ドイツの映画作曲家、ハンス・ジマー(b.1957)といえば、映画「バックドラフト」(1991年)や「グラディエーター」(2000年)時代から注目してきたが、近年のヒット作は、やはり「パイレーツ・オブ・カリビアン」だろう。第1作の「呪われた海賊たち」(2003年)はハンス・ジマーの弟子であるクラウス・バデルト(b.1967)の作となっているが、実質はハンス・ジマーの作曲で、第2作の「デッドマンズ・チェスト」(2006年、ジャケット画像右)にはハンス・ジマーの名前がしっかりとクレジットされている。
そんな「パイレーツ・オブ・カリビアン」だが、個人的なお気に入りは、第2作に収録された「運命の輪」」(Wheel of Fortune」。バトルシーンを思わせるハンス・ジマーらしいスコアだ。特に後半部分のホルンを含めた低音楽器が奏でる咆哮の旋律は、聴き手をゾクゾクさせる雰囲気に満ちている。そんな曲に、英国が誇る名門バンド、ブラック・ダイク・バンドによる金管バンド版のカバーが存在するのだから聴かないわけにはいかない。収録アルバムは以下の通り。
■アルバム「ARABIAN NIGHTS」より(ジャケット画像:右)
ハンス・ジマー(スティーヴン・ロバーツ編曲)
「パイレーツ・オブ・カリビアン~デッドマンズ・チェスト」より「運命の輪」(Wheel of Fortune」
ニコラス・チャイルズ指揮 ブラック・ダイク・バンド
(2015年11月録音、Morley Town Hallにて収録、DOYEN海外盤)
これまでに映画音楽を収録したアルバムも数多くリリースしている彼らだけに、彼らにとってはお手の物だったに違いない。編曲を手がけたのはブラスバンド界でも活躍する英国の作曲家、スティーヴン・ロバーツ。オリジナルのサントラより少し短めのアレンジとなっているが、原曲が持つ雰囲気を活かし、見事な金管バンド版に仕上がっている!オリジナルはオーケストラサウンドにハンス・ジマーの特色であるシンセサイザーが加わり、より重低音感が増しているが、ブラック・ダイク・バンドも、オリジナルに負けないほど、低域の迫力あるブラスサウンドを放っているのが素晴らしい。
ブラック・ダイク・バンドの映画音楽といえば、2016年の来日公演でも「ミッション・インポッシブル」や「天使にラヴソングを」の中からの曲を披露してくれたのが懐かしい。生で聴いたらきっと圧倒されること間違いなしだ。
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