。酒造りは奈良県が中心であったことから、《南都諸白》といわれていたそうです。
宗教的権威を持つパトロンによって高品質のお酒ができるという意味では、中世ヨーロッパにおけるベネディクト派修道院とワインとの関係と似ているのかもしれません。封建時代であることも共通してますし。
そのなかでひとつ、優れたお酒を醸していることで知られていたのは正暦寺です。仕込みを3回に分けて行う三段仕込み、麹と掛米の両方に白米を用いる諸白造りは正暦寺が発祥であり、現在の清酒の元となりました。火入れの技術もそこで生まれたとか。菩提酛についても正暦寺が発祥であり、15世紀に創醸された酒母の原型とも言われている製法です。
創建は正暦3年(992年)で、『菩提泉』という銘酒を醸造していたそうです。『日本清酒発祥之地』の碑もあります。今でも菩提酛の製造に関わっていることから、1141年創業で『郷乃誉』『山桜桃』で知られる須藤本家様は日本最古の蔵元では無いってことか?
これ以上は脱線しそうなのでここまでにしましょう。
参考
『生酛、山廃酛 菩提酛仕込みとは?』
http://suginishiki.com/kimoto
(杉井酒造様のHPより)
上記リンク(『杉錦』の銘酒で知られ、奈良県以外では極めて数少ない菩提酛を造っている蔵元です)の説明が分かりやすいのですが、仕込み水に「そやし水」と呼ばれる蒸飯を水で溶かしたものを用いて発酵させたものです。強烈な臭いを発したり造る手間もかかるみたいですが高温の夏場でも安全に造れるのだそうです。
では味わってみましょう。
含んだ瞬間に、貴醸酒を思わせるような濃醇かつ強烈な甘味が口のなかを瞬時に駆け巡ります。日本酒度-20による甘味は口のなかを蹂躙すると言えるレベル。
そう。誇張でも何でもなくこれは蹂躙なんだよなぁ……何だろ、この強烈で程よく熟した南国果実のような甘味は。ナッツやハ
チミツのようなニュアンスも。ハチミツ感は金剛葛城山系深層地下水のミネラルのもたらしたものか。
これらの甘味が混然一体となって複雑な曼荼羅を形勢している感じ。貴醸酒というより貴腐ワインとかアイスヴァインと似ている部分があります。複雑な甘味という点で。
ですが酸味も結構ありますのでベタつきはありません。後味は苦味で切れてくれます。
なお、菩提酛というだけあって菩提樹のような香り(インド料理店のあの独特の薫り)がするわけでも無かったです。
結論としては、かなり強烈なお酒でした。後味の良さからいいお酒と評価することはできますが、第一印象の強烈な甘味の蹂躙で好き嫌いが分かれるかもしれないお酒です。
逆を言えば、この独特の甘味にハマってしまう人は中毒になるかもしれないですね。貴腐ワインとか貴醸酒が好きな人向けなのかな?
飲んだのち、アテはあれで行こうかと決めました。

アイスクリームと合わせます!
そこそこ暑くなってきたこの時期、こういう極甘+酸味のお酒はアイスクリームと合わせるに限る!
というわけで、バニラ味のハーゲンダッツを用意。市販のアイスクリームのなかでも保存料を用いていない数少ないものなんですよね。

……たまんないっす。
甘味の相乗作用と酸味により、極上のデザートとあいなります。
ある程度食べたのち写真のように浸してしまうくらいにしてから飲むと、「こんな美味いバニラベースのカクテルはなかなかねえ!」と唸るばかりでしたね。
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