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○ラファエル・クーベリック指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
('63年2月21日から23日録音、ベルリンにて収録、
 ドイツ・グラモフォン国内盤)


'05年の9月に再発されたクーベリックがドイツ・グラモフォンに残した一連の復刻シリーズからの一枚。
当時48歳のクーベリックが全体的に早めのテンポ(10分を切る9分58秒)で指揮をした覇気ある演奏。テンシュテット&ベルリン・フィル盤とは違い、カラヤン色にはまだ染まってはいない、'60年代当時のベルリン・フィルサウンドが味わえる。特にトランペットはロータリートランペットでの使用と思われ、ベルリン・フィル特有の厚いサウンドを展開している。個人的にはクーベリックもテンシュテットと同様、ライヴには強い指揮者だったので、長年連れ添ったバイエルン放送響とのライヴ音源があったら・・・と思う。'63年というと、まだバイエルン放送交響楽団就任2年目。ドイツ・グラモフォンとしてはまだバイエルン放送響との録音には準備を要したのだろう、この当時はベルリン・フィルとの録音(このワーグナーを始め、シューマンの交響曲全集やヘンデル等)が比較的多い。
音は'60年代としては申し分ないが、オーディオ的には歴史的な古さも感じる。復刻シリーズだけにオリジナルジャケットでの仕様は有難い。

○ハインツ・レーグナー指揮ベルリン放送交響楽団
('79年頃録音、ドイツ・シャルプラッテン輸入盤)


ハインツ・レーグナー指揮の管弦楽作品を集めた12枚BOXセットからの一枚。どっしりと腰を据えた壮大なマイスタージンガー。評論家宇野功芳氏が絶賛だったのも今更ながらうなずける。テンポは全体的にゆったりめながら、最後まで緊張の糸を緩ませないあたり、巨匠的な雰囲気をも醸し出している。オケの個々のセクションに目立った所はないものの、低音部の運び(特にコントラバスセクション)が絶妙だ。収録会場の明記がないのが残念だが、ピラミッド型の理想的な重厚サウンドで聴けるのは嬉しい。おそらく東ベルリンキリスト教会での収録と思われる。

○ゲルト・アルブレヒト指揮デンマーク国立放送交響楽団
('00年2月18・19日録音、デンマーク放送コンサートホールにて収録、
 CHANDOS輸入盤)


'98年から'07年までの約10年間に渡って読売日本交響楽団の常任指揮者を務めていたことで日本でもお馴染みの、ゲルト・アルブレヒトの指揮によるもの。
北欧オケのカラーでもあるのだろうか、実にさらっとしたマイスタージンガー。混濁のないピュアな演奏に聴こえる。中間部のチューバの伸び伸びとしたソロや、突然テンポが早くなって終わる終結部が印象的。
今回聴いた13種の演奏の中では印象の薄いディスクだが、オケの実力が劣っているわけではない。デンマーク国立放送響には他に素晴らしい名演を残したディスクがあるので、また改めて取り上げたい。