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ヴォルフガング・サヴァリッシュが2月に亡くなった。享年89歳。サヴァリッシュといえば1964年の初共演以来、40年以上の長きに渡り、NHK交響楽団への客演を務めていただけあって、N響=ドイツ系レパートリーの強いオケというイメージをもたらしてくれた指揮者の一人だった。最近、追悼番組でも放映されたN響とのラスト公演(2004年)のベートーヴェンの交響曲第7番。当時80歳のマエストロは既に座椅子での指揮となっており、往年の面影はなくなっていたものの、終楽章を振り終えた後の、彼のほっとした安堵の表情が実に印象的だった。

また、自分にとっては、2001年5月のフィラデルフィア管弦楽団の来日公演において、1993年から2003年まで音楽監督を務めていたサヴァリッシュのタクトによる実演(福岡シンフォニーホール)を聴けた事は今持って貴重な体験となっている(画像:公演チラシ&プログラム・チケット)。その様子は以前も本ブログにエントリーしたが、その時の演目だったモーツァルトの交響曲第40番とブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」は、米国オケから重厚なサウンドを引き出した名演だった。当時はまだ78歳、背筋が伸びた燕尾服姿と、厳かながらも、颯爽とした指揮ぶりが印象的だった。N響もフィラデルフィア管も欧州のオケではない所に彼のキャリアとしての共通点があり、ある意味、ドイツ系レパートリーの伝道師的な存在でもあったように思う。

本ブログでは過去にバイエルン国立歌劇場管弦楽団との共演によるワーグナーと、フィラデルフィア管弦楽団との共演によるストコフスキーアルバムをエントリーしていると共に、ピアニストとしての一面も過去に紹介した事がある。今回、追悼としてバイエルンとのブルックナーの交響曲第1番と彼が1970~1980年まで首席指揮者を務めたスイス・ロマンド管弦楽団との「わが祖国」を聴いた(ジャケット画像下:左から右)。フィラデルフィア管の実演でその颯爽な指揮ぶりが伺えるスピード感のあるブルックナー。かたや、「我が祖国」は民族色の濃いチェコのオケとは異なり、純音楽としても堪能できる演奏だった。
最後に、これまで本ブログにエントリーした関連リンクを記すと共に、心からご冥福をお祈りしたい。


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