N響アワーを見た(2007年3月25日)。この日は2006年度の心に残るコンサートベストテン特集。第一位に輝いたのはロジャー・ノリントン指揮の公演だった。ノリントンといえば、古楽器奏法に元づいたノンビブラート奏法の実績で定評がある指揮者。インタビューによれば、ノンビブラート奏法は決して強要ではなく楽団員の総意に基づいて決定する事だという。
司会池辺晋一郎氏も言っていたが、ノリントンの指揮姿は独特だ。いや、指揮をするより交通整理の警察官のようにサインを送り出している姿と言った方がいいかもしれない。指揮棒も持たず、必要箇所のみサイン=シグナルを発するというような印象だ。演奏者の反応は分かれるだろうが、少なくとも自分にとってはシンプルで分かりやすかった。
そのノンビブラート奏法の影響なのだろうか、弦楽器には奏者のビブラートの運動がない分、テンポが若干早くなるように聴こえる。それがノリントンのメリハリのある指揮と相まり、結果的に小気味のいいリズム感を生み出しているのが絶妙だ。TVを通して見てるだけでも楽しくなってくる。
放映されたのはモーツァルトの交響曲第39番より3楽章と4楽章。N響のメンバーは、ノンビブラート奏法に慣れない様子ながらも精一杯に応えている。第3楽章のホルンの刻みの強奏が心地よく響く。これぞメヌエット。
本番でのノリントンの表情は至って落ち着いている。あくまでリハーサルでやった事の確認、という感じ。リハーサルの模様も放映されたが、そこでの彼はユニークたっぷりだった。でも4楽章最後の音が終わった途端、客席側を振り向き、「今の演奏どう?」と言わんばかりの表情をみると、パフォーマンス性も兼ね備えているようだ。
ノリントン指揮のCDは自分はまだ一枚しか持っていない。それは忘れもしない10年前、ロンドン行きの年に購入したイギリス音楽のアルバムだった。プロムスでお馴染みの曲が収録されており、合唱入りの「威風堂々」はプロムスラストナイトできちんと?歌えるように英訳を見ながら歌詞を出発前に予習したものだ(^^;そのアルバムではもちろん、通常の奏法だが、ノンビブラート奏法については現在でも音楽評論の世界では賛否両論のあるところ。NHKのインタビューで彼は「戦前まではノンビブラート奏法で演奏されていた」と言うが、現存する戦前に記録されたSPからもはっきりとビブラート奏法は聴き取る事はでき、争点となる所だ。
ビブラートであれ、ノンビブラートであれ、奏法に違いはあれど、要は生み出される音楽がいかに新鮮味と豊かな表情を伴って現代の聴衆に届けられるかだと思う。その点においてノリントンには今後も期待したい。
司会池辺晋一郎氏も言っていたが、ノリントンの指揮姿は独特だ。いや、指揮をするより交通整理の警察官のようにサインを送り出している姿と言った方がいいかもしれない。指揮棒も持たず、必要箇所のみサイン=シグナルを発するというような印象だ。演奏者の反応は分かれるだろうが、少なくとも自分にとってはシンプルで分かりやすかった。
そのノンビブラート奏法の影響なのだろうか、弦楽器には奏者のビブラートの運動がない分、テンポが若干早くなるように聴こえる。それがノリントンのメリハリのある指揮と相まり、結果的に小気味のいいリズム感を生み出しているのが絶妙だ。TVを通して見てるだけでも楽しくなってくる。
放映されたのはモーツァルトの交響曲第39番より3楽章と4楽章。N響のメンバーは、ノンビブラート奏法に慣れない様子ながらも精一杯に応えている。第3楽章のホルンの刻みの強奏が心地よく響く。これぞメヌエット。
本番でのノリントンの表情は至って落ち着いている。あくまでリハーサルでやった事の確認、という感じ。リハーサルの模様も放映されたが、そこでの彼はユニークたっぷりだった。でも4楽章最後の音が終わった途端、客席側を振り向き、「今の演奏どう?」と言わんばかりの表情をみると、パフォーマンス性も兼ね備えているようだ。
ノリントン指揮のCDは自分はまだ一枚しか持っていない。それは忘れもしない10年前、ロンドン行きの年に購入したイギリス音楽のアルバムだった。プロムスでお馴染みの曲が収録されており、合唱入りの「威風堂々」はプロムスラストナイトできちんと?歌えるように英訳を見ながら歌詞を出発前に予習したものだ(^^;そのアルバムではもちろん、通常の奏法だが、ノンビブラート奏法については現在でも音楽評論の世界では賛否両論のあるところ。NHKのインタビューで彼は「戦前まではノンビブラート奏法で演奏されていた」と言うが、現存する戦前に記録されたSPからもはっきりとビブラート奏法は聴き取る事はでき、争点となる所だ。
ビブラートであれ、ノンビブラートであれ、奏法に違いはあれど、要は生み出される音楽がいかに新鮮味と豊かな表情を伴って現代の聴衆に届けられるかだと思う。その点においてノリントンには今後も期待したい。