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映画音楽には心に残る楽曲がたくさん存在する。自分自身、映画を観る数自体こそ少ないが、映画音楽(サントラ)に接することは多い。それは、映画自体の知名度はなくても、サントラには隠れた名旋律がたくさん存在するからだ。それらは普段、テレビのBGM等で何気なく使われていることがよくある。

そんな隠れた名旋律の一つとして、パトリック・ドイル(b.1953)による1996年公開の映画「ハムレット」より、「Sweets to Sweet Farewell」を。パトリック・ドイルといえば、過去、「ハリーポッターと炎のゴブレット」や「シンデレラ」(2015年作品)のサントラで本ブログでもエントリーしたことのある英国出身の実力ある作曲家の一人。
マーラーの交響曲第5番第4楽章のアダージェットが好きな方には是非聴いていただきたい。ストリングス中心でしっとりと奏でられるこの楽曲は、まさにそのアダージェットに通じるものがあり、一聴した時からその旋律に心に残った。そこにはどこか日々の生活の中で忘れかけていた大切なものに気づかせてくれる何かがある。夢や愛情、友情、そして人生のはかなさ…。実際、この楽曲名にもなっている“Farewell”という言葉に象徴されているように、ハムレットの恋人であるオフィーリアの死の場面で使用されているようだ。

音源としてはオリジナル・サウンドトラック(ジャケット画像:左)はもちろん良いが、以前エントリーしたロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団による映画サントラ集「FILM HARMONIC」(ジャケット画像:右)に収録された一曲が、より上記の世界観が出ており、ストリングスも臨場感があって素晴らしい。なお、You Tubeにも、「Sweets to Sweet Farewell」のサントラ版があったので、気になる方は検索されたい。

外の世界に目を向けると、今もどこかで戦争やテロが起きていたりと、不条理な出来事が後を絶たない。この曲を聴いていると世界平和を改めて願わざるを得ない、そんな気持ちになった。