🐱ハトホル神殿の入り口(塔門と列柱室が合体したプロナオス様式)
今日はエジプトの観光地の一つ、デンデラに向かいます🌞⭐️
デンデラはルクソールから約60km北にあるナイル河西岸の遺跡です。古王国時代(紀元前2686 -2160年頃)から州都として栄えていた場所で、愛と歓喜、そして舞踏の女神ハトホルの聖地でした。プトレマイオス朝時代(紀元前332-30年頃)にハトホル神殿が建てられた時は、ハトホル女神への信仰がいっそう盛んになります。この神殿は保存状態がとても良く、たくさんの美しいレリーフがあるのが見どころの一つです。
現在残っているハトホル神殿はプトレマイオス12世の時代に始まり、ローマ皇帝のアウグストゥスとネロによって完成されました。プトレマイオス朝の神殿の建築的特徴は、ブロックを綺麗に重ね上げた壁面や、レリーフがうき出して見える高浮彫り、または沈み浮彫りによる美術様式が用いられていることです。そして、イラストのようにハトホル神殿の入り口を見ると、塔門と列柱室が合体したプロナオス様式が採用されているのも特徴的です(神殿の基本構造等については過去のブログの「古代エジプトの神殿」シリーズで取り上げています)。
ハトホル神殿の正門や列柱室の柱の頭にはハトホル女神の頭部の装飾が加えられています。神殿の円柱は天界を支える意味がありました。外壁においては、かの有名なクレオパトラ7世(七人のクレオパトラのうちの最後の1人)とその息子カエサリオンが描かれています。
参考にした主な文献
仁田三夫編著, 松本弥, 村治笙子, 片岸直美著『図説 古代エジプト2』河出書房新社、1998年。
マンフレート・ルルカー著、山下主一郎訳『エジプト神話シンボル事典』大修館書店、1996年。
山花京子『古代エジプトの歴史:新王国時代からプトレマイオス朝時代まで』慶應義塾大学出版会、2010年。
Arnold, D. (1999). Temples of the last pharaohs. Oxford: Oxford University Press.
Wilkinson, T. (2005). The Thames & Hudson Dictionary of Ancient Egypt. London: Thames
& Hudson.
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