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人気映画、ハリー・ポッターシリーズで以前から耳を捉えて離さない曲があった。2005年公開のハリー・ポッターシリーズの第4作、「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」のサントラに収録されている「ホグワーツ賛歌」(Hogwarts' Hymn)という曲。初めて聴いたのは映画のサントラではなく、ウィーンのホルン奏者達によって結成された「ウィンナ・ホルンズ」が演奏した映画音楽のカバー曲(アルバム「ディレクターズ・カット」に収録、2008~2009年録音、ORF海外盤、ジャケット画像:上)だった。当初、ハリー・ポッターという曲名を意識することなく、一つの楽曲として聴いていたのだが、気品が漂う中に情熱を感じさせる美しい旋律と、聴き手を包み込むようなスケールの大きなサウンドがホルン・アンサンブルにぴったりで、実に感動的だった。クラシックに例えるならワーグナー的なサウンドといえようか。自分にとっては癒される音楽としても、お気に入り曲の一つとなっている。ちなみに、奏者の中にはウィーン・フィル首席のウォルフガング・トムべックも参加しており、本アルバムはホルンの超絶技巧を存分に堪能できる内容となっている。

作曲は、一連のシリーズで長く作曲を務めるジョン・ウィリアムズ(b.1932)ではなく、以前、本ブログで2015年公開の映画「シンデレラ」のサントラをエントリーしたパトリック・ドイル(b.1953)。パトリック・ドイルの名前はこのホルンのアルバムを通じて知ったのだが、かねてから気になっていたサントラを最近ようやく入手(ワーナー国内盤、ジャケット画像:下)。改めて聴いてみると、原曲はストリングスによる演奏であることが分かったのだが、クラシック曲に例えるなら、ヘンデルのベレニーチェや、エルガーのニムロッドのような英国的な気風が漂うノーブルな味わいといえようか。ホルン・アンサンブルとはまた違う原曲ならではの良さがある。ライナーノーツによれば、演奏はロンドン交響楽団とのことで、映画「シンデレラ」でのサントラ以前にパトリック・ドイルとロンドン響が共演していたことになる。
映画を見ていなくとも、聴き手を感動させてくれる人間愛に溢れた普遍的なものが、この楽曲には流れている。映画音楽というジャンルを超えた名曲としておススメしたい。