今回は酒屋で店員さんが勧めてくれた一本です。
 玉乃光酒造『94〈きゅうじゅうよん〉』です。








精米歩合:60%
アルコール分:16度

 まぁ結果的に面白そうだったから買ってみた次第。
 伏見でも有名な銘酒『玉乃光』の蔵元が造ったものです。『94』は「くし」の意味も持ちます。
 人工味覚センサーによる分析で焼き鳥と相性のいいように作られたお酒なのだそうな。
 
 
 そういえば、自動車のブレーキも今では四輪のなかにあるセンサーで制御することによってコーナーの制動も自由自在になったとかって話を聞きました。最近は何かと機械はセンサーであり、微細な反応を電気信号に切り替えて変換・測定し、瞬時かつ確実に伝達することであらゆる動作をも可能にできます。
 そういえば前回の浜松の楽器博物館でも、電子楽器はそうした仕組みだと解説してあったなぁ。
 たかだか0か1かの積み重ねなんですけどねぇ。しかしそれでもあらゆることを可能にする科学万能の時代になったものです。
 
 そして、そんな味覚センサーの評価より最適化された味わいとなったこの『94』
 いにしえよりの酒どころ伏見の伝統技術と、科学が生み出した技術の融合による、新たな時代の日本酒と言えます。
 
 


 その測定結果は、タレとも塩とも合う幅広い結果。
 特にタレでは95%以上の測定結果を出しています。


 センサーには負けられません。飲みます。
 
 ……でも確かにラベル説明の通り割りと濃醇な味わいで、どちらかといえば甘口め。
 まろやかさのある酸味が口に広がり、余韻も長め。伏見の女酒と言われますけど、この濃醇さはまさにそのイメージ。
 




 織部に『94』を、黄瀬戸のお皿には焼き鳥を。
 アテはこれしか考えられませんでした。一応夕飯ですね。
 焼き鳥はタレのぼんじりと皮。あと別のお皿に塩の砂肝。
 油っこさをお酒のまろやかな酸味で包んでいる印象。なるほどこれは焼き鳥向けなのかもしれないです。
 タレのほうが相性いいかもしれませんね。濃い味付けになればなるほど、『94』はそれらをマイルドにしつつ、かつ飲み応えもよくしてくれますから。
 
 でも確かにセンサーは的確な評価をしているかもしれないです。ただ、僕の感想としてはフライドチキンや焼き肉などとも相性がいいかもしれません。肉料理ですかね。
 しかし、僕としては日本酒との相性を想像しながら味わうことも醍醐味だと思うのですよ。デジタル的に相性を求めるのはハズレこそ無いですが、それは裏返せば「当たりを引いた喜びがない」ということ。
 僕は想像力というアナログな思考も大事にしたいのもありますから、このお酒はアテとの相性がいいことを前提条件として、自分のなかで「どう落とし込んでいくか」の過程を楽しむように考えて飲みました。いや、そう飲むことを僕は勧めたいですね。



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