🐱カノポス壺。王の冥界の旅を助ける神々。イラストの右から、人の頭を持つイムセティは南、ヒヒの頭をしたハピは北、
ジャッカルの頭をしたドゥアムテフは東、ハヤブサの頭をしたケべフセヌエフは西を表す。
[4]
4は空間を理解しようとすることを表し、方位を表す数です。葬儀においても4は重要な数でした。
<4の意味を含む例>
①雌牛の女神バトの4つの顔がナルメル王のパレットの両側のかどに刻まれる。顔はパレットの表に2つ、パレットの裏に2つの合計4つが刻まれる。この天空の女神は、表面と裏面ともに自分の息子である王の勝利を見つめる。さらには、王自身でもある王の名前も女神バトの間に刻まれている。
(カイロ博物館所蔵)
ちなみに、ナルメル王のパレットに刻まれた雌牛の天空の女神バトの顔4つが、自分の息子である王の勝利を見つめる図像が、次のイラストのような雌牛の天空の女神ハトホルを表すヒエログリフとシンボル的な意味が類似しているのかなと思った。なぜなら、四角でホルス神を囲んでいる図像だから。四角はハトホル女神を象徴し、ホルス神を四方から見つめる。天空の神ホルスの化身は王であり、ハトホルはその母だったから。バト女神はハトホル女神と同根の神だったのかも。どちらも王を受容する母性を象徴する神様だったのだと思う。
🐱女神ハトホルを意味するヒエログリフ
②創造神クヌム神の霊の本質は、4柱の神々のバー(ラー、シュウ、ゲブ、オシリスのバー)から構成される。バーは「霊」のこと。
③死者の内臓を収めたカノポス壺が4つ。壺はそれぞれ方位を示す。人の頭を持つイムセティは南、ヒヒの頭をしたハピは北、ジャッカルの頭をしたドゥアムテフは東、ハヤブサの頭をしたケべフセヌエフは西。4神は、王の冥界の旅を助ける神々のこと。
心理学者カール・グスタフ・ユングは、「エゼキエルの幻視」とカノポス壷のシンボル性が類似していると述べた。預言者エゼキエルが見た4つのケルビムは、2つの翼に1つの顔、その顔が時には人間、時にはライオンや牛となり、時にはワシの顔にもなった。そして、足は牛、翼の下には人間の手がついていた。ケルビムは神と人を繋ぐ半人半獣の存在であり、ルーツは古代メソポタミアにあるとされている。4つのケルビムは、方位を表すようである。(『エゼキエル書』1:10)
参考にした主な文献
マンフレート・ルルカー著、山下主一郎訳『エジプト神話シンボル事典』大修館書店、1996年。
吉村作治『古代エジプトを知る事典』東京堂、2005年。
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