ワイン用語に《テロワール》という言葉があります。
 フランス語で「土壌」を意味する言葉です。ワインはブドウから作り出されるため、ブドウを育てる土が大事になってきます。それが転じて、ワイン造りに必要な良質な土を生み出す「環境風土」などという意味を持つようになりました。 
 ですが、こうしたテロワールの概念は、ワインのみならず実はありとあらゆるジャンルの作品や物事に内在しているのではないでしょうか。形而上学的ではありますが環境心理学をかじるとこの辺の意識もしがちです。
 それは日本酒も例外ではありません。お酒を作り出す風土が美酒を作りやすい環境にあるのだとしたら、あるいはその環境に適した素材で作り上げたのなら、それは優れたお酒たり得る素質を持っているのです。
 
 なぜこのような出だしなのかですが、今回はそのことを意識したお酒でもあるからです。
 今回は以前に飲んだ開当男山酒造のお酒の第二段ですね。

 前回はこちら。開当男山酒造についても書いてあります↓
「【福島】開当男山酒造『純米酒 やまなでしこ』」

 今回は、以前のこの記事の出来事において僕が貰ったものです。ありがとうございます!いただきます!
 その頂き物ですが、『特別純米酒 夢の香』という銘酒ですね。




 
 




 アルコール分/15度
 精米歩合/60%
 
 福島県で開発された酒造好適米《夢の香》を用いた純米酒です。
 
 まず冷やして飲んでみましたが……
 ちと待て!!これ、純米酒だよなぁ!?
 ……クリアな飲み口ながら、丸く柔らかくも甘みが広がり、すっきりとした辛口も含みながらも余韻のある味わい。まるで白ワインのような感じです。
 あたかも純大吟を飲んだかのような上品な質感があります。
 そういえば以前、『冩樂』(宮泉銘醸)の純米酒を飲んだときもこんな感覚に陥ったなぁ……あのお酒も夢の香を使っているし、この『開当男山』は同じ土俵の上だ……
 この夢の香という酒米……侮り難し!!
 これが、福島の風土が生み出したテロワールなのか!

(参考~福島県酒造協同組合より『ブランド酒「夢の香」』
http://sake-fukushima.jp/?page_id=25

 夢の香という酒米ですが、こちらの参考記事が詳しいです。
 たぶん酵母も、参考記事にもある「うつくしま夢酵母」だろうなぁ。
 なんにせよ、純米酒としては極めて優れたお酒でしたね。
 
 ですが罠もありました。
 熱燗にすると酸味が強くなりすぎて、結構キツイ感じになってしまいます。
 失敗でしたね……以前飲んだ『天明 焔』のような燗に適したお酒も福島にはありますし、「純米酒だから熱燗もいいだろうな」という考えは安直だということか。
 そういえばこの日本酒をくれた友人はご両親が会津出身であり、飲むときは一日で一升瓶が消えるほどの左党でもあるみたいですが、日本酒を熱燗で飲む習慣が無かったとか。福島県民すべてがそうではないのかもしれませんが、本来冷酒こそが福島における正統派の日本酒の飲み方なのかもしれません。
 
 そこまで考えるのは深追いが過ぎるかもしれませんが、こうしたことでも福島のテロワールを表現しているのでしょうかね。まさに「ザ・地酒」!美味しゅうございました。


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