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8月22日にリリースされた純名里沙さんのニューアルバム「Misty Moon」(BMGジャパン)を購入した。たまたま本屋で音楽雑誌のコーナーを眺めていたら、月刊「モーストリー・クラシック」の表紙に純名里沙さんが…。何故クラシックの雑誌に純名里沙さんが?とページをめくると、上記の情報が告知されていた。
元宝塚出身で、抜群の歌唱力を持つ彼女だけに、以前からCDが出ていたら是非聴いてみたい、と思っていたのですぐさまタワレコで購入。

思い起こせば、1997年の大ヒットしたTVドラマ、「ラブ・ジェネレーション」に彼女が出演していた頃が懐かしい。普段トレンディドラマ等見ない自分が、毎週欠かさず見ていたドラマの一つであり、彼女の演技が大滝詠一の主題歌と共に印象に残っている。

そんな女優としての持ち前の表現力に、天性の歌声を発揮したのが本格的な歌手としてのデビューとなるこのアルバム。美しいジャケットにまずはドキっとさせられる。

収録曲は以下の通り。

①オーヴァー・ザ・レインボウ~ミュージカル「オズの魔法使」
②月の庭 (詞・曲:松本俊明)
③ストレンジャー・イン・パラダイス~ミュージカル「キスメット」(based on Borodin’s “Polovetsian Dances”)
④白鳥 [SWAN]~組曲「動物の謝肉祭」
⑤ムーン・リヴァー(日本語ヴァージョン/詞:森雪之丞) ~映画「ティファニーで朝食を」
⑥コーリング・ユー~映画「バクダッド・カフェ」
⑦スマイル~映画「モダン・タイムズ」
⑧アヴェ・マリア(J.S.バッハ/グノー)
⑨ムーン・リヴァー ~映画「ティファニーで朝食を」[ボーナス・トラック]

ミュージカルや映画音楽、クラシックにオリジナルとバラエティに富んだプログラムで、クラシック歌手とは違う、宝塚出身の彼女ならではの魅力を味わえるアルバムになっている。

①は彼女の声質にぴったりな曲。ソプラノの高音域がどこまでも伸びて美しい。
②⑤は日本語で歌う。②はウェイ・ウェイの二胡が加わり日本的な情緒が漂い、アコースティック・ギターが寄り添う⑤は、主人公が夜空を見ながら歌うミュージカルの一コマのようだ。⑤は日本語、⑨は英語で、キーも変えており、双方の表現の違いを楽しむのも面白い。
③④⑧で歌われているのはクラシック曲。③はボロディンの「ダッタン人の踊り」が原曲。高校時代に吹奏楽で演奏した懐かしの曲だ。いずれも透明度の高いクリスタルボイスな声質になっている。
⑦は現在バイオリンの個人レッスンを楽しんでいる団塊世代の父が大のお気に入りの曲。中学時代、トランペットを習っていた時にこの曲を吹いたのも懐かしい記憶(^^)

アルバムを通して感じたのは、歌唱力の高さに加え、曲によって声の表情を柔軟に変化させる表現力の高さだ。曲の持つメッセージや、喜怒哀楽を聴き手に伝えようとする歌い手の意志は聴き手に安心感と幸福感を与えてくれる。

彼女のような歌い手で真っ先に思い浮かぶのがイギリスのサラ・ブライトマン。彼女も持ち前の歌唱力でミュージカル「キャッツ」や「オペラ座の怪人」で一躍トップスターの座をいとめた人だ。
このアルバムをきっかけに今後コンサート活動も活発になる事を期待したい。