このGW前後は気が付いたらフォーレウィークになっていた(^^) ここでフォーレ作品については今日でひとまず締めくくってみたい。そんな締めくくりに相応しい曲として組曲「ドリー」を。
帰省からの帰りはこの組曲「ドリー」をBOSEのノイズキャンセリング・ヘッドフォンを行き同様に活用して聴いていた。作風から「レクイエム」がフォーレの陰にあたる作品だとすれば、「ドリー」は陽にあたる作品といえるだろう。その「ドリー」をサー・ネヴィル・マリナー指揮アカデミー室内管弦楽団(英表記はアカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ)の演奏で('82年10月録音、アビー・ロード・スタジオ、ロンドンにて収録、ASVレーベル国内盤)。
「ドリー」といえばピアノ連弾の代表曲としてすっかりお馴染みの曲。自分自身、小学生が連弾で弾いたのを聴いた事があるし、実際、ある友人の結婚披露宴に招かれた際に、余興で新婦が新婦の友人と連弾で演奏していたのがこの曲だった。パーティーシーンでもぴったりな曲だ。
そんな「ドリー」は元々1893~96年にかけて作曲されたが、フォーレの後継者であるパリ音楽院の院長も務めたラボーが1906年に編曲したのがこのオーケストラ版だという。オケ版はフォーレの特質をくまなくとらえ、ピアノ版に更に色鮮やかな彩りを加わった曲に仕上がっている。
マリナーとアカデミー室内管の演奏はその彩りが録音からも充分に感じ取れる秀演。1曲目の「子守歌」では最初のフルート~ストリングスに受け渡される旋律が実に暖かい。それは3曲目の「ドリーの庭」でソロで始まるフルートや、その後のチェロ~ヴァイオリンパートの旋律でも同様だ。連弾でよく弾かれる第2曲目の「ミャウ」や4曲目の「キティ・ワルツ」に続き、いよいよ終曲の「スペイン風の踊り」(もしくは「スペイン舞曲」)は組曲を締めくくるに相応しい逸品。ラヴェルの「スペイン狂詩曲」のような熱狂さにあふれている。・・・ん、熱狂?近頃身近に感じる単語になってしまった(^^)
このアルバムは「ザ・フレンチ・コネクション」と題したアルバムとなっており、ラヴェルの「クープランの墓」や意外と知られていないドビュッシーの「神聖な舞曲と世俗的舞曲」も収録されている。イベールの「ディヴェルティメント」はメンデルスゾーンの「結婚行進曲」のパロディーもあったりと、聴いているだけで実に楽しい気分になれる作品。4人のフランス作曲家の鮮やかな色彩感覚に改めて感動できる。フランス物が好きな方なら一聴の価値ありだ。
ここでは大編成のフルオーケストラでなく、機動性のある室内オケならでは選曲というマリナーの見識も働いているのだろう。それを彼が育てたアカデミー室内管弦楽団が見事に実現してくれている。自分にとっても、アカデミー室内管の株が一気に上がった好アルバムとなった。
《参照マイブログ》
○アカデミー室内管弦楽団の演奏
「トロルドハウゲン 婚礼の日」ピアノ版とオーケストラ版の妙技
~サー・ネヴィル・マリナーのグリーグ
連休中、実家近くで開催中の牡丹祭に行ってきた。
今日のブログのテーマにふさわしい、色鮮やかな牡丹の画像を最後に添付しておきたい。